スポーツ派に朗報。Rラインという新選択

VWポロTSIRライン 試乗記

POLO-01.JPGVWポロTSIRライン 価格:7SMT 298万円

パワフル&高効率1.5リッター搭載

 ポロは、数あるVWラインアップの中で、ゴルフとともにひときわ高い知名度を誇る。VWの屋台骨を支える主力車だ。現行6thモデルに注目のニューバージョンが登場した。

 新グレードのTSIRラインは、2リッターターボ(200ps)の強心臓を持つGTIと、それ以外のいわばスタンダードモデル(1リッターターボ/95ps)の中間というポジショニング。「TSI」の名称が示すとおり、パワーユニットはターボ付きの直噴ガソリンを搭載する。Rラインは、その新しいエンジンが注目ポイントだ。

 1497ccの排気量を備えた4気筒ユニットは150psの最高出力を発生する。DAD型と名づけられたパワーユニットは、日本のVW車には初搭載となる最新型だ。

 74.5mmというシリンダーのボア径から推測できるように、このエンジンは従来のポロやゴルフなどに用いられてきた既存のTSIユニットとモジュラー設計の関係を持つ。最高出力はゴルフ用1.4リッターユニットに対して10psの上乗せ。ただし、25.5kgmという最大トルク値は同じである。

 新エンジンは単に高出力を狙ったユニットではない。標準装備される気筒休止機構なども含めて、実用時の省燃費を意識した効率重視の「ライトサイジング思想」に基づき開発されている。JC08モード燃費は17.8km/リッター。これはGTI16.1km/リッター)とスタンダードモデル(19.1km/リッター)の中間に位置する。

 Rラインを名乗るだけに内外装はスポーティなイメージ。専用デザインが与えられた17インチアルミやツインテールパイプ、専用デザインのボディキットを装着し、シートはサポート性を高めたセミバケット形状だ。

POLO-02.JPGTSIRラインは気筒休止機構付き新開発1.5リッターターボ(150ps)を搭載したスポーティグレード 歩行者検知機能付き衝突被害軽減ブレーキとアダプティブクルーズコントロール標準

のびやかな加速。シフトは電光石火

 乗り込み、Dレンジをセレクトしてスタート。緩加速と信号停止などが繰り返される街乗りシーンで、スムーズな走りを堪能した。7DCTは微低速領域でも滑らかなシフト感だった。アイドリングストップ状態から素早く再始動を行う点に感心した。

 クルージング領域では、たびたび「2気筒運転」のモードに入ったことが、ディスプレイ上に示される。しかし2気筒に切り替わってもショックはない。切り替わったという表示がなければ気づかないだろう。2気筒状態でも、気になるこもり音が発生したり、アクセルレスポンスが低下したりといった「副作用」を感じるシーンは皆無だ。

 一方、ひとたびアクセルペダルを深く踏み込めば、のびやかな加速が味わえる。その力強さはRラインをスポーティグレードと実感させるのに十分。電光石火の変速をシームレスに実践するDCTが、活発な走りの印象に大きく貢献している。Dレンジのままでも的確なシフトが味わえるが、パドル操作でドライバーの意思に忠実なギアが選べる点は心強い。

 高速道路のクルージングシーンでの余裕は、Rラインの大きな魅力。100km/hクルージング時のエンジン回転数はおよそ1800rpm。最大トルクの25.5kgmを発する領域は15003500rpmだから、アクセル踏み加えに対して、即座にたくましいトルクが味わえる。

POLO-03.JPGインパネは機能的な造形 写真は純正ナビのディスカバープロ(226800円)装着車 ステアリングはチルト&テレスコピック機構付き 視界は広い

新たな中心モデルの予感!

 このモデルを上質なファミリーカーとして使う場合、ネックとなるポイントは「固すぎる乗り味」だろう。

 今回の試乗車の走行距離はまだ1400kmほどだった。走行距離を重ねていくにつれ、足回りのしなやかさが増す可能性は考えられる。それでも、路面のわずかな凹凸を丁寧すぎるほどコツコツと細かく拾い、速度が上がってもあまり改善されない現状の乗り味は、率直なところ「大切なゲストを招くには、ちょっと厳しい」という印象を受けた。

 一方で、このRラインをスポーティなポロと受け取るのであれば、格好の選択肢となりそう。

「最高出力95ps 3気筒エンジンを積むスタンダードモデルではちょっと物足りないけれど、GTI2リッター、200ps仕様はホットすぎる」というユーザーにとって、スポーツサスペンションを標準採用し、電子制御式のデファレンシャルロック機構XDSまで装備したRラインは、走りはもちろん、装備も価格も最適の1台といえそうだ。

POLO-04.JPGシートはファブリック張り サポート性に優れた形状 前席リクライニングはダイヤル式 乗り心地は固め 路面状況をリアルに伝える

POLO-05.JPGフロントグリルには「Rエンブレム」を装着 精悍な印象 写真はデイランニングランプ点灯状態 ヘッドランプはLED

※次ページでスペックを紹介

VWポロTSIRライン主要諸元と主要装備

POLO-06.JPG

グレード=TSIRライン
価格=7SMT 298万円
全長×全幅×全高=4075×1750×1450mm
ホイールベース=2550mm
トレッド=フロント1500×リア1480mm
車重=1210kg
エンジン=1497cc4DOHC16Vターボ(プレミアム仕様)
最高出力=110kW150ps)/50006000rpm
最大トルク­=250Nm25.5kgm)/15003500rpm
JC08モード燃費=17.8 km/リッター(燃料タンク容量40リッター)
サスペンション=フロント・ストラット/リア・トレーリングアーム
ブレーキ=フロント・ベンチレーテッドディスク/リア・ディスク
タイヤ&ホイール=21545R17+アルミ
駆動方式=FF
乗車定員=5
最小回転半径=5.1m
●主な燃費改善対策:アイドリングストップ/筒内直接噴射/可変バルブタイミング/気筒休止/電動パワーステアリング/充電制御/DSG
●主要装備:アダプティブクルーズコントロール(全車速追従機能付き)/プリクラッシュブレーキシステム/プロアクティブオキュパントプロテクション/デイズアイムランニングランプ/スタティックコーナリングライト/リアビューカメラ/ドライバー疲労警告システム/LEDヘッドライト/前後フォグランプ/ダークティンテッドガラス/2ゾーンフルオートAC/モバイルオンラインサービス/スマートエントリー&スタートシステム/パドルシフト/ドライビングプロファイリング機能/インテリアアンビエントライト/リアライン専用エクステリア/スポーツコンフォートシート/レザーマルチファンクションステアリング/電子制御デファレンシャルロック/スポーツサスペンション
●装着メーカーオプション:ディスカバープロパッケージ(純正ナビ)226800円/テクノロジーパッケージ(デジタルメータークラスター+スマートフォンワイヤレスチャージング)7200円/セーフティパッケージ(駐車支援システム+パークディスタンスコントロール+オプティカルパーキングシステム+ブラインドスポットディテクション+リアトラフィックアラート)97200
●ボディカラー:ディープブラックパールエフェクト
※価格とスペックは20193月現在

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