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「混戦・激戦」2020日本COTY、SUBARUレヴォーグはなぜ強豪と思われたヤリス三兄弟やフィットに勝てたのか?

Writer:小沢コージ 

ヤリスからみ.jpg小沢コージ●クルマや時計、時に世相まで切る自動車ジャーナリスト兼TBSラジオパーソナリティ。『ベストカー』『MONOMAX』『webCG』『日刊ゲンダイDIGITAL』「カーセンサーEDGE』で自動車連載、『時計BEGIN』で時計人物連載。毎週土曜18時50分TBSラジオ『小沢コージのカーグルメ』

●10ベスト時点から国産車の激戦予想が

 毎度毎度、つくづく世間様や他人の思考は読めない! と感じるのが選挙やアンケート結果だ。

 小沢の場合、毎年末に行われるCOTYこと日本カー・オブ・ザ・イヤー。なかなか自分が推すクルマが大賞を獲得できず、予想力を痛感している。
 
 今年は明らかに国産車充実の年で、激戦は予想されていた。
 
 COTYには「本戦」の前に「予選」のようなものがあり、まず「10ベスト」カーが選ばれる。

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 今回の10ベストは、スバル・レヴォーグ、トヨタ・ヤリス&ヤリスクロス&GRヤリス、日産キックス、ホンダ・フィット、マツダMX-30、アウディe-tronスポーツバック、BMW2シリーズグランクーペ、アルピナB3、ランドローバー・ディフェンダー、プジョー208&e-208の10組で、ある程度の事前選別はなされていたわけだ。
 
 キーポイントだと思ったのは、今年新車を出しまくりのトヨタがヤリス系3台をまとめて「ヤリス三兄弟」的に出していること。ここはなかなか難しい判断だったはず。

ヤリスCOTY.jpg
 
 もう一つの戦略として今年月販NO.1を取りまくった、売れまくりの「ヤリス」(5ドアハッチバック)単独で出る手法もあったのだ。
 
 同時にトヨタはヤリスのほか、今年バカ売れしたSUVのハリアーや、新手の高級車たる超絶ミニバン、グランエースも出しており、どう考えてもひとり勝ちの年。
 
 COTYが新車ではなく、メーカーを選ぶ賞ならば、今回は間違いなくトヨタだっただろう。コロナ禍でいち早く黒字も出しているし。
 
 一方、それに続くのはイメチェンしまくりで癒し系になったホンダ・フィットと、事実上のフラッグシップじゃないか?とも思えるスバル・レヴォーグがあり、ぶっちゃけ本賞はこのウチのどれかだった。

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 輸入車はさすがに国内市場の1割以下で存在感が弱いし、価格が高すぎる。一部趣味人的な選者が選ぶことはあっても大勢は占めない。
 
 単純にヤリスはその売れ行き、画期的燃費性能もあって、小沢的には勝手に最有力だと思っていたのだ。

●低燃費はそこまで時流ではなかった!?

 ところが12月7日の開票当日。雲行きが怪しくなってきた。ぜんぜんヤリス三兄弟の票が伸びないのだ。
 
 それどころか結果は1位レヴォーグで得票437点、2位フィットで得票320点、小沢が推したヤリス三兄弟は得票300点で3位。トップどころか2位にも入れなかった。
 
 正直、小沢ともども惨敗である。世間というか、選者達の温度感と合ってなかったということだろうか。毎度毎度、選挙は難しい。
 
 この手の勝負モノは運不運もあるが、根本的には「セールスポイントが時流に合っているかどうか」も大きい。
 
 ヤリスは明らかに「スタイル」と「半端ない実燃費」、フィットは視界や乗り心地に関する「4つの心地よさ」、レヴォーグは「改良版プラットフォームの走りの良さ」「庶民版先進安全アイサイトX」が特徴だった。

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 そしていま、低燃費オリエンテッドな時代だったらCOTYは間違いなくヤリスだったはず。WLTCモードで最良36km/Lの実力はすごいし、実燃費は楽勝で30km/L。
 
 ただし、いまはそこまで燃費勝負な時代じゃなかった。
 
 一方、レヴォーグの走りとアイサイトXはたしかによく出来ていた。
 
 小沢的には新しくなってもいうほど伸びないフラット4エンジンの根本的燃費の悪さが引っかかったが、実質300万円台のクルマで、あの運転支援っぷりはすごい。
 
 具体的には特徴の1つである時速50km以下のハンズフリー運転(両手バナシ)以上に、通常時の追従オートクルーズとレーンキープアシストの出来のよさだ。
 
 とにかく普通にドライバーが前を向いて、ステアリングに手を添えているだけで前にグングン進んでいく。

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 実際、この先進安全は、ドイツ車だったら500万円レベルのクルマでしか手に入れられないレベル。日産のプロパイロット2.0だって現状は500万円オーバーのスカイライン・ハイブリッドにしか付けられない。
 
 それと下世話な話、ヤリスは一部の選者には「3台まとめてはズルい!?」と受け取られた可能性がある。
 
 実際ヤリスとヤリスクロスはプラットフォーム以外、全然別のクルマだし、GRヤリスにいたってはまったく違う少量生産リアルスポーツカー。どれも素晴らしい出来だけに、逆に合算は難しかったのかもしれない。
 
 つくづく賞取りレースであり、選挙は難しい。ま、ヤリスのすごさは売れ行き絶好調ぶりにすでに出ていますけどね。

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