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発掘名車:偉大なるポルシェの原点。RRスポーツ

Writer:カー・アンド・ドライバー編集部 Photo:小久保昭彦

1964年式 ポルシェ356SCクーペ

356-01.JPGポルシェ356SCクーペ 356完成形 SC19637月にデビューした356のラストモデルとなるCシリーズのスポーツバージョン

プロフィール:心臓は空冷水平対向1.6リッターユニット

 紹介する356Cシリーズは、356のラストモデルとして1963年7月にデビュー。グレード構成は、スポーツ仕様SCと、標準仕様Cの2タイプ。ボディはクーペとカブリオレのC種を設定していた。

 Cシリーズの主な改良ポイントは、ブレーキとエンジン。ブレーキは、4輪ドラム式からATE製の4輪ディスク式になり、制動能力を一気に高めた。

 1.6リッター

の空冷水平対向4気筒ユニットは小改良。SC用616/16型エンジン(95㎰/12.6㎏m)はメインベアリングの改良と吸気バルブ径の拡大(31mm→34mm)で、それまでのスーパー90グレード比で5㎰/0.3m増強。C用616/15型(75㎰/125m)はカムシャフトのリフト量が増し、従来のスーパー75グレード比でトルクが0.6m太くなった。

 SC用ユニットは、1965年からシリンダーが冷却効率に優れる鋳鉄ライナーをアルミニウムでカバーしたバイラル加工になる(なお、1965年には後継車となる911の生産がスタートしており、356の生産終了が決定していた)。

 Cシリーズは4輪ディスクブレーキの採用で、ポルシェを特徴づける「止まる高性能」を確立。356の完成形として評価が高い。最高速度180㎞/hを超えるSCは、別格の人気を誇っている。1963年から65年まで生産されたCシリーズの台数は16674台。17年間にわたる356の全生産台数の21%を占める。

356-02.JPG356Cシリーズのボディタイプはクーペとカブリオレの2種 コーチワークはロイターとカルマンの2社が担当 取材車はカルマン製クーペ

インプレッション:走りは元気いっぱい

 内外装のコンディションは素晴らしい。356に精通した専門ショップでレストア作業が完了したばかり。ボディはすべてのパーツが外され防サビ処理を施した後、純正カラーのブラックで3コート塗装済み。ボディ表面は美しく、各部メッキパーツの状態も非常にいい。ウィンドウやドア回りのゴム類は新品。タイヤはミシュラン製の9分山、ホイールはキャップ付きの純正スチールを装着している。

 内装は、シートや内張りを純正素材で張り替え済み。カーペットも新品。ステアリングホイールはブラックカラーの3本スポーク。時計をはじめメーター類はすべて正常に作動しており、新車時からのブラウクンプト製ラジオの感度も良好だった。ドア部にアームレストを装備し、リアウィンドウ内側にデフロスター用ダクトを備えたインテリアはGTカーのイメージ。シートはソフトな着座感。快適性は高い。

 走りは元気いっぱいだった。OH済みの1.6リッターユニットは、セル一発で軽やかに始動。安定したアイドリングを始める。低回転域から豊かなトルクを生み出し、軽快に回るエンジンの加速はシャープ。スピードの伸びがいい。フルシンクロ式4速ミッションのシフトストロークは大きめ。クラッチは軽く、スムーズに操作できた。ブレーキは信頼性に優れ、ペダルの踏み込みに応じて確実に減速。電装系は6V仕様。バッテリーは新品に交換済み。

 近年ポルシェ356の人気は、世界的に上昇している。高評価の要因は個性的な造形と、現代のクルマから乗り換えても違和感の少ない走行フィールにある。中でも、最終CシリーズのSCは各部の完成度が高く魅力的。その価値はますます高まりそうだ。

356-03.JPG室内幅はタイト シート間のすきまはほとんどない 駐車ブレーキはインパネの左下側にあるステッキタイプ ポルシェ・シンクロ付き4速MTはスムーズな感触

356-04.JPG回転計を中央に配置した3連デザイン レッドゾーンは6000rpmオーバーの設定

※次ページでスペックを紹介

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