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SONYが完成度の高い「電気自動車VISION-S」を作れたワケと真の狙い

Writer:土方細秩子 Photo:SONY,土方細秩子

ソニーの技術力を世界に発信するショーケース

メインビジュアル.jpg▲VISIONーSは現在のソニーが保有する技術でクルマを作ると「どのような製品になるのか」を示すショーケース

 1月に米国ラスベガスで開催されたCES(コンシューマー・エレクトリック・ショー)でソニーが独自に開発したEV、VISION-Sを発表し、大きな話題になった。もともとEVは自動車業界の垣根を取り払う存在になる、といわれてきた。家電を中心としたソニーなども、モーターの技術と資本力があれば十分にクルマが作れる、ということを証明する1台になった。

 今回VISION-Sの開発に関して、ソニーは多くの自動車サプライヤー、テクノロジー企業と提携していた。EVプラットフォームを提供したのはマグナ・シュタイヤーで、ボッシュ、コンチネンタル、ZFなど11社が製作に参加している。注目はベースを担当したマグナ社で、今後同社が他社にもプラットフォーム提供を行うとすると、EVに参入する企業が増えるのか、という点への関心は高い。

リアビュー.jpg▲VISIONーSはソニーがマグナ・シュタイヤー社のプラットフォームを利用した新型EV

 とはいえ、ソニーがプラットフォーム上に自社デザインのエクステリアとエンターテインメントシステム、センサーなどを搭載しただけというわけではない。ソニー側の開発担当者(AIロボティクス部門)が、共同作業として1からクルマを作り上げている。プラットフォームはSUVなどにも適応できるという。

 ソニーのEVセダンは、現在発表されている多くの新型EVと比較しても、完成度は高い。サイズは全長×全幅×全高4895×1900×1450mm、ホイールベース3000mm、車重2350kg。前後にモーターを積むAWDで、パワーはフロント、リアそれぞれ200kWを発揮。サスペンションは前後ダブルウィッシュボーンだ。タイヤはピレリ製で、サイズは前輪が245/40R21、後輪は275/35R21を装着する。

真横の写真.jpg▲現時点で「量産販売する予定はない」(メーカー)というが完成度は高くユーザーの期待は高まる

 走行性能は0〜100km加速が4.8秒、最高時速240km/h。自動運転に対してもレベル2に対応する機能が搭載されているが、特に目新しい点はない。

 では、ソニーがこのクルマで示したかったものは何か。それは自動運転時代を見据えた車内エンターテインメントシステム、そしてセンサーなど、ソニーが現在持つ技術がいかにカーライフを楽しく安全なものにできるか、という部分だ。

室内全体感.jpg▲インパネは全面的にモニターが配置されている 中央のワイドビジョンにエンタメ情報などを表示 左右両端はサイドミラーモニター

 ダッシュボード全面にはパノラミックスクリーンと呼ばれる大型スクリーンが配置され、直感的に操作できるタッチパネル式を採用。映画や地図、ウェブ検索などの情報にアクセスできる。後席にも2つのスクリーンが配置され、乗員が個々に好みのコンテンツが楽しめる。車内に設置されている4つのヘッドレストにはそれぞれソニーの360度リアリティオーディオシステムが装備され、コンサートホールにいるかのような迫力あるサウンドで包み込む。

ヘッドレストにスピーカー.jpg▲ヘッドレスト部分に「360度リアリティオーディオシステム」を搭載 高音質を追求している

 安全性の追求に欠かせない、センサーの存在も大きい。ソニーのCMOSを含む33個のセンサーが配置され、車両の周囲360度を検知する。ソニーはこれをセーフティ・コクーンと呼び、自動運転の切り札になる技術と説明している。

リアシートにモニター.jpg▲後席用に大型ディスプレイを設置 移動時間に充実したエンターテインメントが楽しめる

 つまり、VISION-Sは、ソニーが持つセンサーなどの安全技術と世界に誇るエンターテインメント技術をEVの中にパッケージングしたショーケースといえる。ソニーは、現時点でこのクルマを量産販売する予定はないという。あくまで、ソニーという企業が、自動運転時代のクルマに何が提供できるのかを示すためのコンセプトモデルだ。それにしてもクルマとしての完成度が高く、市販を待つ声も上がっているが、ソニーが本格的に自動車産業に参入すれば、自動車業界の勢力図は現在とはまったく異なるものになるだろう。

真上からのカット.jpg▲車両の周囲を360度くまなくセンシングして安全性を高める「セーフティ・コクーン・コンセプト」に基づいて検知用カメラ/レーダーと超音波測定器/ソリッドステート式LiDARを搭載している

会場は大盛況.png▲CESの発表会場は「ソニーのEV」に対する関心度合いが高い様子がうかがえた

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