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電動化というより高級化?ボルボ初のちょい電動化48Vマイルドハイブリッド、XC60・B5

Writer:小沢コージ Photo:小沢コージ

top.jpg小沢コージ●クルマや時計、時に世相まで切る自動車ジャーナリスト兼TBSラジオパーソナリティ。『ベストカー』『MONOMAX』『webCG』『日刊ゲンダイDIGITAL』「カーセンサーEDGE』で自動車連載、『時計BEGIN』で時計人物連載。毎週土曜18時50分TBSラジオ『小沢コージのカーグルメ』

●本気の電動化の第一歩

「これはボルボ全モデル電動化戦略の一環です」(ボルボスタッフ)
 
 おそらくコロナ後初? かもしれない国内試乗会に行ってきた。
 ボルボの人気ミディアムSUV、XC60に新たに追加されたXC60・B5だ。

 Bはブレーキ回生システムを意味し、つまりブランド初の48Vマイルドハイブリッドモデル。

 これはぶっちゃけ、かなり政治的というか未来を見据えたボルボの戦略的環境車といえる。

フロント.jpg▲ボルボXC60 B5 AWD Inscription(インスクリプション) 価格:8SAT734万円

 覚えている人もいるはずだが、ボルボは2017年6月、いち早く「2019年から全モデルを電動化する」と宣言した。
 
 プレミアムブランド初というだけでなく、ほぼ同時にフランス政府が突如2040年までのエンジン車廃止を発表。立て続けにイギリスのジョンソン首相が2035年までのエンジン車廃止を宣言した頃。
 
 ボルボは期せずして電動化に熱心な先進的メーカーという世界的評価を勝ち得たのだ。
 
 とはいえ、勘違いしちゃいけないのはボルボのいう「全モデル電動化」の意味。
 
 これは全車をエンジン無しのピュアEVにすることでも、全ラインナップ同時に電動化することでもない。
 
 2019年以降、本国発表する"すべての新車"を電動モーター付きにする、だけ。
 
 それ以前に発売していた旧型はそのままだし、電動化にはマイルドハイブリッド車もプラグインハイブリッドモデルもピュアEVも含まれる。
 
 なかでも、最大のポイントがこのB5なのだ。

リア.jpg▲全長4690×全幅1900×全高1660mm/ホイールベース2865mm
 
 B5は既存メインエンジン、2Lガソリン直4ユニットの改良版に、小さなISGM(インテグレーテット・スターター・ジェネレーター・モーター)と0.5kWhのリチウムイオン電池を加えた新しいマイルドハイブリッドシステム。
 
 モーターは、欧州で当たり前になった48Vシステムで動き、小型な割に最高出力10kw(13.5ps)&最大トルクと40Nmとなかなか。
 
 しかし、トヨタ・プリウスのような60kw(82ps)や207Nmの巨大パワー&トルクは発揮しないし、モーターだけで動くEVモードもゼロ。
 
 電動化としてはかなり初歩的なものだ。

ジェネレーター.jpg▲エンジンルームに設定されたISGM(インテグレーテット・スターター・ジェネレーター・モーター)

バッテリー.jpg▲0.5kWhのリチウムイオン電池はリアラゲッジスペース端に配置
 
 要するにボルボがいう電動化戦略のほとんどが、この48Vマイルドハイブリッドへの置き換わり。
 
 今回のXC60はもちろんほぼ同時にXC90、今後すべての90、60、40シリーズで順次、ガソリン単独のT5に替わってB5が用意される。
 
 2019年のはずのXC60・B5の追加も、欧州から離れた日本マーケットだけにほぼ1年遅れ。
 
 いろいろな意味で小沢は過剰な期待をしていなかった。

●パフォーマンスには期待してなかった48Vマイルドハイブリッドだが...

 とはいえ、ひさびさに見たXC60は非常によかった。

 2017年発売のミッドサイズSUVで、2019年に世界で売れた70万台の全ボルボのうち20万台を占め、日本マーケットでも3000台以上とコンパクトなXC40に次ぐ人気。 

 サイズは全長4690×幅1900×全高1660mmと幅以外は日本でも最適。
 
 乗り込むと、ジマンのプレミアムな本革シートに枯れた味わいドリフトウッドの内装材の組合せが見事だ。

ダッシュ斜め.jpg▲インスクリプションのインテリアは上質な雰囲気
 
 なにより走り出しから意外なほど電動感が強い。
 
 前述のとおり、モーター単独のEV走行やEV発進は出来ないが、明らかに出足がいいし、滑らか。
 
 アイドリングストップからのエンジン再スタートもISGM効果で滑らかだし、全体に高級感が増したようだ。

前席.jpg▲本革シートは大型 自然に疲れにくい姿勢を維持してくれる
 
 さらに、ベースの2リッター直4ターボ、ドライブEユニットのパーツの約9割を新作。
 
 ピストン、シリンダー、シリンダーヘッド、ブロック、ターボチャージャー、エンジンマウントまで新調したらしく、明らかにエンジンの回りが気持ちいい。

エンジン.jpg▲第3世代の"Drive-E"ガソリンユニットはシリンダー表面処理の改良などでエンジン内部の摩擦低減を図るとともにCDA(気筒休止)システムを搭載
 
 高精度なものがロスなく回っている感覚が味わえる。
 
 体感は出来ないものの、時速30~160kmの範囲で作動する気筒休止システムも採用され、電動化に加えエコ度全体が増している。
 
 具体的にXC50・B5のWLTCモード燃費は11.5km/Lと、さほど良くはないが、既存のJC08モードに換算すると13.2km/L。旧型のマイルドハイブリッド無しのXC60T5の12.6km/Lに比べ、0.6km/Lほどいい。
 
 もちろん、これだけだと大したことはないが、ボルボ・カー・ジャパンがプロドライバーを使って実燃費を算出したところ、とくに街中でB5がT5を2km/Lほど上回ったという。

 
 実燃費が10km/Lも良くなるトヨタ・ハイブリッドには敵わないが、マイルドハイブリッドと考えると十分だ。
 
 価格はほぼ10万円アップの634万円スタートに留まっている。
 
 資料には載ってないが、ステアリングフィールや乗り心地のしっとり感も上がったように感じる新作XC60・B5。
 
 ボルボも燃費のわずかなアップだけで済まそうとは思わなかったのだろう。
 
 改良の本質は全体の高級感であり味わい向上にある、と小沢は考えている。

ラゲッジ.jpg▲ラゲッジスペースは広い

運転.jpg

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