バブル絶頂期に誕生したホンダNSX(1stモデル)の思い出

1990年にデビューしたホンダNSXの衝撃的な走行性能を振り返る。

アウトバーンで超250km/hを経験

264e57d0db6b1d7f3b4e8be30e8a69b62bde7d11.jpg▲ホンダNSXーT(タルガトップ仕様)

 日本中をある種の狂気に駆り立てたようなバブル景気。それがピークに達した1990年、1stホンダNSXは誕生した。潤沢な開発資金をふんだんに投入。欧米の自動車先進国に追いつけ追い越せの気概に満ちあふれていた日本メーカーのエネルギーは、すさまじかった。

 NSXはホンダが取り組む初めてのスーパースポーツ。開発当初から〝世界の一流スポーツカーと肩を並べる〟のが絶対的な目標だった。

 アルミを多用した軽量ボディのミッドシップにマウントされた3ℓ・V6は、厳しい排出ガス規制をクリアしながら280㎰/30・0㎏・m(MT)を引き出した。ドイツのニュルブルクリンク・サーキットにワークショップまで作り、徹底して鍛え上げられたボディとシャシーは一級といえるレベルに達した。

 ボクは日本でのテストにたびたび参加していたが、アウトバーンでの開発プログラムにも参加した。そこで、日本車としては初めて〝オーバー250㎞/hの世界〟を体験した。

 NSXのスピードメーターは、あっけないくらい簡単に250㎞/hを超えた。瞬間270㎞/h近くまで針は上がったが、こんな速度領域でもスタビリティに不安はなかった。ボクはリラックスして初めて体験するスピードゾーンを楽しんだ。ニュルブルクリンクでのトライもまた同じような感覚だった。

 デビュー後、世界中のジャーナリストやスポーツカーファンから多くの賛美の言葉がNSXに贈られた。そうなる展開はわかっていた。ポルシェやBMWのエンジニアたちからも、多くの称賛が寄せられた。

 同時期にデビューしたレクサスLS(トヨタ・セルシオ)、 日産スカイラインGT―R(R32型)に対しても同様だった。「日本のメーカーに入りたい」といった声を、何人もの海外エンジニアから聞いた。でも、それは遠い昔の話になった。

 そんな折の2nd・NSXの改良、発展はうれしい。

主要諸元

写真のグレード:T(AT/1995年3月発売)

価格:4SAT 995万円

ボディサイズ:全長×全幅×全高4430×1810×1170mm ホイールベース2530mm 車重1430kg

エンジン:3リッター・V6DOHC24V(265ps/6800rpm 30.0kgm/5400rpm)

10・15モード燃費:8.2km/リッター

乗車定員:2名

駆動方式:MR

タイヤサイズ:フロント:215/45ZR16/リア:245/40ZR17

ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク

サスペンション:前後ダブルウィッシュボーン

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