これぞフレンチコンフォート! シトロエンC5エアクロスSUVの実力

シトロエンC5エアクロスSUVシャイン 試乗記

IMG_0810.JPGシトロエンC5エアクロスSUVシャイン 価格:8SAT 424万円 C5エアクロスは最新の「シトロエン・アドバンストコンフォートプログラム」を導入 エンジンは2リッターディーゼルターボ(177ps) 駆動方式はFF

100年の歴史を持つシトロエン初のSUV。魅力は足回り

 クルマ作りを始めて今年で100周年を迎えるシトロエンが、初のSUV、C5エアクロスSUVを日本で発売した。C5エアクロスSUVは、2015年に公開されたエアクロス・コンセプトの市販バージョン。ボディサイズは全長×全幅×全高4500×1850×1710mm。プジョー3008やVWティグアンに近いが、ホイールベース(2730mm)はシトロエンらしく長めにとっている。

 エンジンはディーゼルターボ専用。2リッターの排気量から177psと400Nmを発生し、8速ATを介して前輪を駆動する。すでにプジョーのSUVでおなじみの、ダイヤルで切り替えるアドバンストグリップコントロールを装備し、オフロード走行に対処した。

 C5エアクロスSUVの注目点は、前後サスペンションに組み込まれたプログレッシブ・ハイドローリック・クッションだ。シトロエンの名声を高めた、かつてのハイドロニューマチックやハイドラクティブの系譜を受け継ぐ足回りで、ショックアブソーバー内にセカンダリーダンパーを組み込んだ、いわゆるダンパー・イン・ダンパーの構造をとる。

 エクステリアは、C4カクタスで確立した最新のシトロエン・スタイルを継承しながら、SUVらしさを表現した。サイドウィンドウを取り巻くクロームメッキのモールと同じ台形のグラフィックを、バンパー下やサイドシル、インテリアのドアグリップなどにアクセントとして反映している。このアレンジが造形面の統一感を生んでいる。

 外観色は全6色。試乗車のルージュボルカーノとブルー、そして黒のボディカラーのアクセント部はシルバー仕上げ。サイドウィンドウのモールと色合いを揃えられる。一方、ホワイトやグレーのボディカラーの場合、ルーフレールを含めて赤のアクセントとなり、遊び心がプラスされる。ブルー、ホワイト、グレーのボディカラーではブラックルーフが選択可能。エアクロスSUVは、色選びが楽しいクルマだ。

IMG_0787.JPG全速度対応アクティブクルーズコントロールなど安全・運転支援システム充実 レーンポジションアシストは車線内の好みの位置が指定できる

快適な室内空間。抜群の造形センスと上質感がいい

 インテリアは、試乗車の標準仕様がグレーのハーフレザーで、ナッパレザーパッケージ装着車(op‌36万円)はブラウンとブラックのツートンレザーになる。C3やC4カクタスに通じる最新シトロエンらしい造形と配色、そして上質感がある。

 後席は快適。ドアが大きく開くので乗り降りは楽だ。シートはミニバンのような3分割構造。ロングホイールベースの効果でシートの左右端がホイールハウスの影響を受けていない。シトロエンの伝統で、ドア寄りに座っても窮屈な感じはしない。室内は開放的。前後方向のサイズはこのクラスの平均レベルだが、最近のSUVとしては上下に余裕があり、リアドアガラスも広いので、実寸以上の広がりを感じる。荷室のユーティリティも注目で、容積は後席を立てた状態でも580リッターあり、たためば1630リッターに広がる。

 エンジンは、アイドリング時に「ディーゼルだ」と意識するものの、走行中は静かで滑らか。トルクフルな性格は使いやすい。8速ATの適切な設定と、1640kgに抑えた車両重量の相乗効果で、大人3名乗車でも高速道路の上り坂を余裕で駆け上がっていった。

IMG_0783.JPG足回りにかつてのハイドロニューマチックサスの系譜を継承した快適指向のプログレッシブ・ハイドローリック・クッションを採用 ボディカラーは写真のルージュボルカーノ(op5万9400円)など全6色

快適性はクラストップ。フットワークは素晴らしい

 新世代プログレッシブ・ハイドローリック・クッションの実力は、街中を流しただけでもわかる。ただソフトなだけでなく、かつてのハイドロニューマチックやハイドラクティブを思わせる、周期の長いゆったりした揺れが感じられる。60年以上の経験が、味のあるライドフィールにつながったのだろう。サイズが大きく、包み込まれるようなシートの着座感も心地よい。

 高速道路で感心したのは高いレベルの運転支援システム。使い勝手と制御の緻密さは日本やドイツのライバルに引けをとらない。これにゆったりとした乗り心地が加わり、快適性はこのクラスのSUVでは最高レベルだ。

 フットワークも素晴らしい。シトロエンの最上級SUVということもあって身のこなしは穏やかだが、サスペンションはロールを適度に抑えながら、伝統の接地感をしっかり発揮しており、安定した足どりが実感できる。

 高い快適性、ディーゼルの経済性、独自のセンスあふれるデザインに最先端の運転支援システムで構成されたC5エアクロスSUVは、シトロエンの「伝統と革新」を結集した自信作。これだけの内容で424万円という価格は、リーズナブルに感じる。

IMG_0910.JPGインパネは機能的なモダンデザイン 各部ソフトパッド仕上げ 作りは上質 ナビはop ハンドリングは安定指向 高速走行時の直進安定性は抜群

IMG_0984.JPG標準仕様のハーフレザーシートはソフトな座り心地 後席は150mmのスライドとリクライニングができる3分割形状

IMG_0951.JPG液晶メーターは多彩な表示モードが選べる 速度計は伝統のボビンイメージ

※次ページでスペックを紹介

シトロエンC5エアクロスSUVシャイン主要諸元と主要装備

タイトル回り02.JPG

グレード=シャイン
価格=8SAT 424万円
全長×全幅×全高=4500×1850×1710mm
ホイールベース=2730mm
最低地上高=190mm
車重=1640kg
エンジン=1997cc直4DOHC16Vディーゼルターボ(軽油仕様)
最高出力=130kW(177ps)/3750rpm
最大トルク=400Nm(40.8kgm)/2000rpm
WLTCモード燃費_=16.3km/リッター(燃料タンク容量52リッター)
(市街地/郊外/高速道路=13.8/15.9/18.1km/リッター)
サスペンション =フロント:ストラット/リア:トーションビーム
ブレーキ=フロント:ベンチレーテッドディスク/リア:ディスク
タイヤ&ホイール=235/55R18+アルミ
駆動方式=FF
乗車定員=5名
最小回転半径= 5.6m
●主な燃費改善対策:コモンレール筒内直接噴射/アイドリングストップ/電動パワーステアリング
●主要装備:アクティブセーフティブレーキ&ディスタンスアラート/アクティブクルーズコントロール/ハイウェイドライブアシスト/アクティブブラインドスポットモニター/ドライバーアテンションアラート/エレクトリックパーキングブレーキ/6エアバッグ/ハロゲンライト/LEDランニングライト/オートライト&雨滴感知式オートワイパー/ホイールアーチモール/ハンズフリー電動リアゲート/デッドアングルカメラ(助手席ドアミラー下)/スーパーティンテッドガラス/ルーフレール/デジタルインスツルメントパネル/スマートキー/本革巻きステアリング/ドライブモード/グリップコントロール/パークアシスト/ハーフレザーシート/運転席パワーシート/リア3席独立シート(リクライニング&スライド機構付き)/8インチタッチスクリーン/スマートフォンワイヤレスチャージ/プログレッシブ・ハイドローリック・クッション/オートAC
●装着メーカーop:ナビゲーションシステムは23万2200円/ETC2.0は4万3740円
●ボディカラー:ルージュボルカーノ(op5万9400円)
※価格はすべて消費税(8%)込み リサイクル費用は2万2500円
※スペックは2019年7月現在

IMG_0833.JPGリアゲートは電動開閉式 バンパー下に足を入れても開口する便利システム ラゲッジ容量は後席使用時580リッター 最大1630リッター

撮影協力●マースガーデンウッド御殿場

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