意外とアルヴェルに負けてないかも? 10年ぶりマイチェンの日産NEWエルグランド比較試乗

top.jpg小沢コージ●クルマや時計、時に世相まで切る自動車ジャーナリスト兼TBSラジオパーソナリティ。『ベストカー』『MONOMAX』『webCG』『日刊ゲンダイDIGITAL』「カーセンサーEDGE』で自動車連載、『時計BEGIN』で時計人物連載。毎週土曜18時50分TBSラジオ『小沢コージのカーグルメ』

●いまやクラウンやレクサスLSに代わる存在に!

 ニッポンの高級車といえば完全に「ミニバン」である。

 かつてはトヨタ・クラウンやレクサスLSなどの大型セダンが主流だったが、クラウンは国内月販でときに2000台を切ることもあり、次期型はSUV化!? という声まで上がっている。
 
 それに代わって台頭しているのがトヨタ・アルファード&ヴェルファイアを筆頭とするラージミニバンだ。
 
 数年前はアルファード単独で月販7000台レベルだったが、2020年は1万台超えを連発。完全に我が国の高級車界を牛耳っている。
 
 だが、賢明な読者はご存知だろう。そもそも日本にラージミニバンの世界を導入したのは97年発売の初代日産エルグランドなのだ。

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 しかし、時代に合ったFFプラットフォームの導入が遅れたこともあり、徐々に後発アルヴェルに追い越され、大逆転を図ったのが2010年発売の現行3rdエルグランド。
 
 アルヴェルにも負けない低床FFプラットフォームやマルチリンク式のリアサスペンション導入し、走りの良さで迫った。
 
 だが、残念ながら追いつけず。最近では月販数100台になってしまい、アルヴェルの10?20分の1レベルに甘んじている。

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 そこで再逆転をかけたのが2020年10月、10年ぶりのマイナーチェンジを受けた新型エルグランドだ。
 
 残念ながらフルモデルチェンジではないが、変わったのは大きく3点。外観、内装のリフレッシュと先進安全装備の充実。
 
 なかでも外装に力を入れた「250ハイウェイスターアーバンクロム」に乗ってみた。

●360°セーフティアシストを全車標準装備

 鉄板やグリル外形などは、ほぼ変わらない。ただし、ボディカラーやグリル内のデザインを刷新し、まず目立つのが新ボディカラーの「ディープクリムゾン&ミッドナイトブラック」。

 深い赤紫色といった印象でワイルド&セクシー。またグリル内が車名にもなっているアーバンクロム色の格子模様が使われ、わかりやすくワイルド。
 
 リアコンビランプも、アーバンクロムモデルは内側パネルがダーク色になり、グラファイト色の専用アルミホイールもあってほどよく大人のワルさを演出している。

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 インテリアは9インチのセンターモニターが10インチに拡大。同時にインパネシフト回りに一体化した大型ピアノブラックパネルが奢られ、革シートもリッチなキルティング表皮に。
 
 そして、最も進化しているのが先進安全機能。日産のいう「360°セーフティアシスト」を全車標準装備とし、走行中に2台前の車両も検知するインテリジェントFCW(前方衝突予測警報)、後側方車両をケアする「インテリジェントBSI(後側方衝突防止支援システム)」やBSW(後側方車両検知警報)、RCTA(後退時車両検知警報)などを装備。

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 とはいえ、日産自慢の「プロパイロット」はとうとう搭載されなかったし、運転支援に関してACC、アダプティブ・オートクルーズは付いているが、レーンキープ性能は通常のものより効きめは薄い。
 
●チョイ乗りでアルファードと比べてみた

 しかし、今回グレード違いとはいえ、アルファードの最高級モデル、エグゼクティブ・ラウンジと乗り比べたところ意外なことがわかった。
 
 それは、乗り心地では予想以上に遜色なく、逆にエルグランドの方が車高が低く、ハンドリングはシャープで、車重も軽めなので2.5Lガソリンでも意外に走ること。
 
 燃費はハイブリッドが選べないエルグランドが不利ではあるが、直4ガソリンモデルは高速で10km/L前後と悪くなかった。
 
 ほぼ同じ距離走ったアルファード・ハイブリッドでも13km/Lぐらいなのに。
 
 一方、あらためて感じたのは見晴らし感の違いだ。
 
 アルファードの方が車高が10㎝前後高いこともあって、ドライバー目線が高く、2~3列目シートも全体に高め。
 
 かたや3rdエルグランドは非常にスポーティ。ドライバーズシートはステーションワゴンのような目線の高さだし、3列目も広大とはいい難い。

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2列目.jpg

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 そう、現行エルグランドは日産初のFFプラットフォーム採用ミニバンとして、マジメに作り過ぎた結果の産物。
 
 FFの良さを出そうと車高を低く、フロアを低くした結果、走りはスポーティになったが、尊大な感じを失ってしまったのかもしれない。
 
 つくづくクルマ作りは難しい。

 ただし、写真で見てもわかるとおり、見た目の威風堂々感は負けてない。
 
 アクセルはやや早開きで、出足は想像以上によく、このスポーティな走りが気に入ったら逆に買いかも? と思った次第なのである。

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