本気で半電動化されたボルボ XC40リチャージプラグインハイブリッドT5はどんな工夫が隠されているのか?

TOP.jpg小沢コージ●クルマや時計、時に世相まで切る自動車ジャーナリスト兼TBSラジオパーソナリティ。『ベストカー』『MONOMAX』『webCG』『日刊ゲンダイDIGITAL』「カーセンサーEDGE』で自動車連載、『時計BEGIN』で時計人物連載。毎週土曜18時50分TBSラジオ『小沢コージのカーグルメ』

●ボルボよ、オマエもか! 

 ついに相当本気で半電動化された新型コンパクトボルボに乗ってきた。
 
 XC40リチャージプラグインハイブリッドT5である。

 従来、ボルボでは「ツインエンジン」と称していたプラグインハイブリッドだが、今後は「リチャージプラグインハイブリッド」と呼び変え、かたやバッテリーEVを「リチャージピュアエレクトリック」と呼ぶ。後者は来年にも日本に入ってくるらしい。

フロント2.jpg▲ボルボXC40リチャージプラグインハイブリッド・T5インスプリクション 価格:7SMT 649万円
 
 同社はすでに日本でも2021年モデルからすべてのモデルで純粋エンジン車を廃止。
 
 つまりマイルドハイブリッドか、プラグインハイブリッドか、バッテリーEVに切り替えているが、今回はその一貫だ。
 
 基本的なボディやプラットフォームは既存のコンパクトSUV、XC40のままだが、エンジンを高効率の1.5リッター直列3気筒ターボに換え、82ps&160Nmのモーターや10.91kWhの駆動用リチウムイオンバッテリーを搭載したのである。
 
 従来からボルボは同様のプラグインハイブリッドをXC90やXC60などのミドルクラス以上で用意していたが、コンパクトなCMAプラットフォームでは初。まずはそのパッケージングが気になる。

リア.jpg

●質の高い走りを披露

 全長×全幅×全高は4425×1875×1660mm、ホイールベースは2700mm。車重こそ1790kgと重めだが、見た目は従来のXC40とほぼ変わらない。

 外観は左フロントサイドに充電ソケット用のフタと「T5」のエンブレムが付き、室内はセンターコンソールのモノ入れやティッシュケース入れがなくなり、そこにリチウムイオンバッテリーが収まっている。
 
 厳密にはリア席の足元センター部が少し高くなっているのと、ラゲッジ床下には従来の12Vバッテリーが収まっているが、ラゲッジ容量はほとんど変わらない。
 
 プラグインハイブリッドとしてなかなか優秀なパッケージングだ。

真横.jpg
 
 興味深いのは駆動方式で、従来のボルボプラグインハイブリッドがリア電動の4WDモデルだったのに対し、XC40はFFのままな点。
 
 駆動用モーターはフロントの7速DCTにつながっているのである。
 
 それも偶数ギアのみ。具体的には低速域が2速で高速域が4速。しかしモーターは速度カバー領域が広いので問題ないという。

ダッシュ斜め.jpg
 
 肝心の走行フィーリングは、乗ると滑らかのひと言。
 
 同じく7速DCTにモーターを組み合わせた以前のホンダ・フィット・ハイブリッドのように変速ショックが残っているかと思ったら、ほぼ感じない。
 
 ぶっちゃけガソリン版XC40より上質かつ静かだ。

センター.jpg▲センターコンソール下に駆動用バッテリーを収納
 
 聞けば、この7速DCTはボルボ内製らしく、一体どこにそんな技術があったのかと思ってしまった。
 
 走行モードは、「ピュア」「ハイブリッド」「パワー」から選べ、バッテリー満充電でピュアを選び、アクセルをゆっくり踏んでいる限りはほぼピュアEV。
 
 透き通った加速が楽しめる。
 
 ただし、カタログ値では45.6kmのEV走行が可能だが実際には30kmちょっと。しかし日常的にマメに充電している限りはEVとして十分使える。
 
 しかも充電が切れ、ハイブリッドやパワーモードで走ったとしても滑らかさは上々。
 
 エンジンは多めに作動するが、しっかりとモーターパワーと重なり、262psのシステム出力で走れるのである。

前席.jpg

後席足元.jpg
 
 価格は649万円と安くないが、補助金を使うとXC40のマイルドハイブリッド版Rデザインと16万円ほどしか変わらなくなる。
 
 必ずしも充電しなくていいし、事実上のXC40のスムーズ上質版ともいえる。
 
 4WDが欲しいユーザーには物足りないだろうが、他にない上質コンパクトSUVボルボとして、悪くない選択なのである。

ラゲッジ.jpg

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