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質実剛健、ドイツの特質を備えたミニカー

Writer:森永卓郎 Photo:森永卓郎

ジクは「はたらくクルマ」のラインアップが豊富

森永卓郎さん160.jpg■プロフィール もりながたくろう●1957年、東京都出身。東京大学経済学部卒業。経済アナリスト、獨協大学経済学部教授。個人のコレクションを展示する"博物館(B宝館)"を、埼玉県・新所沢で一般公開中(毎月第1土曜日)

2019年11月号森永卓郎さんメイン.jpg

▲ジク(SIKU)のVWタイプ2ポリスカー ルーフに装着した拡声器がユニーク ジクはドイツ国内で生産 農作業用車両や山林作業車/建設用車両など「はたらくクルマ」のラインアップが充実している

 ジク(SIKU)は、現存する最古のミニカーメーカーのひとつだ。1921年にドイツで設立され、当初は、プラスチック製のミニカーを作っていた。その時代の製品は、とても希少で、高いプレミアがついているため、残念ながらボクは持っていない。ただ、ジクがミニカーメーカーとして頭角を現したのは、63年に亜鉛ダイカスト製のミニカーを発売してからだ。

 当時は、イギリスのマッチボックスの全盛期で、販売面では、マッチボックスに遠く及ばなかった。ジクはダイヤカットガラスをヘッドライトに使用したり、ドアやボンネットを開閉式にするなど、より手の込んだミニカーを供給することで、存在感を示していた。

 写真は、ダイカスト製に乗り出した当初に発売されたフォルクスワーゲン・タイプ2のポリスカーだ。当時のミニカーとしては珍しく、ルーフに拡声器が装着され、ドイツ語表記の「POLIZEI」というデカールが美しい。

 全体は、いかにもドイツらしい質実剛健の作りになっている。

 ボクは、ジクのいちばん素晴らしいところは、「継続」だと思っている。ミニカーメーカーは栄枯盛衰が激しく、一世を風靡した会社でも経営権が譲渡されてしまう場合が多い。また、経営権が保持されていても、製造拠点を途上国に移してしまうケースがほとんどだ。

 これは、ミニカーが基本的に子供のおもちゃ、という点と関係がある。子供が買える値段で商品を供給しようと思ったら、人件費の安い国で作らざるを得ない。

 ところが、ジクはいまでも人件費の高いドイツで国内生産を続けている。それができるカギは、高価格だ。単純な比較はできないのだが、ざっくりいうと、ジクの価格はトミカの1.5倍だ。高価格でも、ジクが世界60カ国で販売されているのは、農作業車や連接路面電車などのユニークな車種選択をしていることや、ゴムタイヤを装着するといった、こだわりの作りをしているからだ。

 残念ながら、日本の量産ミニカーメーカーは、製造拠点をすべて海外に移してしまった。だが、ジクのビジネスモデルを考えると、ボクは「一部の商品は、国内製造ができるのではないか」と考えている。

 たとえば、トミカの国内製造は困難でも、高価格モデルをラインアップするトミカプレミアムとかトミカリミテッドは、可能だと思う。

 ぜひ、国産ミニカーを復活させてほしい

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