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伝統と革新の融合。最新の992型ポルシェ911がスーパーである理由

Writer:河村康彦 Photo:小久保昭彦

ポルシェ911カレラ4Sクーペ 試乗記

IMG_8974.JPGポルシェ911カレラ4Sクーペ 価格:8SMT 1772万円 最新992型のスタイリングはキープコンセプト フロント回りはフード上に刻まれた「空冷時代」を思わせるプレスラインが特徴 現在のラインアップはカレラ/カレラS/カレラ4S(各車クーペとカブリオレ)

911はポルシェの象徴。「純エンジン最後!?」の992型が上陸

 ポルシェは、ピュアEVスポーツカーのタイカンを発表し、新たな時代に突入した。巨額の投資を行って生産拠点を新設したポルシェ初の量販ピュアEVは、まさに社運をかけた1台だ。

 とはいえ、このブランドにあって、つねにその象徴であり、イメージを牽引する存在は911シリーズだ。時代の趨勢から見て、最後の「純エンジン搭載911」となりそうな最新モデル、992型がいよいよ日本に上陸した。

 ボディサイズは全長×全幅×全高4519×1852×1300mm。ディメンションは従来の991型(同4499×1808~1852×1298mm)とほぼ同じ。後輪径がワンサイズ大きいタイヤを標準採用する仕様になって、新型は「ワイドボディ」を全車に標準化。1852mmという全幅は、従来のカレラ4系と同値である。

「どこから見ても911」なルックスの特徴は、新たにフロントフード上に刻まれた「空冷時代」を想起させるプレスライン、左右テールランプ間を結ぶLEDDストリップ、ルーバーと一体にビルトインされたハイマウントストップランプである。グリップタイプだったドアハンドルは、走行時にフラッシュサーフィス化するリトラクタブル式に変更された。

IMG_8936.JPG新型のリアランプは左右連結デザイン 夜間時に強い存在感を発揮 グレードエンブレムのフォントは1970年代と同じ

試乗モデルは多数のオプション装着。車両価格は2170万円オーバー!

 試乗車は、450psの最高出力と530Nmの最大トルクを発するツインターボ付き3リッター水平対向6気筒エンジンを搭載するカレラ4S。アクティブスタビライザー(PDCC)やリアアクスルステアリングなど多数のオプションが装着されていた。

 車両総額は2170万円超。オプション金額がほぼ400万円に達する影響が大きいものの、初の水冷エンジン911となった996型(1997年デビュー)の車両本体価格は1000万円以下だった。911がモデルチェンジのたびに「よりいっそうスーパースポーツカーの方向に舵を切っている」流れは、内容的にも価格面でも明白だ。

 ドライバーズシートに身を落ち着ける。992型のエンジンスタートはキー操作ではなく、キーノブを模したダッシュボード上の突起をひねる方式に変更された。それでもスイッチがステアリングコラムのドア側にある点や、ドライバー正面に5眼式メーターをレイアウトするのは、特徴的な外観と同様に「911のアイコン」を意識したからだろう。

 メーターは、クラスター中央のタコメーターがメカ式で残されたものの、ほかの4眼はディスプレイ上のグラフィック表示に変更された。バーチャル式メーターや、走り以外の機能を多数盛り込んだダッシュボード中央の大型ディスプレイスイッチは、「時代の要請」と理解しつつも、古くからのファンを中心に評価が分かれそうだ。

IMG_9158.JPG新型のインパネは「ナロー時代911」のイメージを取り入れたデザイン 中央に10.3インチタッチスクリーン装備 ナビをはじめ多彩な車両情報を表示する

魅力の源泉は450psの3リッター・フラットシックス!

 走行スタート。やはり素晴らしい。早々に最大級の賛辞を送りたくなった。3リッターのツインターボユニットは、アクセル操作に即応し、強力であることはもとより、独特の「フラット6サウンド」を含めて情感豊かなパワーフィールを伝える。リアオーバーハングに搭載されるフラット6は、新型になっても911の魅力の源泉である。

 2000rpm台でのアクセル踏み込みに対して、ターボ特有のトルク上乗せを実感するものの、それ以外はいい意味でターボらしさは薄い。回転の上昇に伴うパワーの伸び感が明確なエンジンの味つけは、「これだけでも911ほしくなる」ほど。エンジンはスポーツ派の琴線を刺激する仕上がりだ。カレラ4Sのトップスピードは306km/h。0~100km/h加速は3.6秒でクリアする。

 高いボディコントロール性にも舌を巻いた。速度を問わないフラット感の演出を含め、991型でも高次元だったが、新型はさらに磨きがかかった。それでいながら、コーナーに差しかかればスムーズに旋回運動に移行する。しかも姿勢は微動だにしないPDCCやリアアクスルステアリングといった、ハイテク機構の「黒子」的な働きが関係しているに違いない。

 トラクション能力は強靭無比。RRレイアウトであることに加え、前輪にもエンジントルクが分配される4WDシステムの効果だ、今回の試乗で出番はなかったが、「ウエットモード」の新設定で濡れた路面での安心感が大幅に向上したことも新型の美点。ウエット路面での高いスタビリティ能力は国際試乗会で確認済みだ。

 992型の最新911は、どこから見ても911そのもの、そして最良の存在である。ポルシェの底力を改めて思い知らされた。

IMG_9026.JPGカレラ4Sの最高速は306km/h 0~100km/h加速は3.4秒(スポーツクロノパッケージ) ニュルブルクリンク北コースのラップタイムは旧型比5秒速い7分25秒

IMG_9244.JPGIMG_9251.JPG室内は伝統の2+2構成 シートは新タイプ 前席はショルダー部のリファインでサポート性が向上 構造の見直しで従来比約3㎏の軽量化を達成 後席は高さと幅を旧型比20mm拡大 短時間なら大人も座れるスペース性を確保

IMG_9177.JPGメーターは回転計を中心とした伝統の丸型5連式 タコメーターを除き先進の液晶タイプ レッドゾーンは7400rpm以上

※次ページでスペックを紹介

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