アバルト595コンペティツィオーネ賛歌

「愛らしいチンクエチェント」をベースにしたアバルト595コンペティツィオーネは、スタイリングを見ただけで「やんちゃ坊主」だとわかる。そして、走りにかける熱いスピリットがグイグイと伝わってくる、と筆者はサソリのエンブレムを付けたコンパクトモデルを評価する。見ているだけで伝わってくる走りの情熱は、実際に運転するとドライバーにどう訴えかけてくるのか。5MT仕様に試乗したショートインプレッション。

走ればわかる、サソリの情熱

2020年5月号岡崎コラム写真.jpg▲アバルト595コンペティツィオーネ

 アバルト595コンペティツィオーネは、正真正銘の「やんちゃ坊主」。見た目にも「ハンパではなさそう!」という感覚がグイグイ伝わってくる。ましてや、ベースが「愛らしいチンクエチェント」とあって、よけいにインパクトは強い。

 ギリギリまでローダウンされた車高と、1625mmの全幅の中にセットされた205/40R17サイズのタイヤは「いかにも走りそう!」だし、その奥に見える赤いブレーキキャリパーも、いかにも強力そうだ。

 キャビンでいちばん目につくのはダッシュボード上にセットされたターボのブーストメーターと、センターに位置する7インチのディスプレイ。センターディスプレイが装備されたのは2年ほど前だった。現行モデルはインフォテインメントシステムのUコネクトが採用され、アップルカープレイとアンドロイドオートが使える。スマートフォンと接続すれば、ナビをはじめ、いろいろな機能が使えて便利だ。

 エンジンは1.4リッター直4DOHC16Vインタークーラー付きターボ。ベース車のフィアット500が搭載する1.2リッター直4OHC8Vの最高出力は69psだが、サソリのバッジを付けたこのモデルは、180psにまで引き上げられている。

 トランスミッションは、いまどきちょっと珍しい3ペダルの5速MTが選べる。とにかく、ハイチューンエンジンとMTのコンビネーションはうれしいし、楽しい。

 スポーツモードを選んで発進する際に、うかつなアクセルの踏み込みは容易に前輪を空転させる。そのとき発生するトルクステアは大迫力だ。走り出した途端に、やんちゃ坊主の全貌が明らかになる。でも、その性能を手なずければ、面白いことこのうえない。

 乗り心地はかなり固く、粗さもある。けれど、それは「サソリのキャラクター」であり、楽しさの一部と受け止めればいい。

 とにかく「楽しいですよ!」と報告しておく。

■主要諸元

アバルト595(MT)
グレード:コンペティツィオーネ
価格:5MT 383万円
寸法・重量:全長×全幅×全高3660× 1625×1505mm ホイールベース2300mm 車重1120kg
エンジン(プレミアム仕様):1368cc直4DOHC16Vインタークーラー付きターボ 132kW (180ps)/5500rpm 230Nm(23.5kgm)/2000rpm (スポーツ時は250Nm、25.5kgm/3000rpm)
サスペンション:フロント:ストラット/リア:トーションビーム
ブレーキ:フロント:ベンチレーテッドディスク/リア:ディスク
タイヤサイズ:205/40R17
駆動方式:FF 
乗車定員:4名
パワーウエイトレシオ:6.22kg/ps
トルクウエイトレシオ:4.48kg/Nm(スポーツ時)

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