WRC 第3戦 ラリー・メキシコ デイ3 オジエが今季初優勝、メキシコ通算6勝目を飾る

 3月14日(土)、2020年FIA世界ラリー選手権(WRC)第3戦ラリー・メキシコの競技最終日となるデイ3が、メキシコのレオンを中心に行なわれ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally TeamのヤリスWRC17号車に乗るセバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア組が今シーズン初優勝を達成した。

 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(33号車)は総合4位で、カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(69号車)は総合5位でフィニッシュした。

01_WRC_2020_Rd.3_284.jpg▲表彰式

 ラリー・メキシコは、本来3月15日まで4日間競技が行われる予定だったが、新型コロナウイルス、COVID-19の世界的な蔓延を受け、多くの国で渡航および入国制限が厳しくなり、選手やチームなどWRC関係者が安全かつスムーズに帰国できるようにと会期が1日短くされ、土曜日の最終ステージであるSS21をもってフィニッシュとなった。

 デイ2で総合2位のライバルに対して13.2秒差を築き首位に立ったオジエは、デイ3オープニングのSS13「グアナファティート1」で、今大会4回目となるベストタイムを記録。午前中のステージが終了した時点で差は28.3秒に広がった。

08_WRC_2020_Rd.3_224.jpg▲17号車(セバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア選手組)

 午後のステージではベテランらしい確実性の高い走りを続け、デイ2のSS4以降1度も首位の座を譲ることなく、チーム加入後最初の勝利を手にした。これで、ラリー・メキシコでのオジエの優勝は、過去8年間で6回目となる。なお、今回の優勝により、オジエはエバンスに替わってドライバー選手権の首位に立った。

09_WRC_2020_Rd.3_243.jpg▲33号車(エルフィン・エバンス/スコット・マーティン選手組)

 エバンスは、デイ2で不利な先頭スタートを担ったにも関わらず力強くラリーを戦い、総合4位でラリーを戦い終えた。

10_WRC_2020_Rd.3_258.jpg▲69号車(カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン選手組)

 WRカーでのラリー・メキシコ出場は今回が初めてとなった19歳のロバンペラは、金曜日のデイ2が終了した時点で、ポディウムまで2.7秒差の総合5位につける。ロバンペラはステージごとに大きな成長を示しましたが、多くのトップ選手がリタイアしたこともあり、土曜日は不利な先頭スタートとなり、思うようにタイムが伸びなかった。それでも安定した走りを続け総合5位でフィニッシュ。開幕戦から3戦連続でトップ5以内に入った。

■豊田 章男(チーム総代表)コメント
WRC復帰以来、毎年苦しい思いをしてきたラリー・メキシコで、ついに優勝することができました。オジエ選手、イングラシア選手おめでとう。ありがとう。最初の2年はオーバーヒートで完走もままならぬ状況でした。ラジエーターを開発するエンジニアたちも努力を続けてくれて、ようやく手にした優勝です。改善を続けてくれたラジエーターエンジニアたちの"冷却魂"にも感謝したいと思います。

今回の大会開催にあたっては、主催者をはじめとする地元の皆様が、大会をより安全に開催できるように配慮されていたと聞きました。ファンの皆様にラリーを楽しんでいただけたのも、彼らの懸命な働きによるところだと思います。本当にありがとうございました。また、選手達はファンといつもより距離を置いて接さざるをえなかったとも聞きました。そんな中でも、ファンに残念な思いをさせまいと、精一杯のファンサービスをしてくれたドライバー達の姿を大変嬉しく思います。みんなありがとう。

次戦のアルゼンチン戦の延期も発表されていますが、ヤリスWRCが元気に走る姿をファンの方々に見ていただける日が、一刻も早く訪れることを願っております。

04_WRC_2020_Rd.3_282.jpg▲カイ・リンドストローム(スポーティング ディレクター)

■カイ・リンドストローム(スポーティング ディレクター)コメント
非常に満足できる結果です。何よりも、セブとジュリアンが我々のチームで初勝利をあげたことを、そしてチームがメキシコで初めて勝ったことを嬉しく思います。2017年に初めてメキシコに出場した時はとても苦戦しましたが、我々は失敗から多くを学び、トップ5に3台が入るまでに成長しました。エルフィンは、金曜日の出走順がトップだったにも関わらず、クリーンな走りで素晴らしい仕事をしてくれました。また、カッレはルーキーにとって最も難しいラリーのひとつである、ここメキシコで信じられないくらい良い走りをしました。ラリーが1日早く終わってしまったのは残念で、少々複雑な気持ちですが、世界が厳しい状況に置かれている今、チームのメンバーたちを確実に、家族のもとに返さなければなりません。

05_WRC_2020_Rd.3_121.jpg▲セバスチャン・オジエ(ヤリスWRC 17号車)

■セバスチャン・オジエ(ヤリスWRC 17号車)コメント
良い週末になりました。スタート直後から良いフィーリングが感じられ、金曜日の朝はトップに立つ好機が訪れました。今日はスタート順が良かったので最初から攻めて差を拡げることに成功し、そして、最後までその差をコントロールできました。このような状況では、何ともいえない奇妙な勝利ですので心から喜ぶ気持ちにはなれません。それでも、この週末に素晴らしい仕事をしてくれたチームに感謝しています。クルマは週末を通して問題なく、とても信頼性が高く、速かったと思います。それは、選手権を戦う上で大きなアドバンテージだといえます。

06_WRC_2020_Rd.3_143.jpg▲エルフィン・エバンス(ヤリスWRC 33号車)

■エルフィン・エバンス(ヤリスWRC 33号車)コメント
簡単には行かない週末でしたが、良いドライビングができたと思います。今朝は自分の力をフルに発揮して走りましたが、出走順の影響もあって奏功しませんでした。午後はいくつか小さなミスをし、少し問題も生じたので、順位争いに挑めず少し残念です。それでも、ラリー・メキシコで金曜日の出走順が1番だったにも関わらず、総合4位に入れたのは悪くない結果だといえます。ヤリスWRC全3台が完走したことで、チーム力の高さとクルマの強さが証明されたと思います。

07_WRC_2020_Rd.3_182.jpg▲カッレ・ロバンペラ(ヤリスWRC 69号車)

■カッレ・ロバンペラ(ヤリスWRC 69号車)コメント
全体的に、とても満足していますが、最高の週末とはいえません。いくつかアンラッキーな出来事がありましたが、攻めた時のペースが良かったのはポジティブな材料です。初めてWRカーでこのラリーに挑むドライバーにとって、速く走るのは簡単なことではないので、喜ぶべきでしょう。今日は、ほぼ1日中路面を掃除しながら走りました。順位を守り、路面を掃除しながら走る術を学ぶために堅実な走りに徹しました。大きなミスをすることなくラリーを戦い、時々安定して速いペースを示すことができたので、自分にとって、本当に良いシーズン序盤戦になったと思います。

18_WRC_2020_Rd.3_286.jpg▲トヨタ移籍後初の総合優勝とメキシコでの6回目の勝利を飾ったオジェ

 WRC次戦は、第4戦として4月23日から26日にかけて「ラリー・アルゼンチン」の開催が予定されていたが、世界的に蔓延するCOVID-19の影響により大会は延期となった。現時点で振替日の日程は決まっていない。

そのため、5月21日から24日にかけて開催予定の「ラリー・ポルトガル」が次戦となる。ラリー・ポルトガルはメキシコに続く今シーズン2回目のグラベルイベントとなり、今年もポルト近郊のマトジニョスにサービスパークが置かれる予定だ。

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