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北米でピックアップトラックが大人気。その歴史的背景とユーザー気質を分析

Writer:牧野茂雄 

▲トヨタ・タンドラ(2022年モデル) 3.5リッターV6とハイブリッドをラインアップ 全長は5933〜6413mm
▲トヨタ・タンドラ(2022年モデル) 3.5リッターV6とハイブリッドをラインアップ 全長は5933〜6413mm

 いま、世界的にSUVが売れている。スポーツ・ユーティリティ・ビークルという名前のとおり、さまざまなスポーツの道具を運べるスペースを持つワゴンである。発祥の地はアメリカであり、昨年の米国市場ではクロスオーバー(複数のカテゴリーの特徴を兼ね備えたクルマ)も含めて744万台が売れた。では、アメリカ市場で2番目に売れたカテゴリーは何か。それはピックアップトラック(PUT)である。

 2020年のアメリカ市場で販売されたライトビークル(LV=車両重量3.5トン以下)は1458万台。コロナ禍で経済活動が停滞したため、販売台数は前年比で14・5%減と大きく落ち込んだ。内訳は乗用車(セダン/ハッチバック/クーペ/コンバーチブル)が351万8000台、前年比27%減、ミニバンおよびフルサイズバンが69万台、同4.7%減、PUTが293万台、同5.8%減、SUVが743万8000台、同9.5%減。

▲フォード・モデルTT(1917年) T型フォードをベースに荷台を設定 ピックアップトラックの先駆モデル

 カナダ、アメリカ、メキシコで構成される北米市場ではミニバン、PUT、SUVの3カテゴリーを合計してLT(ライト・トラック=軽量トラック)と呼んでいる。このクラスに分類されるモデルはかつて、ラダー(ハシゴ型)フレームにエンジンや変速機、サスペンションを搭載し、その上にボディを載せる方法で作られていた。

 現在でもPUTはこの方式が主流だが、SUVは日本勢がモノコックボディ化に先鞭をつけ、この技術が大勢を占めている。

▲1948年にフォード・Fシリーズの1stモデル(写真)がデビュー 

 ミニバンは1980年代に生まれた。「女性がスカートをはいたまま乗り降りできるよう床面は低く、車高は一般的なガレージに入るギリギリまで高くする」というコンセプトが先行し、多人数乗車の要素はのちに追加された。しかし、一家に複数保有が多いアメリカでは「ミニバンは子育ての象徴」として男性に嫌われた。

 男性はPUTを好んだ。「西部開拓時代の馬のように個人専用」「サーフボードなどを運べる」「価格が安い」「クラスレス」など、PUTには普及のための要件がそろっていた。

▲クライスラー時代のアイアコッカ会長が送り出したヒット作がミニバンのプリマス・ボイジャー(写真)とダッジ・キャラバン(1983年デビュー)

 PUTの元祖は、フォードがT型のキャビン後方に荷台を取り付けて販売したモデルTランナバウト・ウィズ・ピックアップボディである。これがピックアップというカテゴリー名になった。
 
 つまり、もともとは商店や農家の仕事用のクルマだったが、日常でも使われたため、手軽に購入できる移動手段として広がっていった。西海岸の若者がサーフボードを載せて走るようになったのは1970年代であり、その後は都市の若いビジネスマンが乗り回すようになり、瞬く間に「アメリカのパーソナルカー」になった。

▲GMCシエラ 5.3リッターV8+10AT 全長5885mm 駆動方式は4WD

 売れ筋はフォードFシリーズ、GMシボレー・シルバラード、GM・GMCのシエラ、クライスラー・ダッジ・ラムなどの大型サイズ(フルサイズ)。エンジンはほぼ排気量5リッター以上のV8である。

 日本勢ではトヨタ・タンドラと日産フロンティアが売れている。フルサイズPUTを発売するということが、アメリカ市場で「自動車メーカー」として認められた証拠といわれ、販売台数では健闘している韓国ヒュンダイ(現代)も、まだこのカテゴリーには参入していない。

▲日産フロンティア(2022年モデル) ダットサン・トラックがルーツ 3.8リッターV6搭載 全長5339〜5692mm
▲ホンダ・リッジライン 3.5リッターV6搭載 全長5339mm(210インチを0.2インチ超えた数値)

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