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トヨタの米国電動車強化プランはどう展開するのか

Writer:牧野茂雄 

▲トヨタRAV4プライム プライム・シリーズはPHVを意味する
▲トヨタRAV4プライム プライム・シリーズはPHVを意味する

 北米トヨタは2月10日、「2022年にBEV(バッテリー電気自動車)2台とPHV(プラグインハイブリッド車)1台を北米市場に投入する」と発表した。具体的な車種名は明らかにされていないが、現地での報道によると「1台はクロスオーバーSUV、1台はレクサス・ブランド」だという。トヨタは現在、RAV4のPHV仕様を北米で販売しているが、北米トヨタはHEV(ハイブリッド車)、PHEV(プラグイン・ハイブリッド車)、BEVの組み合わせで「顧客が無理なく電動モデルへの移行ができるように支援する」と語った。

 トヨタの新型BEVが全米での販売なのか、それともカリフォルニア州のZEV(ゼロ・エミッション・ビークル)規制に賛同した12州だけになるのかは、未公表。現地では「顧客があらゆる選択肢から最適な車種を選べる体制を整える」という北米トヨタのコメントが報道されており、おそらく全米での販売になるのだろう。充電設備が必要なBEVは販売地域が自ずと限定されるだろうが、GM、フォード、FCAはBEVとPHEVのラインアップを着々と拡充しており、トヨタとしては対抗する必要がある。

▲トヨタ・プリウス・プライム 

 米国では昨年9月、カリフォルニア州のニューサム知事が「2035年までに州内で販売されるすべての新車乗用車をZEVにすることを義務付ける」との宣言を行い、州当局に規制スケジュールの作成を指示した。この知事宣言にはまだ法的な根拠はない。ICE(内燃エンジン)車の販売禁止となると憲法が保証する自由の侵害という問題も絡んでくるため、宣言当時から「カリフォルニア州だけで決定できることではない」との意見が議員からも出ていた。

 カリフォルニア州のZEV規制については、トランプ前大統領が「大気浄化法第209条の適用除外権限を剝奪する」と宣言し、州政府は争う姿勢だった。米国では大気浄化法209条に連邦排ガス規制が定められているが、州が独自の規制を設けることを認める「適用除外の権限」を持っている。これを無効としたトランプ宣言によって法廷闘争が始まっていた。しかし、バイデン大統領はニューサム知事と同じ民主党であり、知事は大統領の指示に従うという姿勢だ。

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 バイデン政権はCO2(二酸化炭素)排出削減義務を設定したパリ協定への復帰を行い、その一方で経済活動とバランスをとった実現可能なCO2削減を打ち出している。自動車産業界もその姿勢には同調しており、GMやトヨタはこの問題にからんだカリフォルニア州と連邦政府との間の訴訟から撤退する旨を相次いで発表している。自動車業界が求めていたのは「規制の一本化」であり、決定済みのカリフォルニア州ZEV規制は「すでに経営計画に織り込み済み」だ。バイデン政権側も「急激なBEV化は推進しない」という点を自動車業界に示したと伝えられている。

 実際、米国ビッグ3はBEVとPHEVのラインアップを急拡大している。カリフォルニア州規制に賛同するニューヨーク、マサチューセッツ、メリーランド、アリゾナ、オレゴン、コロラドなど12州も含め、こうした電動化車両を「全体の22%相当」だけ販売する準備は順調に進んでいる。

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 ただし、この22%は販売台数ではなく販売台数相当のクレジットであり、クレジットの売買は認められている。準備が間に合わない自動車メーカーは、BEVとPHEVを大量に販売した自動車メーカーからクレジットを購入するという選択肢がある。

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