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ノーマン・ロックウェルと、ボクのイラスレーター人生〜岡本三紀夫

Writer:岡本三紀夫,山内会津 

どこに止めても絵になる魅力、ポンテアックGTO

緑のクルマ縮小.jpg▲作品1 ポンテアックGTO

*上の作品1は、『カー・アンド・ドライバー』の表紙でしたね

■はい。①は、ポンテアックのGTOです。ボディサイズとのびやかなスタイリングは60年代の特徴で、ポンテアックGTOは、アメリカの景色であれば、もうどこでもマッチします。陽光の背景であればなおよし、といった雰囲気です。バックは路地裏にしましたが、壁にかかる国旗といい、建物のテクスチャーといい、ひとつの絵を構成するには申し分ない感じがしました。つまり、バックがクルマのイメージを表現しています。楽しんで描いた1枚です。

ホンダ縮小.jpg▲作品2 ホンダS600

*作品2は

■S500、S600、S800と続いたホンダ初のスポーツカー、S600です。ホンダコレクションホールのカレンダー用に撮影したデータをもとに描きました。カレンダーの背景はスウェーデンでしたが、この作品はオーストラリアのシドニーに変更しました。日本と同じ右側通行なので、ステアリングなどを描き変えずに無事終了。ちょっとラクした感じでした。

 S600の格子グリルと、ヘッドライトのカバーはボク好み。よく「イノチェンティ950スパイダーに似ている」といわれますが、実車を前にすると細かな個所で違いがあります。ボクは両モデルとも好きですが、S600のほうがやや曲線が多い印象です。

FIAT 600縮小.jpg

▲作品3 アバルト

*右下の作品③は

■このアバルトは、未発表の習作です。少しおどけた表情の男と犬ですが、現実にはこんな位置関係にならないので、すまし顔の女性と犬との距離感に迷いました。それでも違和感のないように何度も修正しました。バックの赤いリングは、アメリカのイラストレーター、巨匠ノーマン・ロックウェル(1894〜1978年)の影響です。ボクは困ったときの〝赤リング〟と呼んでいます。絵にまとまりがないときに使用すると、不思議と構図が落ち着きます。

*最近インターネット上でロックウェルが話題です

■ボクは昔、日本初のロックウェル展覧会(1975年、渋谷PARCO)を見にいきました。24歳のときでした。桑沢デザイン研究所の図書館に、〝ニューヨークのイラストレーター〟の年鑑があり、さまざまな作品を見ていたので、学生時代からロックウェルは知っていました。当時は、渋谷にアメリカの古い雑誌を扱う古本屋があって、雑誌の中の注目イラストは必ずスクラップしていました。とくにロックウェルは、『サタデー・イブニング・ポスト』誌の表紙を描いていたので、展覧会はいち早く行きました。会場は原画で構成され、アトリエの再現が面白かったですね。作品は油絵で、キャンバスは超ビッグサイズで、本当に驚きました。イラストレーターの友人たちも展覧会に何度も足を運びましたが、日本でロックウェルは〝知る人ぞ知る〟的な存在だったと思います。

*ロックウェルの作品の魅力は何でしょう

■トーマス・S・ブッヒュナーは著書『ノーマン・ロックウェル アメリカン・ノスタルジア』(東野芳明訳)の中で、「自由主義のアメリカ。苦悩するアメリカ──。そして、資本主義の、開拓の、激動の、デモクラシーの、豊かなアメリカ合衆国。アメリカにはいろいろな〝顔〟がある。その〝アメリカ〟の歩みを60余年にわたって、つぶさに観察してきたひとりの画家である」とロックウェルを評しています。彼の作品は、社会情勢をよく観察し、そこに大人のユーモアを盛り込むのが特徴です。作品には〝古きよきアメリカ〟のノスタルジックなイメージがあります。ボクの若いころの"憧れ"でした。

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