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ポルシェ、高性能バッテリーセルの工場に大規模な投資を行うと発表

Writer:横田康志朗 

 ポルシェAGは、ドイツのバッテリーメーカー、カスタムセルズ社を合弁企業のパートナーとして、新会社のセルフォース・グループGmbHに数千万ユーロの大規模な投資を行うことが発表された。これにより電動化攻勢の新たな一歩を切り開くことになる。

▲電動化攻勢の新たな一歩、ポルシェがEVバッテリーの合弁会社を設立

 今回の投資によりポルシェは、電動モビリティの分野で技術的なリーダーシップとしての役割をさらに加速させていくだろう。またカスタムセルズ社は同日にポルシェのヴァイザッハ開発センターで高性能バッテリーセルの生産を開始することを発表した。

■ポルシェAG 取締役会会長 オリバー・ブルーメ氏 コメント
「バッテリーセルは未来の燃焼室です。ポルシェの新しい子会社として、セルフォース・グループは高性能バッテリーセルの研究・開発・製造・販売を推進するために尽力します。このジョイントベンチャーにより、私たちは最も強力なバッテリーセルの開発において世界的な競争の最前線に立つことができ、ポルシェ特有のドライビング体験と持続可能性を結びつけることができます。私たちはこのようにしてスポーツカーの未来を形作ります。」

▲ポルシェAGのCEOであるオリバー・ブルーメ氏(左)とバーデン=ヴュルテンベルク州首相の ヴィンフリート・クレッチュマン氏(右)

 政界からは、バーデン=ヴュルテンベルク州首相のヴィンフリート・クレッチマン氏、連邦経済エネルギー省議会国務長官のトーマス・バレイス氏、テュービンゲン市長のボリス・パルマー氏が会社設立の正式な発足に駆けつけた。

また、関連企業として、ポルシェAG取締役会会長であるオリバー・ブルーメ氏、ポルシェの研究および開発担当取締役であるマイケル・シュタイナー氏、およびカスタムセルズ・イツェホーGmbHのマネージングディレクターであるレオポルド・ケーニッヒ氏とトーゲ・テーネッセン氏が出席した。

この新しいベンチャー企業は、ポルシェが83.75%の過半数の株式を保有し、テュービンゲンに本社を置く。この学園都市は、ヴァイサッハの研究開発センターやシュトゥットガルト=ツフェンハウゼンのポルシェAG本社の近郊に建設予定のバッテリー工場の候補地にも挙げられている。従業員数は、両社が共同で提供していた当初の13名から、2025年までに80名まで増加すると見込まれている。ドイツ連邦共和国とバーデン=ヴュルテンベルク州は、約6000万ユーロの資金をこのプロジェクトに提供する。

▲カスタムセルズ社のCEOであるトーゲ・テーネッセン氏

■カスタムセルズ社 CEO トーゲ・テーネッセン氏 コメント
「私たちは、最も要求の厳しいアプリケーション向けに顧客固有のバッテリーセルを開発することを目的としてカスタムセルズを設立しました。これを今まさにポルシェと一緒に実現することができます。計画されている生産工場の目標は、年間に最低でも100MWhの容量を達成することです。これは、自動車1,000台分の高性能バッテリーに相当します」

■カスタムセルズ社のCEO、レオポルド・ケーニッヒ氏 コメント
「私たちは、セル技術と生産に関する専門知識だけでなく、機動性、革新的な長所、個々の問題解決スキルでもポルシェとのパートナーシップに貢献します」

■ヴィンフリート・クレッチマン州首相 コメント
「本日のセルフォースの設立により、ポルシェとカスタムセルズは重要なメッセージを発信しています。電動化はエネルギーと輸送の移行に向けた中心的な柱の1つであり、最新のストレージ技術は将来の主要な技術となります。これらのストレージ技術を使いこなした者が繁栄と雇用を確保できます。バーデン=ヴュルテンベルク州は、個々のハイテクコンポーネントやバッテリー製造の生産技術からバッテリーシステムやリサイクルに至るまで、バリューチェーンのすべての主要な部分を集約しています。これをさらに拡大するために、とりわけ戦略的対話である『自動車産業BW(バーデン=ヴュルテンベルク)』に取り組んでいます。」

▲919ハイブリッドは、ダウンサイジングターボエンジンと、ライバルより早くリチウムイオンバッテリーを用いたハイブリッドシステムを採用。ル・マンを3年連続で制覇した

■ポルシェ 研究開発部門担当取締役 ミヒャエル・シュタイナー氏 コメント
「ポルシェは、1931年にシュトゥットガルトにエンジニアリングおよび開発の事務所として設立されました。今日にいたるまで、私たちの高性能スポーツカーの心臓部である技術を購入することはできません。私たちはそれを自身で開発しているのです。だからこそ、将来の主要技術であるバッテリーセルを自分たちで開発して構築することが理想にかなっているのです。この新しいハイテクを最も競争の激しい環境であるモータースポーツで最初にテストすることも同様に論理的です。私たちのフル電動スポーツカーであるタイカンは、ル・マンで優勝したポルシェ919ハイブリッドによってサーキットから重要な開発とその主要な技術的特徴を受け継ぎました。」

▲919ハイブリッドの開発を通じて蓄積された電動化技術は、タイカンはもとより今後の市販車に活かされていくことになる

 新しい高性能セルの化学的性質は、陽極材としてシリコンに依存している。この材料を使用すると、現在の優れた市販のバッテリーと比較して、電力密度を大幅に高めることが可能になり、より小さなサイズで同じエネルギー量を供給できる。また、新しい化学的性質により、バッテリーの内部抵抗も減少し、エネルギーの回生中により多くのエネルギーを吸収すると同時に、急速充電の性能が向上する。

また、セルフォースのバッテリーセルの特徴として、高温への耐性が向上していることが挙げられる。これらはすべてモータースポーツで高く評価されている品質だ。さらにサーキットでの使用では、必ずしもバッテリーが氷点下の温度で機能する必要はなく、また長年にわたる多くの充電サイクルについて安定している必要もない。こうした目標は、この新しいセル技術ではまだ達成されていない。

▲次世代リチウムイオン電池セルの開発パートナーに、ドイツに本拠を置く世界最大の総合化学メーカー「BASF」が選ばれた

 リチウムイオン電池セルの開発パートナーには、世界をリードする化学メーカーのBASFが選ばれた。共同研究の一環としてBASFは、高速充電と高エネルギー密度を可能にする高性能セル用の高エネルギーHEDTM NCMカソード材を独占的に提供する。フィンランドのハルジャバルタにあるカソード材の一次製品製造施設とドイツのブランデンブルク州シュヴァルツハイデにあるカソード材製造施設では、BASFは2022年から業界有数となる、低カーボンフットプリントのバッテリー材料の生産が可能になる。

 ポルシェとカスタムセルズ社の契約は、2021年5月21日に締結された。新生セルフォース・グループGmbHのマネージングディレクターには、ポルシェから最高執行責任者のマルクス・グレフ氏、最高財務責任者のヴォルフガング・フュスケン氏、そしてカスタムセルズから最高技術責任者のトーゲ・テーネッセン氏が就任する。

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