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日本のクルマ好きの聖地を目指す!? 新東名からアクセス抜群の富士モータースポーツフォレストの全貌

Writer:世良耕太 

▲富士スピードウェイは2026年に開業60周年を迎える 記念の年に向けて富士モータースポーツフォレストの整備が進む
▲富士スピードウェイは2026年に開業60周年を迎える 記念の年に向けて富士モータースポーツフォレストの整備が進む

 トヨタ自動車と富士スピードウェイ、そして4月27日に「トヨタ不動産」に社名を変更する東和不動産は、4月6日、静岡県小山町で推進する富士モータースポーツフォレスト(以下、フォレスト)の概要を発表した。

 フォレストは国際格式のサーキット、富士スピードウェイを中心とする一大開発プロジェクトだ。開発エリアの総面積は約250ヘクタールにおよぶうえ、開発期間が長期にわたるため「総工費の算出は難しい」とデベロッパー側は説明する。とても大きなスケールのプロジェクトだ。

▲国際格式の富士スピードウェイを中心にたくさんの施設が整備される

 プロジェクトの先陣を切るのは、今秋に西ゲート寄りで開業する富士スピードウェイホテルだ。運営はラグジュアリーホテルを展開するハイアットが行い、日本初上陸となるアンバウンド コレクションby Hyattとして開業する。

 建物内にはトヨタ博物館(愛知県長久手市)が監修する富士モータースポーツミュージアムが同時に開業する。プロジェクトを推進する事業体の顔ぶれから、「トヨタ系の車両ばかり?」と早合点してしまいそうだが、「国内外各メーカーの時代を象徴するレーシングカー約40台を展示すると予告している。

 完成イメージ画像には、1991年に日本車として初めてル・マン24時間レースで総合優勝を果たしたマツダ787Bらしき車両が描かれている。3層構成の広いスペースをゆったり使った展示になるようだ。

▲レーシングチームのガレージ見学でチームスタッフの仕事が見られる

 東ゲートから西ゲートにかけては、2018年から東和不動産が中心となって開発を行っている。当時はモータースポーツビレッジ計画の仮称を掲げていた。東ゲートと西ゲートを結ぶ町道の南側には新東名高速道路を建設中だ。

 4月16日には伊勢原大山IC〜新秦野IC間(13㎞)が開通し、残る未開通区間は新秦野IC〜新御殿場IC(26㎞)となった。この区間は当初2023年度の開通を見込んでいたが、一部のトンネル工事が難航しているため、遅れるもようだ。

▲新東名・小山PAのスマートインターチェンジからアクセス抜群

 新御殿場ICの東側に設置が予定されている小山パーキングエリア(PA)は一般道と接続するスマートICとなる。小山PAが開業すると、フォレストへのアクセスは非常に便利になる。新東名高速道路開通後のフォレストへのアクセスは、東京から約1時間、名古屋からは約2時間半。

▲温泉施設やレストランなどモータースポーツ以外の楽しみ方も提案

 東ゲートから西ゲートにかけてのエリアには2023年以降順次、レーシングチームのガレージがオープンする予定だ。ガレージは国内プロチーム用、国内外アマチュア用プライベート、自動車メーカー用大型に大別できる。

 トヨタ自動車の代表取締役でもあり、モリゾウ選手名でレーシングドライバーとしても活動する豊田章男氏が代表を務めるルーキー・レーシングは、3月3日に新ガレージの竣工式を行った。
 
 このルーキー・レーシングを筆頭に、プロチームのガレージは、見学ツアーを催してファンと交流する場を提供する予定。ドライバーやエンジニア、メカニックが働く姿を公開することによって、モータースポーツの魅力をより豊かに発信する考えだ。

▲富士山が至近に見られるリッチな宿泊施設 運営はハイアットが行う

 フォレスト開発エリアには宿泊施設や温浴施設、レストランが開業する予定。ショッピングを主体にした娯楽施設がアウトレットモール、地域振興を中心とした商業施設が道の駅なら、フォレストはモータースポーツを軸とした一大アミューズメントエリアになる。

▲走行会やモータースポーツ観戦後にゆっくりと食事を楽しみ宿泊するライフスタイルを提案

 富裕層を対象にした「クルマを走らせる場所」としても、フォレストは注目を集める。ポルシェはブランド体験施設のエクスペリエンスセンター東京を2021年10月に千葉県木更津市に開設した。フェラーリやランボルギーニなどを販売するコーンズ・アンド・カンパニー・リミテッドは千葉県南房総市に会員制のサーキットを建設中だ。スーパーカーのオーナーは、所有するクルマの性能を存分に引き出す場所を求めており、その要求を満たす場所が増えつつある。

▲博物館の運営はトヨタ博物館が行う トヨタ車以外の展示も予定するもよう

 富士スピードウェイは長い歴史を持ち、幾多の名勝負を生んできたが、富裕層を受け入れるホスピタリティは未整備だった。フォレストの開業で、富裕層がカーライフを堪能できる環境が整う。

▲富士スピードウェイホテル内は空間にゆとりをもたせたゴージャスな作り

「クルマを愛する大人の遊び場、社交場」を目指す姿に位置づけているが、それはフォレストが持つ一面でしかなさそうだ。「未来のモータースポーツやモビリティのショーケース」としての面も併せ持つ予定。

 トヨタは昨年から水素エンジン搭載車でスーパー耐久シリーズに参戦している。これは「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり」の一環であり、同時に、カーボンニュートラル社会の実現に向けた取り組みの一部でもある。

 フォレストには水素ステーションが設置されることになるだろうし、東京オリンピック・パラリンピックで走らせた自動運転小型バス、eパレットのような車両もあるだろう。

▲富士スピードウェイはウーブン・シティに近い 相互に連携した活動が期待される

 トヨタが整備する未来型実験都市ウーブン・シティの建設が進むのは静岡県裾野市で、フォレストとは目と鼻の先だ。「住」のウーブン・シティと「遊」のフォレストが有機的に結びついたプロジェクトが生まれても不思議はない。

 ホテルとミュージアム以外の施設に関する開業時期は未発表だが、プロジェクトのピークについての予測はつく。富士スピードウェイは2026年に開業60周年を迎える。節目の「大事な年」に向けて、富士スピードウェイ周辺は未来に向けた大きな変貌を遂げていくことになる。

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