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連載第30回 CES2020で大衝撃! 超リアル夢計画 トヨタはなぜクルマじゃなくて「街」を作るのか?

Writer:小沢コージ Photo:小沢コージ

小沢コージ.jpg小沢コージ●クルマや時計、時に世相まで切る自動車ジャーナリスト兼TBSラジオパーソナリティ。『ベストカー』『MONOMAX』『webCG』『日刊ゲンダイDIGITAL』「カーセンサーEDGE』で自動車連載、『時計BEGIN』で時計人物連載。毎週土曜18時50分TBSラジオ『小沢コージのカーグルメ』 

●まったく無謀ではない合理的な巨大プラン

 あけましておめでとうございます。
 
 新年早々、トヨタさんには驚かされました。
 
 モーターショーを越える集客イベントとなったラスベガスの家電見本市こと「CES」(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)に来てるんですが、4000社を越える出展規模もさることながら、驚かされたのは日本の2大メーカー、ソニーとトヨタ!
 
 初のEVコンセプト「Vision-S」を出したソニーにも注目ですが、まずはトヨタです。

1トヨタ.jpg▲CESプレイベントでトヨタのプレゼンは章男社長自らが登壇 朝焼けに染まる霊峰富士の美しい画像から始まった
 
 CES本番前日のプレイベントで突然、豊田章男社長登壇。
 
 日本語なまりプンプンの英語で喋りだしたんですが、内容にビックリ。トヨタがクルマじゃなくって「街」を作るっていうのです。
 
 具体的には富士山の麓、東富士の関東自動車工場の跡地、175エーカーに2000人程度の人を集めて「Woven City=ウーブン・シティ」と名付けたコネクテッドシティを作っちゃう計画。

トヨタ5.jpg▲日本を代表する富士山の麓 裾野市の工場跡地を利用してCASEやMaaS、AIロボットなどの実証都市を構築するトヨタならではのビッグプロジェクト
 
 一見、夢物語のようですが相当本気であり、個人的には2年前のCESでMaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)用EVのeパレットを出して以来のインパクト。
 
 Woven Cityは考えれば考えるほど無謀な夢ではなく、すべての要求が満たされる相当いいとこ取りの計画なんですから。

●将来、東富士Woven Cityはトヨタの新たな聖地になる?

 まず2020年末までに閉鎖される東富士工場の跡地問題で、従業員約1100名は東北の岩手工場に異動の予定ですが、175エーカー=約70万㎡の土地が余る。

東富士.jpg▲場所は元関東自動車工業の工場跡地 東名高速道路の裾野インター直結といえる立地 左上には東富士テストコースが見える

 東京ドームにして15個分の巨大敷地ですからカンタンに再利用できるわけがない。
 
 今後も隣接する東富士研究所は残りますが、巨大オーバルコースを含むテスト施設はすでにほかにあるし、本格的サーキットは近くに富士スピードウェイが備わっています。
 
 かといって都会ではないので、そのままでは簡単に売れるわけもありません。
 
 よってトヨタグループが街、具体的には「a living Laboratory」=住める実験室を作るのです。

トヨタ2.jpg▲人々がリアルな生活を送りながら数多くの実証を安全に行える「研究実験都市」はトヨタだけでなく世界中の幅広い分野からニーズが見込める
 
 自由にCASE、つまりコネクティッド、シェアリング、電動化の実験が出来るわけで、なによりもノドから手が出るほど欲しいのが自動運転施設でしょう。

 いま、自動運転のプチバブル崩壊が叫ばれて、ドイツ勢はハンズオフ機能の販売が自国で許されていませんし、昨年に日本で解禁されたレベル3運転支援も、実は事故責任は変わらずドライバー側にあるという腰抜けな戦略。事実上、今後しばらくはレベル2プラスで続くのです。
 
 各メーカーが滞っているなか、最も重要なのは技術レベル以上にリアルに安全に実験ができるかどうなのか、という点。
 
 現実に人や自転車が通る道を自動運転車がどう走れるかのデータが大変重要になります。
 
 その点、Woven Cityは自由に街の構造をイジれるし、極端な話、歩行者に厳格なルールを当てはめることも可能。「半私有地」として、画期的な自動運転車実験ができるはずなのです。

20200107_01_07_s.jpg▲完全自動運転のe-Paletteが人やモノの移動をまかなうほかマルシェのような移動店舗として活躍する
 
 オマケに東富士研究所の周辺は人口が減るので、そういう意味でも集客を考えなければいけません。
 
 同時にトヨタグループにはトヨタホームという住宅会社があり、住宅地開発という意味でも考えれば考えるほどWoven Cityは現実的かつ夢ある計画なのです。
 
 いままでにないクルマに乗れ、街中を無料の自動運転バスが走り、トヨタの技術、燃料電池技術や太陽電池技術が搭載されたハイテクな家に住める。

20200107_01_08_s.jpg▲カーボンニュートラルな木材を使った住宅ではAIロボットが健康状態を把握して生活の質を向上 バルコニーからは富士山の絶景が楽しめる
 
 それだけで、多少不便でも近くの住民にとっては夢の街でしょう。将来的には価値、価格があがるかもしれません。
 
 具体的にどうやって人を集めるのか? どんなハイテクハウスやハイテクマンションを作るのか? 街中のルールをどうやって決めるのか? 
 
 疑問や課題は山のようにありますが、かつて東急グループが東横線をひいて自由が丘や田園調布といった高級ベッドタウンを作り、西武電鉄が同じく街を作り、球場やプロ野球団まで作ったコトを考えると、トヨタが工場跡地に「夢の自動車の街」を作ることは全然不思議じゃありません。

トヨタ4.jpg▲Woven Cityの設計を担当したデンマークの著名な建築家、ビャルケ・インゲルス氏も登壇
 
 オマケに実験施設としても今後ますます重要なわけで、Woven Cityはちっとも非現実的な夢ではないのです。というか、小沢も住んでみたい!? とちょっと思ってしまったレベル。
 
 クルマ好きがリアルで期待膨らませる初夢として、これ以上のものはないのです!

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