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森永卓郎ミニカーコラム「香港タイニー・ブランドの特徴」

Writer:森永卓郎 Photo:森永卓郎

高い技術水準を示す精細な作り込み

森永卓郎さん160.jpg■プロフィール もりながたくろう●1957年、東京都出身。東京大学経済学部卒業。経済アナリスト、獨協大学経済学部教授。個人のコレクションを展示する"博物館(B宝館)"を、埼玉県・新所沢で一般公開中(毎月第1土曜日)

2021年11月号森永卓郎さんメインビジュアル.jpg▲トヨタ・コンフォートの香港タクシー タイニーは数種類の香港タクシー(コンフォートがベース)をラインアップしている

 数年前からミニカー専門店が取り扱うようになり、最近急速にコレクターを増やしているモデルが、タイニーという香港ブランドのミニカーだ。スケールは、トミカ・サイズの小スケールと43分の1の標準スケールの両方がある。車種選択は乗用車から商用車、バス、トラック、建設機械とオールジャンルだ。

 ボクは、小スケールに絞ってタイニーを集めているのだが、最大の特徴は、値段が高いということだ。小スケールにもかかわらず、千数百円という価格になっている。トミカにもトミカプレミアムという、作り込んだ仕様のシリーズがある。それでも価格はトミカの2倍以下だ。ところがタイニーは、トミカの3倍くらいの価格設定だ。

 ただ、値段が高い分、手がかかっている。モデルに応じて作られるホイール、ボディやウィンドウモールの塗り分け、さらに細かい印刷はナンバープレートにまで及んでいる。精細なモデル作りという意味では、いま世界最高レベルといっても、過言ではないだろう。

 ボクが感慨深いと思うのは、香港のミニカー製造技術の進化だ。トミカが1970年代にラインアップを急拡大したとき、製造が追いつかなくなったトミーは、ギャランGTOやセドリックなど一部の車種を香港の工場に製造委託した。

 ところが、日本の品質基準を満たせなかったため、短期間で生産終了にした。そのため今日では、香港トミカとして珍重されているのだが、香港トミカに限らず、当時の香港モノは、軒並みチープな作りだった。その香港が世界最高レベルのミニカーを作り出すところまで進化したというのは、驚くべきことだ。

 そして、タイニーのもうひとつの特徴は、徹底的に香港仕様にこだわっているという点だ。タクシーだけでなく、バスや警察・消防車両など、あらゆる製品が、香港の街を実際に走っている車両をモデルにしている。マジョレット(フランス)が、世界各地の現地仕様を作って、グローバルビジネスを展開しているのと対照的だ。

 タイニーは、割り切ったのだ。香港のファンだけを相手に商売をすれば十分だと。いつの間にか、香港の平均所得は、日本よりも2割も高くなっている。だから、そうしたビジネスが可能になったのである。

 ローカルにこだわって、高価格だけれど高品質のモデルを作る。それは、日本のミニカーメーカーのひとつの未来戦略になり得るのかもしれない。

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