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電動車の重要ポイントとなるバッテリー調達戦略。テスラは確かなジャパンクオリティ、パナソニックを選んだ

Writer:牧野茂雄 

▲テスラ・モデル3

 世界最大のBEV(バッテリー電気自動車)メーカーに成長した米・テスラは、パナソニックとの間で結んでいる電池供給契約について2022年3月まで延長したことを明らかにした。大阪市住之江工場で生産されるLiB(リチウムイオン電池)の購入を継続する。

 テスラの電池調達については「電池を内製に切り替える」「中国のCATL(寧徳時代新能源科技)製品を増やす」とのウワサが流れていたが、昨年6月に米・ネバダ州でテスラとパナソニックが運営する電池工場(ギガファクトリー)での生産契約を延長したのに続き、メイド・イン・ジャパン電池の購入契約も延長された。なお、テスラは自社のバッテリー工場を米国以外にも、中国とドイツに展開している。

▲テスラ・ギガファクトリー(米国ネバダ州、写真はテスラのHPから) 

 テスラは現在、パナソニック、CATL、韓国・LGケミカルから車載LiBを調達している。昨年9月の株主総会ではテスラCEOのイーロン・マスク氏が株主に対し電池を社内生産する方針を明らかにした。同時に現在の主力電池2170型よりも、「直径が太く大型の新型電池4680を開発中だ」と語った。

 この新型電池の開発にはパナソニックが協力している。テスラは「航続距離は最大54%伸び、1kWh単位での電池価格は56%低減される」と発表し、世界中が注目した。今回のパナソニックとの契約延長は「4680型の完成までは、パナソニックとの契約は切れないからではないか」との憶測が関係者の間では飛び交っているが、テスラは4680型については何もコメントしていない。

▲テスラ・ロードスター バッテリーはパナソニック製汎用型18650型リチウムイオンを6831本搭載

 テスラは上海に車両工場を建設し、モデル3を量産するに当たって中国最大手のLiBメーカーであるCATLとの間で大量の供給契約を結んだ。また、欧州の自動車メーカーを相手に納入実績を急拡大させているLGケミカルからの電池購入も増えている。一方、パナソニックとの関係は2003年のテスラ創業時から続いており、最初の製品である2008年のロードスター(ロータスのシャシーを使っていたモデル)には、パナソニック製の汎用型18650型LiBを搭載していた。

 当時、車載電池については専用設計とする例が多かったが、パナソニックはテスラが要求する性能を満たすためラップトップコンピュータなどに使われている18650のスペシャル仕様を開発、生産も日本の工場で一手に引き受けた。ロードスターには6831本の18650型が搭載され、すべての電池の充電状態と温度管理を実施していた。

▲テスラ・ロードスターのバッテリー(黄色のステッカーが貼ってある)とパワーエレクトロニクスモジュール(テスラのロゴが付いている)

 現在、テスラの主流は18650型よりも太くて短い2170型だが、2022年中に新しい4680型の開発が終了する見込みだという。おそらく、この新型電池もパナソニックが生産を引き受けることになるだろう。というのも、昨年から相次いでいる電池の不具合による中国ブランド、韓国ブランド、欧州ブランドのBEV発火事故を受けて、テスラが調達先に対し品質管理体制で慎重姿勢をとっていると伝えられるからだ。CATLとLGケミカルは電池の回収や充電制限ソフトでの対応などを強いられている。
 一時期、テスラはパナソニックとの関係を縮小するのではないかともいわれたが、やはりメイド・イン・ジャパン・バッテリーに対する信頼は厚いようだ。
 開発中の4680型についてテスラは「新たなこの電池セルの構造的特徴を活かした新型車を開発している。電池搭載方法は、まったく新しいものになるだろう」とコメントしている。

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