FRサルーンのリーダー、新型3シリーズの実力

BMW330iMスポーツ 試乗記

330-01.JPGBMW330iMスポーツ 価格:8SAT 632万円

新型はひと回りサイズアップ

新型7th・3シリーズが上陸した。3シリーズは、1975年の1stモデル誕生以来、世界累計1500万台以上を販売するBMWの基幹モデル。

 日本市場に当初用意されるのは、SE、スタンダード、Mスポーツという3グレード構成の320iと、トップグレードの330i・Mスポーツの計4モデル。パワーユニットは全車 2リッター直4DOHC16Vターボ。スペックは320i用が184ps30.6kgm330i用は258ps40.8kgm。トランスミッションはいずれもマニュアルモード付き8速ATが組み合わされる。駆動方式は伝統のFRだ。

 試乗車は330i・Mスポーツ。ボディサイズは全長×全幅×全高4715×1825×1430mm。旧型と比較して全長は70mm長く、幅は25mmワイド、全高は同値。新型は一見しただけで「ひとまわり大きくなった」と感じる。5.4mだった最小回転半径は5.3mになった。ホイールベースは旧型比40mm伸びているので、最小回転半径短縮は「よく頑張った」と評価すべきだろう。

 ボディの「成長」に付随して重くなった点を、ボクは残念に思った。試乗車の車重は1630kg。新型は「各部設計の見直しで軽量化を徹底、最大55kgの軽量化を実現」とメーカーは説明しているが、それでもヘビー級だ。

330-02.JPG新型のボディサイズは全長×全幅×全高4715×1825×1430mm 旧型(同4645×1800×1430mm)と比較して全長は70mm拡大 全幅は25mmワイド 全高は同値 重量は設計と素材の見直しで最大55kgの軽量化追求 前後重量配分は5050

動力性能は強力にして上質

 新型のスタイリングは、「BMWらしくありつつも、予想と期待よりはちょっとコンサバ」という印象。前輪位置はFRレイアウトらしい前寄り加減で躍動感に富んでいる。だが、前傾感が控えめな関係か、スポーツセダンらしさは控えめで、プレステージセダンとしての雰囲気が強まった。

 エクステリアよりもインテリアのほうが、新鮮に感じる。インパネは12.3インチフル液晶メーターと10.25インチのセンターディスプレイが主役だ。

 スピードメーターとタコメーターが円形デザインでない点は、「BMWらしくない」と感じた。とくにタコメーターに「左回転」のロジックを採用したのは理解できない。せっかくクラスター内をバーチャル化したのであれば「何でも表示したい」という意図はわかる。しかし、さまざまな情報が多彩なグラフィックで映し出されるメータークラスター内の視認性は、正直「ちょっと見づらい」という印象だった。

 動力性能は強力にして上質だ。「330」を名乗りつつもパワーユニットは2リッターの4気筒ターボだが、8速ステップATの巧みなシフトチェンジの効果で、パフォーマンスは素晴らしい。このクラスではトップと思える静粛性や、やはり最上級の回転フィールの滑らかさもあって、「さすがはBMWのパワーユニットだ」と、走行中ずっと好印象が続いた。

330-03.JPG新型は「BMWオペレーティングシステム7.0」と呼ぶデジタルコクピット仕様 インフォテイメント機能充実 12.3インチフル液晶メーターと10.25インチセンターディスプレイが先進イメージ演出

軽快なフットワーク

 走り始めてすぐにばね下の軽快感に好印象を抱いたフットワークは、平滑路面上では引き続きヒタヒタと走る強い上質感が得られる一方で、さして路面が荒れているとは思えない場面でも、時に予想以上に強い揺すられ感を感じた。

 路面状況の違いによる乗り味の変化は、どうやらランフラットタイヤの装着と関係がありそうだ。サスペンションが従来型以上にしなやかにストロークするようになった結果、タイヤの影響が明確に表れるようになった可能性がある。

 今回の試乗は約80%が高速道路だった。そうした中では違和感のない制御を行う追従機能付きのクルーズコントロールをはじめ、さまざまなドライビングアシスト機能の恩恵を受けた。

 ただし、ステアリングのレーンキープ機能は、これまで感じた経験がないほど強いトルクで介入してくる。この点にはちょっと驚いた。

 ボディの大型化がネガティブに受け取られる可能性は否定できないものの、その分拡大された広々としたキャビンや容量480リッターのトランクルームなど、パッケージングは超優等生だ。

「セダン劣勢」の中にあっても少しも手を抜くことのない開発プロセスが想像できる。新型3シリーズは、まだ粗削りの面も散見されたが、基本的な完成度は高い。中でもパワフルで滑らかなパワートレーンは超一級品である。

330-04.JPGMスポーツは前席電動調整機能&ヒーター機能付きスポーツシート標準 写真の本革はセットop201000円) 室内スペースは前後席とも余裕たっぷり 

330-05.JPG伝統のキドニーグリルはワイドな1フレームデザイン 運転状況に応じエアベントを自動開閉する ヘッドランプはフルLED

※次ページでスペックを紹介

BMW330iMスポーツ主要諸元と主要装備

330-06.JPG

グレード=330iMスポーツ
価格=8SAT 632万円
全長×全幅×全高=4715×1825×1430mm
ホイールベース=2850mm
トレッド=フロント1585×リア1570mm
車重=1630kg
エンジン=1998cc4DOHC16Vターボ(プレミアム仕様)
最高出力=190kW258ps)/5000rpm
最大トルク=400Nm40.8kgm)/15504400rpm
WLTCモード燃費=13.2km/リッター(燃料タンク容量59リッター)
(市街地/郊外/高速道路=9.413.715.5km/リッター)
サスペンション=フロント・ストラット/リア5リンク
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール=フロント22545R18/リア25540R18+アルミ
駆動方式=FR
乗車定員=5
最小回転半径m 5.3
●主な燃費改善対策:無段階バルブリフト(バルブトロニック)/筒内直接噴射/吸排気無段階可変バルブタイミング(ダブルVANOS)/充電制御/アイドリングストップ/電動パワーステ
●主要装備:ドライビングアシスト・プロフェッショナル(アクティブクルーズコントロール+ステアリング&レーンコントロールアシスト+車線逸脱警告+レーンチェンジウォーニング+アクティブサイドコリジョンプロテクション+前車接近警告+衝突回避・被害軽減ブレーキ+クロストラフィックウォーニング)/BMWコネクテッドドライブ・プロフェッショナル/アダプティブLEDヘッドライト/LEDフォグランプ/パークディスタンスコントロール/リバースアシスト/ランフラットタイヤ/Mスポーツサスペンション/Mスポーツブレーキ/ドライブパフォーマンスコントロール/バリアブルスポーツステアリング/Mエアロダイナミクスパッケージ/コンフォートアクセス/ヒーター付きウォッシャーノズル/BMWライブコクピット(12.3インチメーターパネル+10.25インチワイドコントロールディスプレイ+HDDナビゲーション)/マルチファンクションMレザーステアリング/パーキングベンチレーション/3ゾーンオートAC/スポーツシート/前席電動調節機構/スルーローディングシステム/アンビエントライト/スピーチコントロール(音声入力システム)/ワイヤレスチャージング/10スピーカーシステム
●装着メーカーオプション:イノベーションパッケージ(BMWレーザーライト+ヘッドアップディスプレイ+ジェスチャーコントロール)223000円/ハイラインパッケージ(ヴァーネスカレザーシート+電動ランバーサポート+ファインウッドトリム)201000円/コンフォートパッケージ(電動トランクリッド+ストレージパッケージ+パーキングアシストプラス)125000円/ファストトラックパッケージ(19インチMスポークアルミ+Mスポーツデファレンシャル+アダプティブMサスペンション)283000
●ボディカラー:ポルティマオブルー(op9万円)
※価格と数値は20193月現在
※撮影協力●マースガーデンウッド御殿場

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