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レクサス初のピュアEV、UX300e これがEV化に対するレクサス流の回答なのか

Writer:小沢コージ Photo:小沢コージ

フロント2.jpg小沢コージ●クルマや時計、時に世相まで切る自動車ジャーナリスト兼TBSラジオパーソナリティ。『ベストカー』『MONOMAX』『webCG』『日刊ゲンダイDIGITAL』「カーセンサーEDGE』で自動車連載、『時計BEGIN』で時計人物連載。毎週土曜17時50分~18時TBSラジオ『小沢コージのカーグルメ』

●あくまでも考え方を守っている

 話題のレクサス初のピュアEV、UX300eに試乗した。
 
 ご存知「EVシフト」が声高に叫ばれる時代。とくに中国と欧州ドイツが先鋭的で、VWは昨年から大衆向けピュアEVのID.3をリリースし、現地では結構なシェアを得ている。
 
 一方の日本メーカー、とくにトヨタだが、お家芸たるハイブリッドこそ出しまくっているが、同じ電動車でもピュアEVはほとんど出してない。
 
 かつて少数出したRAV4EVを除くと、中国でC-HR EVとIZOA EVの2兄弟車をリリースし、4月に始まる上海モーターショーで新型EVをワールドプレミアする程度。
 
 つまりEV戦略は地域によって温度差があると見ていいわけで、このUX300eこそが、トヨタグループが日本で出す初めての本格EVであり、姿勢が表れている。それはあくまでも欧中的にガツンとは来ないことだ。
 
 個人的には値の張るレクサスブランドからピュアEVをリリースしたのは正しいと思う反面、LSかLXのような大型車で、日本もこれくらいできるぜ!という姿勢を見せて欲しかったが、そうしなかった。

リア.jpg
 
 ガンコなトヨタグループは「EVは小型車であるべき」とのセオリーを守り、コンパクトSUVのUXからEV化してきたのだ。
 
 しかも電池供給問題もあって、昨年の発売時点では国内割り当ては135台のみで、通常販売が始まったのは今年2月から。少々歯がゆいぐらいのマイペースぶりだ。
 
 肝心の実車だが、搭載電池容量は54.4kWhとなかなか。フル充電からの航続距離もWLTCモードで367kmと悪くない。
 
 だが、作りはやはりレクサス流。あくまでもマジメに、電動車のビックリ加減では勝負しないオーセンティックな出来だった。

●レクサスならではの味付けとは

 外観はガソリン仕様のUXとほぼ変わらない。全長×全幅×全4495x1840x1540mmはガソリン車と全く同じで、分厚い電池を床に入れた分、最低地上高が20mm低い140mmになっている程度だ。

真横.jpg

 わかりやすい違いといえば、リアの車名表示と、リアドア下に「ELECTRIC」と入っている。
 
 車内インパネのメーターは専用グラフィックということだが、充電量表示はガソリン残量計のアレンジのよう。

メーター.jpg
 
 同じくピュアEVを特別視しないクルマ作りでは、プジョー208/2008シリーズもあるが、アチラもEVモデルのグリルは特別デザイン。レクサスは実にガンコだ。
 
 しかし中に座ると確実にEVだと感じる部分がある。それは床で、とくにリアシートのフロアは数センチ高い。

ダッシュ斜め.jpg
 
 ただし、ラゲッジ容量は310リッターとガソリン仕様と同じで、ハイブリッド仕様より少し広いくらい。またシートバックを倒せばゴルフバッグを縦に積める。
 
 なにより走りが本当に普通に上質だ。モーターのスペックはピークパワー&トルクが203PS&300Nmとそれなりだが驚きはない。
 
 加速はあくまでもスムーズ。ペダルに対するレスポンスも凄いが、他ブランドほどじゃないし、絶対的な加速も穏やか。フルスロットルにすればそれなりにキモチ良いのだが。

前席.jpg

後席.jpg
 
 個人的には少々拍子抜けであり、現状高級ブランドのEVはある種のブランドを象徴する濃厚な走り味を持っている。
 
 たとえばアウディe-tronはフラッグシップのA8以上に静かだし、ポルシェ・タイカンの横Gのキモチ良さは、ヘタすると911を超える。
 
 それだけにUX300eも、これがレクサスだ! という加速フィーリングであり、濃厚コーナリングで攻めてくるかと思いきやさほどでもない。
 
 もちろんステアリングフィールにはレクサスならではのスッキリと奥深い味わいを感じるが、濃厚というほどでもなく、ブレーキのタッチには回生ブレーキのクセが微妙に感じられた。
 
 だが、そうは思いつつも100km以上走ると感じるのだ。
 
 UX300eがこれまでのレクサス以上に疲れないことに。
 
 まずはEVならではの静かさもあるが、振動遮断性が素晴らしい。
 
 おそらく新型300eならではの床下バッテリーパックを井桁形状の鋼鉄製アンダーフレーム上に搭載する設計や、フロントのサイドメンバー間をクロスメンバーでつなぐ構造、補強用ブレースをステアリングギアボックスに追加した部分が効いているのだろう。
 
 なにより加速、減速、コーナリング時に発生するGが超滑らかで優しい。そこが長く乗れば乗るほど効いてくるのだ。
 
 正直、UX300eの味付けにはアウディやポルシェ、なによりテスラに比べると大人しく控えめで多少の不安を覚えなくもない。
 
 これで今後ますますEVによる個性化が進むプレミアムセグメントを戦っていけるのかと。

 しかし、同時にレクサスのガンコさもあらためて感じた次第。
 
 安易に他と同じ方向に流されないという方向性と新たなるレクサスならではの癒しの方向性。
 
 つくづく今後のレクサスEVの動向が見逃せない。

ラゲッジ.jpg

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