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連載第14回 上海ワークショップ潜入! ポルシェ・タイカンはホントに売れるのか?

Writer:小沢コージ Photo:小沢コージ+PORSCHE

小沢コージトップweb.jpg小沢コージ●クルマや時計、時に世相まで切る自動車ジャーナリスト兼TBSラジオパーソナリティ。『ベストカー』『MONOMAX』『webCG』『日刊ゲンダイDIGITAL』「カーセンサーEDGE』で自動車連載、『時計BEGIN』で時計人物連載。毎週土曜18時50分TBSラジオ『小沢コージのカーグルメ』

 つい先日9月4日、ポルシェ初のピュアEV、タイカンが発表されました。それもドイツ・ベルリン、カナダ・ナイアガラ、中国福建省の世界3カ所同時に! 本拠地ドイツはもちろん中国、北米の2大EV市場で登場したのが時代を反映しています。一方、日本は日産リーフの人気がいまひとつな部分もあって、EVに懐疑的な声も根強いわけで、ホントにタイカンは売れるのか? は気になるところ。そこで、発表に先駆け中国上海で行われたタイカンのワークショップ(勉強会)に参加した小沢が勝手に占ってみました。

●あえて人気のモデルSに被せる用意周到戦略

 さてタイカン、ピンとこない読者もいるかもしれませんが、最大の注目ポイントは4ドアセダンだということです。

 それもサイズ的には完璧にガチンコ、テスラ・モデルSキラー。

 全長×全幅は4963×1966mmと、ほぼモデルSと同じで、高さのみ大幅に低く、運動性能的に有利なのは明らか。

 単純に言うと「テスラ同等の利便性を維持しつつ、ポルシェならではの上質スポーツカー味を加えたようなクルマ」というわけです。

_RFR0674web.jpg▲ボディサイズは同社のパナメーラとほぼ同等 写真は発表前のワークショップ時でボディに若干の偽装を施している
 
 実際、そこのところを今回ポルシェ開発陣はかなり意識したと思われる部分があります。それは、今回のワークショップで小沢が開発エンジニアのオットマー・ビッシェ氏を直撃したとき、興味深い会話がありました。

 聞けばタイカンはすでに世界で受注を開始、その数3万台強!
 
 しかも内訳を聞いて驚き、「50%はポルシェ以外のユーザー」とか。
 
 そこで小沢がテスラのユーザーも多いのでは? と聞くと「そうかもしれない。みんな本物のクルマが欲しいから(笑)」とコメントが返ってきたのです。
 
 モデルSを買うようなリッチな新しもの好きが、それ以上のクルマが本当のポルシェ味で作られると聞いたら、ほしくなるに決まっているじゃないですか!

 そういう意味で、このタイカンはかなり確信的なのです。
 
●ポルシェらしい走行性能&意外と広い居住空間

 さて、実車の出来ばえです。

 驚いたのはまずエクステリアデザインが2015年のフランクフルトショーで出たコンセプトカー、ミッションEとクリソツだったこと。4眼ヘッドライトまで似ているから驚きです。

_RFR0793web.jpg▲2015年発表のコンセプトカーを忠実に実現 ポルシェらしいエアロダイナミクスを考慮したグラマラスなフォルムが魅力的
 
 スタイルの狙いは明らか。4ドアでありながら、テスラのようなセダン風味はまったくなく、非常にスポーツカーらしい流麗デザイン。
 
 これまた同じ4ドアカーながら、テスラとは違うポルシェらしいカッコ良さを見事に提案しているのです。
 
 さらにいうと、実用性も意外に良好。
 
 ラゲッジルームはフロントに81L、リアに366Lと、テスラ・モデルSには敵わぬものの、なかなかの実用性。

RFR3422_190822_210145web.jpg▲大人4名分のインテリアスペースと前後にラゲッジルームを装備
 

 さすがに家族でキャンプには行けないものの、スポーティなEVとしては十分でしょう。もちろん異様に広いテスラには負けますが。
 
 もうひとつ、今回は自らハンドルを握ることはできませんでしたが、テストドライバーの運転で思い切りミニサーキットで走るタイカンの助手席とリアシートに乗ることができました。

 そこでわかったのは、頭上クリアランスこそタップリはありませんが、身長176cmの小沢が乗っても十分すぎる居住性をもっていることと、圧倒的な運動性能です。
 
 今回、発表されたタイカンは、前後ツインモーターの4WDモデルで、ノーマルのターボとハイスペックのターボSがあります。
 
 後者はピークパワー&トルクが761ps&1050Nmと圧倒的。車重が2.2トン台とそれなりであることを差し引いても、もうトンデモなくメチャクチャ速い!

_X2F0405web.jpg▲磨き上げられた運動性能もタイカンの魅力のひとつ EVらしからぬ理想的な前後バランスでコーナリング姿勢は自由自在に操れる 
 
 実際、小沢はタイカン・ターボSの助手席でフル加速を体験しましたが、クビが持ってかれそうになりました(苦笑)
 
 モデルSは、オーバーブースト時に0-100km/h加速で2.8秒を記録。これは普通のミッドシップ・フェラーリに匹敵する数値なのです。

_X2F0914web.jpg▲オーバーブーストモードではファットなタイヤが鳴き出すほど力強い走りを披露する
 
 さらに、忘れてはいけないのはポルシェ初の高圧800V充電システムが使えることで、テスラ同等の100kWh近い93.4kWhのバッテリーを、5%から80%までわずか22.5分で充電できるとか。

 もちろん、この専用高速充電設備がどこまで日本に設置されるのか? といった問題はありますが、かなりのアドバンテージです。
 
 スタイル、広さ、リアルポルシェな走りに加えて、充電環境までもヘタするとスペシャルなタイカン。

 お値段は、ターボSが約2170万円、ターボが約1780万円ということですが、間違いなく売れますよコレは。
 
 そしてコレが売れたら、今後この市場にフェラーリ、ランボルギーニ、アストンあたりが入ってくること間違いナシ。

 正直、大衆EVの普及には懐疑的な小沢ですが、高級スーパーカーのEVは、このタイカンの今後でイッキに開ける可能性があります。
 
 それほどの巨大なポテンシャルを持ったEVなのです!

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