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連載第4回 いきなり1000万円超え!  高飛車アウディA6のナゾ の巻

Writer:小沢コージ Photo:小沢コージ

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■プロフィール 小沢コージ●クルマや時計、時に世相まで切る自動車ジャーナリスト兼TBSラジオパーソナリティ。『ベストカー』『MONOMAX』『webCG』『日刊ゲンダイDIGITAL』「カーセンサーEDGE』で自動車連載、『時計BEGIN』で時計人物連載。毎週土曜18時50分TBSラジオ『小沢コージのカーグルメ』

●つくづく二極化の道を辿るニッポン!

 みなさん! 知ってますか? 日本のお金持ちがどうやら増えているらしい事実を。2018年12月18日に野村総合研究所(NRI)が発表した「2017年の純金融資産保有額別世帯数と資産規模についての推計」によると、金融資産1億円以上5億円未満の日本の富裕層は約118.3万世帯。別統計データによれば、アメリカ、中国に次ぐ世界3位レベルで、しかも増加傾向。一見、軽ばかりが売れてビンボー化が続く日本ですけど、一部では逆に伸びているのです。言うまでもなく二極化現象そのものです。先日、見事にそれを裏付けるようなことがクルマ界でも起きていました。

17_02web.jpg▲試乗した新型アウディA6アバント55TFSIクワトロSライン 全長×全幅×全高4950×1885×1475mm 1041万円

 それは今年3月20日に日本で発表されたプレミアムセダン&ワゴンのアウディ「A6」。1968年に発表されたアウディ100以来、今回8世代目にあたる伝統モデルが、なんとA6セダン55TFSIクワトロSライン1006万円! A6アバント55TFSIクワトロSライン1041万円!

 いきなり直噴3リッターV6ターボのトップグレードから発表したこともありますが、ついに本格1000万円超え。かつて400〜500万円で売っていたアウディ100を考えるととんでもない価格上昇です。もちろん、同じくトップグレードが1000万円を越えるBMW5シリーズが649万円、メルセデス・ベンツEクラスが715万円スタートであることを考えると、A6も今後700万円ぐらいの廉価版が出るはずです。

12web.jpg▲後席の居住性を確認しながらイッキに1000万円を超えた理由について一考する

 とはいえ、かつて400万円で買えたBMWの5シリーズ、メルセデスのEクラス、アウディA4が、軒並み実質500万円超えになった以上の衝撃。ぶっちゃけ、わかりやすいクルマのお金持ち化です。

 Eクラスで見てみると、一番安い715万円のE200アヴァンギャルドと1074万円のE450 4マチックエクスクルーシブは価格差359万円ですが、大きな違いはエンジンが2リッター直4ターボから3リッターV6ターボになったのと、駆動方式がFRから4WDになったぐらい。実は細かい装備面も大きく違うのですが、正直それでプリウス1台分って一体ナニ? というのが庶民感覚。エンジン2気筒分と四駆化だけでプリウス買える値段ってなに? という。でも、それこそがいまのお金持ちの感覚なのです。

●異様なレベルのハイテクの塊

 論より証拠、セダンより人気というワゴン版のアバント55TFSIクワトロSラインに乗ってみました。まず見た目は威風堂々、トップモデルのアウディA8と見間違わんばかりです。お馴染みのシングルフレームグリルはもちろん、全長×全幅×全高4950×1885×1475mmで、ホイールベースが2925mmとゆったり。同じく4.9m台ですが、ライバル5シリーズ、Eクラスの中でもっとも大きい。

01web.jpg▲新型アウディA6のインパネはフラッグシップのA8と質感や雰囲気を含めて近いものがある

 同時に、わかりやすいプレミアム感もあります。かつて高級車といえば、キラキラのクロームメッキでしたが、アウディ流はひかえめのアルミシルバー。グリルはもちろん、各部に質感の高いパネルが使われている点と、重要なのがハイテクディテール。A6は片側32個のLEDが使われたHDマトリクスLEDヘッドライトを標準装備。これが前方からライトを付けたクルマが来ても、それを避けて広範囲を照射できるのと、見た目にロボット感が高い。A8を含め、最近のアウディトップモデルは、ハイテク以上にデジタル化であり、ロボット化しているともいえるのです。

●アウディ独特のSFチックな世界観

4web.jpg▲シルバーとピアノブラックの組み合わせは未来的で宇宙船を操縦しているような感覚

 それは乗っても同様。インテリアはこれまたわかりやすく上質で、控えめなアルミパネルとリッチなピアノブラックパネルを多用。これらが段差なく滑らかにオーガニックに繋がっており、乗ると宇宙船の中にいるような独特の清潔感、緻密感が得られます。

14web.jpg▲メーターはアウディバーチャルコックピットと呼ぶフル液晶タイプ メーター内にマップを大きく拡大表示できる

 試乗したSラインはバルコナレザー表皮の電動スポーツシート装着で、これまた未来の宇宙船のよう。このあたりは、プラチナシルバーで覆われたセクシーなメルセデス、スポーティなBMWとは確実に世界観が違います。

9web.jpg▲Sラインは本革スポーツシートを標準装備 着座位置は低め

 そして、進化したデジタルインターフェイスのMMIタッチレスポンスの出来がまたいい。センター上下に10インチ以上はあるだろう横長ワイドディプレイが2連で備わっているのと、操作感がまたデジタルチック。アイコンを触ると振動がプルプル震え、iPhoneでも操作しているようです。音量ツマミもカチカチと精緻な節度感があって見事。誰もがわかりやすく「いいマテリアル」「いいハイテクメカ」に触れてる感覚が得られるのです。

●今後のプレミアムはデジタル化と上質化がカギ

 肝心の走りですが、ボディはこれまた得意のハイテク複合素材を多用して軽量高剛性。アルミパネル、アルミダイキャスト、熱間成型超高張力鋼板、スチールプラスチック複合材を上手に使い分けています。

 パワートレインはアウディ独自の縦置き3リッター直噴V6ターボのフルタイム4WDで、340ps&500Nmの余裕のパワー&トルク。これにモーター加速こそ加わりませんが、電圧高めの48Vマイルドハイブリッドシステムが加わり、見事に効率化。走行中にエンジンを止めるコースティングモードが付き、加速に切り替わった時のエンジン再始動も極めて静かです。

16web.jpg▲マイルドハイブリッドを巧みに組み合わせてギクシャク感を抑制 上質感とスムーズネスを演出

 オプションで付けられるハイテク4輪操舵システムのダイナミックオールステアリングホイールや、操舵角が変わるプログレッシブステアリングも凄い。これはいわゆる4WS機能で、高速走行中はリアタイヤがステアして、極端な話、並行移動するような高速レーンチェンジが可能となります。

 その結果、走行フィーリングは総じていうならば、氷の上をカーリングのストーンが滑っているようなイメージ。メルセデスやBMWも、もちろん上質ですが、よりトゲがなく、無駄なアクを取り去った味わいなのです。

19_02web.jpg▲走行フィールは極めてスムーズで安定感たっぷり 4輪操舵システムは大きなボディをスポーティに走らせる必須アイテム

 逆にメルセデスやBMWの方が、ステアリングの骨太感、生々しさがあるといえるのかもしれません。

 さらに、ここでも特筆すべきはハイテクレベル。今回、話題の自動運転レベル3は、日本はもちろん、ドイツでも本格導入できなかったのですが、新型A6は完全にその領域を睨んだハードウェアが投入されています。

 12個の超音波センサー、4個の360度カメラ、4個のミッドレンジレーダー、そして長距離レーダーとフロントカメラなど、合計22個のカメラ&センサーを装備。得られたリアル情報をNビディア TegraK1、Cyclone v、Infineon Aurix、Mobileye EyeQ3の4種の最先端チップを使って統合制御。まさしく走るロボット、世が世なら自動運転レベル3を始めて達成した量産車になり得たのです。もっとも最近では、レベル3を飛ばして、いきなりレベル4の乗用車が出てくるだろうと囁かれていますが。

●いままでにないことができる喜び

 というわけで、いままでにないアウディらしい精緻で静寂のプレミアム感とロボット顔負けの制御機能を持ったA6。内容を見ると単純に1000万円超えを果たした価格戦略に納得できるだけでなく、最新のプレミアムカーがどこを目指しているかがわかります。それは単なる走り味の上質化ではありません。クルマのロボット化を見据えているのです。

 単純に高級車が1000万円を越えた! と聞くだけだと、お金持ちが増えた事実を感じるでしょうし、実際にそのとおりの部分もあるのですが、もしもアウディA6で、自由に高速走行中に高度な運転支援システムを活用してスマホが見られるとしましょう。そうしたらお金持ちは買いたくならないでしょうか? いままでにない体験、サービスが受けられる喜び。それこそが未来のプレミアムカーが目指すものなのです。

 味と自動化、これこそがアウディA6の目指す根本。お金持ちがテスラに飛びついたように、時代を超えていくハイテクには価格を超えた魅力があります。A6は、間違いなくその領域を目指した新世代のデジタライゼーションプレミアムなのです。

20web.jpg▲ラゲッジは後席使用時565リッターと広大で仕立ても上質 電動リアゲートは開口部が大きく足元の操作で開閉可能

13web.jpg▲ホイールベースは旧型比15㎜延長した2925㎜ 後席足元は広い

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