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「ニッサン インテリジェント ファクトリー」を公開。生産技術の革新で2050年カーボンニュートラルを実現

Writer:横田康志朗 

 日産は、革新的な生産技術で次世代のクルマづくりを支え、カーボンニュートラルの実現に貢献する日産独自のクルマづくりコンセプト「ニッサン インテリジェント ファクトリー」を導入した栃木工場の生産ラインを初公開した。あわせて、生産工場において2050年カーボンニュートラルを実現するロードマップを発表した。

▲ニッサン インテリジェント ファクトリーを公開

 日産は、これまで高品質で高効率な生産工程や高い技能を持つ匠の技術により、高精度なクルマづくりを実現してきた。しかし、生産を取り巻く事業環境は大きく変わりつつある。従来の労働集約型の生産から脱却し、高齢化社会や深刻な人手不足に対応するための労働環境改革や、気候変動やパンデミック等の予期せぬ事態への対応が求められている。さらに、クルマの電動化や知能化、コネクテッド技術によって、クルマの機能や構造の高度化、複雑化が急速に進んでいる。

日産はこうした環境の変化に対応し、クルマづくりのあり方を変えていく「ニッサン インテリジェント ファクトリー」を日本の栃木工場に初めて導入した。同コンセプトによって、電動化技術やコネクテッド技術を数多く搭載した次世代のクルマへの対応、匠の技を伝承したロボットによる最高品質の量産、人とロボットが共生する誰でも働きやすい職場、さらにはゼロエミッションの生産システムを実現し、脱炭素社会に向けた取り組みを加速させていく。同工場では、本年度より新型クロスオーバーEV「日産アリア」の生産を開始する。

■日産 生産・SCM担当副社長 坂本 秀行氏コメント
「現在、自動車業界は大きな変革期にあり、気候変動に対するグローバルな課題解決も待ったなしの状況です。しかし、私たちはこれをチャンスと捉えています。日産のDNAの一つであるモノづくりの強さをさらに発展させ、革新的な生産技術を開発・適用することで直面する課題を打破し、栃木工場を皮切りに『ニッサン インテリジェント ファクトリー』をグローバルに導入していくことで、脱炭素化社会に向けた次世代のクルマづくりを推進します。そして、生産分野においても人々の生活を豊かにするためのイノベーションをドライブし続け、今後の日産の飛躍を支えていきます。」

▲今年度中に「ニッサン インテリジェント ファクトリー」を導入した栃木工場では、新型クロスオーバーEV「日産アリア」の生産を開始する予定だ

また、日産は2050年までに事業活動を含むクルマのライフサイクル全体*1におけるカーボンニュートラルを実現する新たな目標に取り組んでいる。生産分野においては、「ニッサン インテリジェント ファクトリー」をはじめとする車両組み立て時の生産効率を向上させるイノベーションを推進すると同時に、工場で使用するエネルギーと材料の効率を向上させることで、カーボンニュートラルを実現していく。具体的には、工場のエネルギーを削減しながら革新的な生産技術を導入し、2050年までに工場設備を全面的に電動化。同時に、使用する電気をすべて再生可能エネルギーで発電された電気と代替燃料を使って燃料電池で自家発電した電気に替えていくことで、生産工場におけるカーボンニュートラルを実現していくとしている。 

*1 クルマの、原材料の採掘から、生産、クルマの使用、使用済み自動車のリサイクルや再利用までを含んだライフサイクルのこと

ニッサン インテリジェント ファクトリーについて

▲ニッサン インテリジェント ファクトリー

ニッサン インテリジェント ファクトリーの柱として4つが挙げられる。
1つ目は、「未来のクルマを作る技術」CASEへの対応だ。電動化や知能化、コネクテッド技術など、より高度で複雑な技術が搭載される次世代のクルマを生産するため、生産ラインを革新。

2つ目は、「匠の技で育つロボット」最高品質の量産を目指し、匠の磨き抜かれた技を数値化し、ロボットに伝承する。一方匠(人)は更なる現場改善や、自動化できない感性品質や複雑化する技術への対応などによって最高品質のクルマづくりを支えていく。

3つ目は、「人とロボットの共生」。人には厳しい作業をロボットが助けることで、人が働きやすい環境をつくっていく。女性や高齢者も活躍できる工場にすることで、働き方の多様化を推進する。

4つ目は「ゼロエミッション化生産システム」カーボンニュートラルへの対応だ。2050年カーボンニュートラルの実現に向け、生産設備の完全電化と再生/代替エネルギーの全面適用を推進する。

▲パワートレインの取り付けにおいて、従来、複数工程で人による手動組付け、高負担な作業姿勢での作業が求められていたが、一括搭載システム「SUMO」を導入することで自動一括搭載が可能となった

 具体的な技術として、従来、人による手動組付けや、高負担な作業姿勢での作業が求められていた作業を、機械により代替えを行った「パワートレイン一括搭載システム」や「サスペンションリンク自動締付け&自動アライメント調整」、「ヘッドライニング自動組付け」などが挙げられる。同時にリアルタイムに車両位置を計測し、ロボットによる自動調整により、匠を超える高精度での組付けを実現する。

▲塗装外観工程では、11台のロボットが、ボディとバンパーの外観を検査することで、ごみやブツの検出率100%を実現(直径0.3mmのゴミまで検出)
▲低温で硬化する水系塗料を新開発し、ボディとバンパーの一体塗装、焼付けを実現することで、使用エネルギーを25%削減

 様々な「モノ」がインターネットに接続される、IoT化による品質保証管理システムにより、各工程の品質検査を自動化され、人による誤判定を防止する。全ての生産車の検査結果は自動記録(トレーサビリティ強化)される。また各システムは、リモートによる設備メンテナンスが可能となっており、万が一設備が停止した際にも集中管理室より最適な復旧方法を現場の保全員に指示することで、設備故障復旧時間を30%削減する。

▲設備故障診断システム&予知予防設備保全として、CBM(Condition Based Maintenance)診断技術を適用し、設備故障を未然防止する

■「ニッサン インテリジェント ファクトリー」での次世代のクルマづくり(Youtube動画)
https://youtu.be/YH5x_wBe1hM

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