「ニューモデル試乗」公道初SUBARUレヴォーグ! 時速50km以下ハンドオフのアイサイトXは本当にすごいのか?

ハンズオフ.jpg小沢コージ●クルマや時計、時に世相まで切る自動車ジャーナリスト兼TBSラジオパーソナリティ。『ベストカー』『MONOMAX』『webCG』『日刊ゲンダイDIGITAL』「カーセンサーEDGE』で自動車連載、『時計BEGIN』で時計人物連載。毎週土曜18時50分TBSラジオ『小沢コージのカーグルメ』

●かなり待たされたが...

 スバル入魂の国内向けスポーツワゴン、新型レヴォーグが11月26日に発売。公道試乗が許されたので軽井沢で乗ってきた。
 
 先行予約が8月20日だから3ヵ月も前。かなり待たされた気分ではある。
 
 当たり前だが、見た目はプロトタイプ時代とまったく変わらない。乗ったのはエアロの付いた最上級グレードのSTIスポーツで、全長×全幅×全高は4755×1795×1500mmという国内サイズ。
 
 長さは短くはないが、1.8mを切った全幅はやっぱり使いやすい。

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 エンジンは完全新規開発の1.8Lフラット4ターボで、ピークパワー&トルクは177ps&300Nm。
 
 パワー以上にトルクを重視した燃費意識型で、WLTCモード燃費は最良13.7km/L。スバル車としては素晴らしい。ハイブリッドと比べるとツラいのだが。

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 室内は後席足元が25mm長くなって、ヒザ前スペースは余裕。
 
 ラゲッジも開口部が広くなっただけでなく、容量は旧型比で床下を含めて39Lも増えて561Lに拡大している。

●ソリッド感が半端ない

 さて期待の走り味、公道を走り出すなり気付くのは、全体のソリッド感だ。

 足回りの設定を最も快適な「コンフォート」にしてもステアリング、乗り心地ともにしっかりとした質感。 
 とくにステアリングフィールは、パワーアシストが強めで操舵そのものは軽いが、ちゃんと路面を捉えている手応えがある。

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 さすがは骨格のSGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)とレヴォーグ初採用のフルインナーフレーム構造や構造用接着剤だ。

 乗り心地もソリッドさと同時にしなやかさもあり、安っぽいガタビシ感はほぼない。

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 加速も力強い。車重1.5トンクラスで排気量1.8L。絶対パワーはさほどないが、300Nmの最大トルクが効いている。発進から力強く、エンジンをぶん回さなくてもパワーがある。軽井沢の山道はもちろん、高速道路でも力不足は一切感じない。
 
 ただし、新開発のCVTはやはりアクセル踏み始めがダル。旧型より良くなっているが、通常のトルコンATとは違う。 
 今回は宇都宮から軽井沢、軽井沢から東京というロングドライブ試乗だったが、全体の疲労感の低減がものすごい。 

 新型レヴォーグのしっかりボディはもちろん、しなやかな乗り心地が確実に効いている。

●気になる公道アイサイトXの完成度は?

 疲労軽減に確実に貢献していたのが新世代アイサイト。高速でのイージードライブを実現する新しいアイサイトXだ。

 このアイサイトX、まだまだ誤解されている部分があると思うので、公道で魅力と使い方を改めて探ってみた。

ハンズオフ.jpg
 
 まず、勘違いしがちなのが「アイサイトX」モードの存在だ。
 
 実は新型レヴォーグ、35万円高の「EX」グレードを選ばなくても新世代アイサイトが付いており、これ自体が大幅進化しているので大変良く効く。
 
 公道でも前車追従のレスポンスは大きく改善、高速では白線を認識してグイグイと車線中央をトレースする。
 
 アイサイトX付きは、高速道路に限り、その状態で衛星からの位置情報と新装備の3D高精度地図データを重ねられ、できることが増える。

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 具体的にはウインカー操作で自動車線を変更する「アクティブレーンチェンジアシスト」や、斜め後方にクルマがいると車線変更を控える「エマージェンシーレーンキープ」、新たな3D高精度地図データにより可能になった「料金所前速度制御」「カーブ前速度制御」など。
 
 いくつか試せたが、とくにビックリしたのがアクティブレーンチェンジアシストだ。コイツはホントにレベルが高い。
 
 隣車線にクルマがいない状態で操作すると間髪入れず作動する。素早さは他車で味わったことが無いレベルだ。
 
 一方、料金所前速度制御だが、高速の料金所手前で自動に速度を落とし始めると、ついブレーキを踏んで解除してしまうことがよくあり、上手く車線変更ができない場合があった。少々、コツが必要なようだ。

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 さらに注目のBMW、日産スカイラインに続いて導入された「ハンズオフ機能」。両手ばなし運転を可能とする高速追従&レーンキープモードだが、レヴォーグは渋滞時の時速50km以下でしか使えない。
 
 今回は首都高で試したが、なかなか50km以下にならなかった。首都高だと合流や分岐手前で速度が落ちるが、ついステアリングを握ってしまったり、気が付くと速度が上がってしまったり、視線を外すことなどで、モードから解除されることが多いのだ。
 気をつけていると使えるが、使える時間は案外少ない。

 それより基本的な追従性能が大きく進化した点に注目したい。前述した前走車の追従はもちろん、レーンキープ時はステアリングを握っていてもグイグイと正しい走行ラインをトレースしてくれるのを感じる。その正確さ、積極性はいままで以上だ。
 
 ステアリングから手を離さずとも、添えているだけで十分なイージードライブができるので、もしやハンズオフはなくてもいいのかも? と思ったくらいなのである。

ラゲッジ.jpg

前席.jpg

後席.jpg

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