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トヨタが他にないコネクティッドシティを開発する深い理由

Writer:森脇 稔 Photo:TOYOTA

2021年に着工、2000名が暮らす壮大な実験都市

 2020年1月7日、米国ラスベガスで開催されたCES(コンシューマー・エレクトリック・ショー)で、トヨタが実験都市、Woven City(ウーブンシティ)の開発計画を発表した。実際に生活できる自動運転都市(コネクティッド・シティ)を、静岡県裾野市の東富士工場の跡地に2021年に着工するプロジェクトだ。

メインビジュアル.jpg▲ウーブンシティはトヨタ自動車東日本の東富士工場の跡地を利用 将来的には約70.8万平方メートルの範囲にわたって街作りを進めていく

 自動運転の都市といえば、米国カリフォルニア州に広大な自動運転車専用テストコースを擁するゴーメンタム・ステーションがある。ゴーメンタム・ステーションは、元海軍の施設に交差点や信号などが再現されており、自動運転車のテストが行える。しかし、住民はいない。

うねりのある道路.jpg▲建物の屋上にはソーラーパネルを設置 環境負荷を抑えた持続可能性の高い街作り

 トヨタのコネクティッド・シティは、人々が実際に生活し、その中で自動運転車が利用できる。コネクティッド・シティは、自動運転に加えてモビリティ・アズ・ア・サービス(MaaS)、パーソナルモビリティ、ロボット、スマートホーム技術、人工知能(AI)技術などを検証できる実証都市の役割も担う。

 このプロジェクトの狙いは、「人々の暮らしを支えるあらゆるモノ、サービスが情報でつながる時代を見据え、都市の中で技術やサービスの開発と実証のサイクルを素早く回すこと。こうした実証を通じて、新たな価値やビジネスモデルを生み出し続ける」(メーカー)点にある。

室内.jpg▲室内用ロボットの開発で住民の暮らしを豊かで便利にする センサーのデータを活用するAIを用いて住民の健康状態を把握

 コネクティッド・シティは、21年初頭に着工する計画だが、コネクティッド・シティの道路は、3種類に分類され、それらの道路が網の目のように織り込まれた街を構築する。

 3種類の道路のひとつは、比較的速度が速い車両専用。e-パレットなど、完全自動運転でゼロエミッションのモビリティだけが走行できる。街路樹によって人と車両のエリアが区分される。

eパレットの決まり.jpg▲トヨタが開発した自動運転車両eパレット(写真は東京オリンピック仕様) 全長×全幅×全高5255×2065×2760mm ホイールベース4000mm 乗車定員:20名 最高速度19km/h 航続距離約150km

 e―パレットは、トヨタの車両制御プラットフォームに専用開発の自動運転システムを搭載し、高精度3Dマップと運行管理によるレベル4の低速自動運転を可能にした。車両の周囲360度の障害物を検知し、周囲の状況に応じて最適な速度で運行する。システム異常時には、同乗するオペレーターが緊急停止させる。1回の充電で最大約150km走れる。

 2つ目の道路は、歩行者と速度が遅いパーソナルモビリティが共存するプロムナード。3つ目の道路は歩行者専用で、公園内の歩道のようになる。

スロープのような歩道.jpg▲電線/電柱などのインフラはすべて地下に埋設 すっきりと美しい都市景観を目指す

 道路を3種類に分ける狙いは、交通事故をなくすこと。より静かな住環境の追求や、トヨタの自動運転とスマートシティのインフラの実証を加速させるために、人間、動物、車両、ロボットなどさまざまなユーザーが行き交う多彩な交差点を作り出す狙いもある。

eパレットがたくさん集まる.jpg▲eパレットは広い室内を活用して各種サービスを提供する移動オフィスになる 物販や医療のサービス拠点が自動走行で目的に向かう

 建物の屋根には、ソーラーパネルが敷き詰められ、水素燃料発電や雨水ろ過システムなどのインフラは、地下に置かれる。モノの自動配達のネットワークも地下に作られるというから、映画のような世界だ。住民は、室内用ロボットなどの新技術を検証できる。スマートホームは、センサーベースの人工知能技術を使って、冷蔵庫を自動で補充したり、ゴミを捨てたり、健康状態を自動でチェックできる。

 コネクティッド・シティは開業当初、トヨタの従業員やプロジェクトの関係者など、およそ2000名の住民が生活することが想定されている。

桜並木.jpg▲建物はカーボンニュートラルな木材をメインに使用する

「住民の人数は、段階的に増やしていく」という方針だから、近未来を先取りした実験都市、コネクティッド・シティに住むチャンスが来るかもしれない。

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