キャデラック物語 その2

Writer:間宮達男 Photo:GM

技術革新と部品の規格統一で量産体制確立

Cadillac-1912-Model-30-Electric-self-starter_HP02.jpg▲1912年キャデラック・モデル30 クランクシャフトからセルフスターター方式に変更 エンジン始動という手間な作業を不要にした画期的なモデル

 キャデラックの真価は、エンブレムの装飾性にあるのではない。すべてのクルマに先駆けて採用した技術革新と、時代を先取りした装備の実用化に注目しなければならない。そうした技術的業績のひとつに、1907年のヨハン・ゲージ・ブロックの採用がある。銃で有名なコルトの工場に、部品の互換性の大切さを学んだキャデラックの生みの親、ヘンリー・マーチン・リーランドは、早速、自動車にもそれを採り入れることを考え、スウェーデンからヨハン・ゲージ・ブロックを輸入する。このことによって、1908年からのキャデラックの部品は、同じ型式なら現代のクルマのように交換できる互換性があるまでに規格化された。

1912-Cadillac-Model-Thirty-Ad_HP02.jpg▲キャデラック・モデル30 クランクシャフトなしのすっきりしたフロントデザイン(右ハンドルに注目)

Hydramatic11940年の広告_HP02.jpg▲ハイドラマチックドライブ(オートマチック)の利便性をアピールするポスター(1940年)

 キャデラックは、この技術を誇示するために、ディーラーの棚から取り出した部品で組み立てて1台のクルマを完成させるデモンストレーションをしばしば行っている。この規格化の成功は、また、量産体制の確立にもつながっていた。キャデラックの主な革新の歴史をまとめてみよう。

1908年 部品の規格標準化の功績を認められて、メーカーとして最大の栄誉であるイギリスRAC(Royal Automobile Club)のディウォー・トロフィーを初受賞した。
1909年 キャデラックがGMの1ディビジョン(部門)となる。
1910年 クローズド・ボディを採用。
1911年 画期的な電気式のセルフスターターと、電気式ヘッドライトを開発する。この努力によって、キャデラックは、クランク方式から脱皮して、それまでは、男性の強い力に頼っていたエンジン・スタートを、女性でも簡単にできる方式に切り替えることに成功した。
1912年 セルフスターターの発明で2度目のディウォー・トロフィーを獲得。
1914年 V8エンジンをはじめて量産することに成功。

1915_Cadillac_Type_51_V8_HP01.jpg▲1915年キャデラック・タイプ51 V8エンジンをアピールしている

1918-Cadillac-Type57-001_HP02.jpg▲1918年キャデラック・タイプ57 エンジンは5.2リッター・V8 1919年までに4万5000台以上が生産された ボティタイプは10種類に及ぶ
1924年 無振動クランク・シャフトを採用。また最初のツートン・カラー塗装を発表する。
1927年 自動車デザイナー、ハーリー・アールのデザインによるラ・サール型を発表。
1928年 安全ガラスを採用。
1930年 V16、V12エンジンを開発。カーラジオをはじめて採用。

1930-Cadillac-V16-1_HP02.jpg▲1930年キャデラックV16  排気量は7400cc 1940年まで生産が続いた デザインはハーリー・アールが担当
1934年 直線型フェンダー、大型のボディ、砲弾型ヘッドライトを採用して、クルマのシルエットに新機軸を出すことに成功する。
1938年 フリートウッド60スペシャルを発表して、近代的な4ドア4ライト・セダンで注目を集める。
1952年 視界のいいパノラマ型フロント・ガラスを採用する。
1954年 すべての生産車にパワー・ステアリングを標準装備。
1960年 自動解除式駐車ブレーキを採用。
1963年 室内の全自動温度調節装置を開発。
1966年 エレクトリック・ドア・ロック方式を採用する。
1967年 排気ガス浄化装置と過熱警告ブザーを採用する。

 このような、最高の技術へのあくことのない追求の歴史と伝統は、今日のキャデラックの先進的メカニズムに連綿として受け継がれている。

1927-Cadillac-LaSalle2_HP02.jpg▲1927年キャデラック・ラ・サール ラサールはキャデラックのセカンドラインに当たるブランド 特徴はキャデラックよりも簡素な作りにあった

1938-Cadillac-Sixty-Special1_HP02.jpg▲1938年キャデラック・フリートウッド60スペシャル 4ドアハードトップモデル 38年モデルは5.7リッター・V8を搭載 デザインはビル・ミッチェルが担当

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