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プラグインハイブリッドの潮目が変わった? 事実上500万円のRAV4PHVはなぜ売れるのか

Writer:小沢コージ Photo:小沢コージ

TOP.jpg小沢コージ●クルマや時計、時に世相まで切る自動車ジャーナリスト兼TBSラジオパーソナリティ。『ベストカー』『MONOMAX』『webCG』『日刊ゲンダイDIGITAL』「カーセンサーEDGE』で自動車連載、『時計BEGIN』で時計人物連載。毎週土曜18時50分TBSラジオ『小沢コージのカーグルメ』左は新型RAV4PHV担当の宮浦猛エンジニア

●発売3週間で突如受注停止!月販300台の見込みを軽くオーバー

 待ちに待った自粛解除後、初のトヨタ試乗会。

 新型ハリアーとともに登場したミッドサイズSUV、RAV4追加バージョンのPHVだが、予想外のニュースが待っていた。
 
 ご存知の方も多いだろう。6月8日の発売から約3週間で受注を一時停止したのだ。
 
 当初予定の月販300台を軽く越えたそうで、担当の宮浦猛エンジニアは「まさか500万円のクルマがそれほど売れるとは......」と吐露する。

フロント.jpg▲トヨタRAV4 PHV・BLACK TONE 価格:539万円 最上級グレードのBLACK TONEはツートンカラーでスペシャル感をアピール
 
 たしかにRAV4PHVの車両本体価格は469~539万円と全然安くない。
 
 同じくトヨタ製プラグインハイブリッドのプリウスPHVが、331.3万円から買えることを考えると、一見高くも見える。
 
 RAV4PHVは2020年4月にスタートしたばかりのトヨタとパナソニックの合弁会社、プライムプラネットエナジー&ソリューションズの新型リチウムイオン電池を使っているため、従来のハイブリッド用電池とは違い、簡単に替えが効かなかったという話もある。

リア2.jpg全長4600×全幅1855×全高1695mm ホイールベース2690mm 最低地上高200mm 車重1920kg
 
 とはいえ、よく見るとRAV4PHVとノーマルRAV4ハイブリッドの違いは結構大きい。
 
 価格差は実質約80万円だが、電池量は18.1kWhで、PHVではないピュアEVの日産リーフの半分近く、8.8kWhの電池を積むプリウスPHVと比べると倍以上も搭載している。
 
 フル充電状態からのEV走行距離は95kmと、プリウスPHVが68.2km走れることを考えるとあまり差は大きくないが、前者がWLTCモードなのに対し、後者JC08モードでの数値であり、なによりRAV4PHVの車重が約1.9トンであることを考えると健闘しているといえる。
 
 そして、なによりRAV4PHVはとんでもなく速い!
 
●ますます電欠しないピュアEVという存在に
 
 実際に乗ってみてわかったが、RAV4PHVの本質はジキルとハイドだ。
 
 まずフル充電状態で始まるEV走行モードでも街中は十分に速い。

エンジン.jpg▲2487cc直4エンジン(177ps/22.3kg・m)とフロントモーター(134kW/270N・m)を組み合わせリアはモーター(40kW/121N・m)で駆動する
 
 ベースのRAV4ハイブリッドでは88kWだったフロントモーターの出力が134kWに増大している。
 
 オマケにフルタイム4WDなので必ず40kWのリアモーターも付いてくる。
 
 加えて印象的なのは高速道路。
 
 EV用モーターは発進直後に最大トルクを発揮するので出足は間違いなくいい。
 
 ただし、高速では実際にどれだけ速くても、発進に比べると物足りなく感じる。
 
 ところがRAV4PHVは、そこでアクセルを床まで踏むか、ハイブリッドモードに切り替えてペダルを踏み直すと、エンジンがかかり「第2ロケット噴射!」という感じで2段目の加速を見せるのだ。
 
 これがマジで速い速い。
 
 0-100km/h加速が6秒というスペックや、システム出力がエンジンパワーを含め225kWh(306ps)というのにも納得できる。
 
 1990年前後にあった国内280馬力規制以上のパワーを絞り出しているのだ。
 
 ついでに乗り心地は電池で重くなった分、ノーマルRAV4よりしっとり感がある。

タイヤ.jpg▲235/55R19サイズのタイヤを装着 乗り心地はノーマルRAV4より重厚感がある
 
 もうひとついうと、RAV4PHVはEV大国アメリカではピュアEVのテスラ・モデル3やモデルYの実質対抗馬にもなりうると思う。
 
 もちろんベースモデルで比べると、モデルYは75kWhの電池を搭載して価格も600万円代からと高い。
 
 しかし、速さの質は違うものの、絶対的な速さでは相当迫っているし、当たり前な話、RAV4PHVには電欠の心配がない。
 
 電池フル充電&ガソリン満タンの状態から航続距離1300kmも走れるというのだ。

充電口.jpg▲充電口はボディ右側に設置 AC200V・AC100V兼用充電器が付属

給油口.jpg▲給油口はボディ左サイドに配置 レギュラーガソリン仕様
 
 実際にはテスラとはユーザー層が違う気もするが、ピュアEVの速さを知り、同時に恐さも知った新しもの好きがRAV4PHVに戻ってくることはあり得る気がする。
 
 いままで中途半端なイメージだったPHVが、EV並みに速くて、EVより怖くない電池増し増しHVとして再認識されているのかもしれない。
 
 RAV4PHVの人気、これからどうなるかに要注目。

ラゲッジ.jpg▲ラゲッジは490リッター 広いスペースを確保

真横.jpg

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