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バイデン大統領がフォードF150視察&試乗。EV化推進の引き金になるか

Writer:土方細秩子 

▲バイデン大統領(写真右)は5月18日にフォードのルージュ電気自動車センター(ミシガン州)を訪問 ビル・フォード取締役会長(写真左)とF150ライトニングの前で記念撮影
▲バイデン大統領(写真右)は5月18日にフォードのルージュ電気自動車センター(ミシガン州)を訪問 ビル・フォード取締役会長(写真左)とF150ライトニングの前で記念撮影
▲フォードF150ライトニング DIYやアウトドアライフを満喫する米国ユーザーのライフスタイルとトラックは相性がいい

 フォードが新型EVトラック、F150ライトニングを公開、そのイベントにバイデン大統領が出席(5月18日)して自らの手でこのトラックを運転したことが大きなニュースとなった。バイデン大統領は公約として環境政策、EV化に向けての全国の充電インフラ整備などを掲げており、米国のベストセラーカーでもあるF150ピックアップの電動化は大統領自身にとっても大きな成果としてアピールできる。

 このところ米国ではテスラのサイバートラック、リビアンのR1TなどEVトラックが次々に発表され、すでに本格的な生産が始まっている。そんな中で、とくにフォードF150に注目が集まる理由は、F150が長年にわたり米国で最も売れているモデルだからだ。

▲シボレー・シルバラード

 昨年の販売台数を見ても、ダントツのトップはフォードFシリーズ(150と250=150よりも大型でスーパーデューティというサブネームを持つFシリーズ)で、78万7422台を売り上げた。2位が同じくピックアップのシボレー・シルバラードで58万6675台。3位もまたピックアップでダッジ・ラムピックアップの56万3676台。

 これに続くのが43万387台のトヨタRAV4、ホンダCR-Vの33万3502台、乗用車は6位のトヨタ・カムリが29万4348台で最上位だ。

▲ダッジ・ラム

 なぜそれほどまでにトラックが選ばれているのかというと「米国人の好み」に合っているから。仕事にも遊びにも日常生活にも使える多目的性が大きな魅力だ。キャンプに行くにもトラックなら、かなりの積載能力がある。釣り用のマイボートを持っている米国人は多く、ボートを牽引できるタフなパワーなども好まれるポイントだ。

 中でもFシリーズはデビューが1948年、と長い歴史を持つこと、フレームにアルミを採用しタフでありながら軽量、燃費も優れていることなど。フォードの広報発表によると、走行距離が25万マイル(約40万km)を超えるクルマで最も多いのがFシリーズなのだという。それだけ耐久性に優れ、壊れない性能にも定評があるのだ。

 そのFシリーズがついにEV化、というので話題になるのは当然ともいえる。フォードはEV化に積極的に取り組んでいる。伝統あるスポーツモデル、マスタングのEV化(マスタング・マッハE)を行ったことからもその本気度が見て取れる。

▲フォードF150ライトニング 洗練されたスタイリングは都市部の景観にもマッチする

 F150ライトニングはダブルキャブの4ドアモデル。全長×全幅×全高5910×2032×2004mm、ホイールベースは3696mm。

 プロ、XLT、ラリアット、プラチナムの4グレードがあり、バッテリーはスタンダードレンジ(航続距離約395km)が基本で、プラチナムはエクステンデッドレンジ(約480km)も選べる。32アンペアのモバイルチャージャーが標準で付属し、一般家庭のコンセントから充電できる。

▲フォードF150ライトニングのインテリア ダブルキャビンで後部座席を設定

 フォードインテリジェンスバックアップパワーシステムは、停電などで電気が使用できない場合に、クルマのバッテリーから給電する技術。一般的なアメリカ家庭の電力3日分がカバーできる。

 F150ライトニングはテスラと同様に、ソフトウェアの自動アップデートに対応。つねに最新バージョンを提供する予定だ。この機能はドライバーのデータをフォードに送信するため、プライバシーを優先するユーザーはサービスオフにすることもできる。

 フォードは「ブルークルーズ」という一部自動運転機能を開発。全米の10万マイル(約16万km)以上をカバーするハンズフリーブルーゾーンと呼ばれる高速道路の一部で、F150エレクトリックはハンズオフ走行が可能になる。

▲F150ライトニングはボンネット部分が大きなラゲッジスペースとして利用できる

 価格は最もベーシックなプロが3万9974ドル(約420万円)。テスラのサイバートラックは3万9900〜6万9900ドル、リビアンR1Tは 6万7500〜7万5000ドル。

 F150ライトニングには、発表から48時間で4万4500台の予約が入った、という。これはFシリーズの販売台数の約5%に相当する。EVが米国では新車全体の2%程度にとどまっている現状を考えると、非常に多い数字だといえる。

 リビアンのR1Tの予約数は3万台、テスラ・サイバートラックは50万台といわれるが、納車待ちユーザーが一気にフォードに流れる可能性もある。なお、5月末時点で、「Fシリーズライトニングの予約は7万台を超えた」とメーカーは発表している。

▲R1T(写真)はEVトラック・ベンチャーとして注目を集めるリビアン社の量産モデル
▲テスラ・サイバートラック 近未来的なデザイン性とタフな性能を追求

 そもそもフォードの生産能力は、新興メーカーに比べて格段に勝る。歴史を振り返れば、大量生産は20世紀初頭にT型フォードが生み出した「革命」だった。フォードはF150のためにミシガン州に新たな工場の建設を昨年9月に開始した。F150ライトニングの実際のデリバリーは2022年半ばからを予定しているが、それに合わせてバッテリー工場も新設している。

▲フォードのルージュ・エレクリック・ビークルセンター(F150エレクトリックの生産拠点)でスピーチをするバイデン大統領

 つまりフォードF150ライトニングは、最初のデリバリーはライバルより遅れるものの(テスラ、リビアンは今年中にデリバリーが始まる予定)、生産がスタートすれば、バッテリーと合わせて大量生産が可能になる。これはフォードにとって大きな強みになる。

 人気の高いベストセラータイプからEV化する、という戦略は現時点でうまくいっているように見える。アメリカではEVピックアップモデルがますます充実し、電気自動車普及を早める結果につながるのかもしれない。

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