ソニーの電気自動車、VISION-S初試乗! どこを目指してなにをやり遂げるのか?

TOP.jpg小沢コージ●クルマや時計、時に世相まで切る自動車ジャーナリスト兼TBSラジオパーソナリティ。『ベストカー』『MONOMAX』『webCG』『日刊ゲンダイDIGITAL』「カーセンサーEDGE』で自動車連載、『時計BEGIN』で時計人物連載。毎週土曜18時50分TBSラジオ『小沢コージのカーグルメ』写真右はソニーVISION-S開発担当執行役員の川西泉さん

●残念、やっぱり売る気はない?

 いまニッポン自動車界、いや産業界で大注目の試作車にチョイ乗りしてきた。といっても助手席&後席だけだが。
 
 その名はソニー・ヴィジョンS。新春1月のデジタル見本市、ラスベガスのCESで初登場したソニーのEVコンセプトである。
 
 あのソニーが遂に電気自動車事業に本格参入か? というウワサがイッキに広がった。と同時に、試作車がヤケに魅力的だった。

フロント明るい.jpg▲ボディサイズは全長×全幅×全高4895×1900×1450㎜ ホイールベース3000㎜
 
 デザインはテスラ・モデルSや日産リーフなど既存EVには似ていないし、バッテリー&モーター搭載で実際に走れるらしい。
 
 イヤがおうにも期待させられちゃうではないか!
 
 そうしたら、8月上旬に試作車が日本上陸! ソニー本社の敷地内に限るが、短い同乗走行ができ、開発トップとも話せるという。
 
 小沢は喜び勇んで品川に向かったわけだ。

 ジャジャーン! 果たして玄関前に止まっていたヴィジョンSは、CESで見た通りだった。外光で見ると、より艶めかしくて塊感がある。なかなかイイ。

リア.jpg▲VISIONーSはソニーがマグナ・シュタイヤー社のプラットフォームを利用した新型EV 車重2350kg 前後にモーターを積むAWDでパワーは前後それぞれ200kWを発揮
 
 エクステリアは完全に社内デザインだそうで、全長×全幅×全高は4895×1900×1450㎜と、サイズ的にはテスラ・モデルSより微妙に小さい。
 
 フロントのリボンのようなマークが気になるが、聞けば電気でありコンデンサーをイメージしているとのこと。
 
 まずは最初に開発担当執行役員の川西泉さんを直撃してみる...
Q 期待している人も多いと思うのですが、実際に販売される予定はどうなんでしょう?
A (笑)。すいませんが、いまのところ予定はございません。

 と、あっさり撃沈。CESで聞いた時も同じ答えが返ってきたが、つくづく売る気はないらしい。

●狙いはセンサー事業の拡大と、車内エンターテインメント進化の二本!

 だが、車内に乗り、取材を続けて行くとソニーがヴィジョンSにかけた思いであり、実車を作った意味がわかってきた。

 まず、インテリアで驚くのが圧倒的エンターテインメント性能。
 
 インパネは全面横長スクリーンで、まさに走る映画館。

ダッシュ斜め.jpg▲インパネは全面的にモニターが配置
 
 厳密には3分割されており、運転席前はメーターや車両設定用モニターが付いているが、センターと助手席前はほぼAV用。
 
 ナビ画面も見られるが、映画も見られるし、オーディオ操作も可能。
 
 センターと助手席前はスワイプ操作で一瞬にして入れ替えられる。

タッチパネル.jpg▲中央のワイドビジョンにエンタメ情報を表示 センターと助手席側モニター画面はスワイプで入れ替わる
 
  さらに興味深かったのが、流れていた映画がソニー・ピクチャーズの「ジュマンジ」だったこと。

 今後、ソニーがヴィジョンSを通して映画や音楽の車両配信ビジネスを発表する可能性は十分にある。
 
 また、ソニー自慢の「360リアリティオーディオ」が各シートに備わり、サウンドの臨場感は文句ナシ。
 
 ついでに面白かったのがスイッチのタッチで、完全に高級オーディオのそれ。
 
 まさにクルマはドライビングシアターと同時にハイレベルなライブ会場にもなりうるわけだ。

ミラー.jpg▲インパネ左右両端はサイドミラーモニターを配置
 
 一方、走りだが前後に200kWの電気モーターを持つツインモーターEVだけに発進は静かかつ滑らか。
 
 しかし、乗り心地は初期試作車らしく、ガタガタと建て付け音が目立ち、現状テスラ・モデルSと比べられるレベルにない。
 
 だが、車両制作を担当するのはオーストリアの少量生産メーカー、マグナ・シュタイアで、今後は公道実験用の本気のテストカーも作るとのこと。
 
 その暁には小沢も乗せてくれるというので非常に楽しみだ。
 
 そう、ヴィジョンSはすでに報道されているように、全33個の最先端カメラやセンサー、ライダーを持ち、まずは今後、ハイテク半導体技術を自動車メーカーに売り込みたいと考えている。

スマホ.jpg▲スマートフォンのアプリでキーの開閉が行われる仕組み
 
 しかしそれだけじゃない。
 
 前述の川西役員は「(ヴィジョンSには)セーフティやセンシングの面と、それからエンタテイメントの世界の両方あると思います」と証言。
 
 たしかにソニーはヴィジョンSそのものを売る気はない。完全に専門外のビジネスだからだ。
 
 しかし、クルマは売らずとも、車載センサーと、自動運転EV内に求められる新しいエンタメ空間は売るつもりなのである。

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