新開発1.3リッターターボ搭載。ジープの魅力再発見

ジープ・レネゲード・リミテッド 試乗記

レネゲード01.jpgジープ・レネゲード・リミテッド 価格:6SMT 355万円

エクステリアは引き締まった印象

 ジープのコンパクトモデル、レネゲードがマイナーチェンジした。レネゲードはフィアット500Xと基本メカニカルコンポーネントを共用するSUV。日本仕様はイタリア製で、ラインアップは従来どおりだ。つまり、FF仕様がエントリーモデルのロンジチュードと上級仕様のリミテッドの2種。悪路走破性が高い4WDはトレイルホークの1種。

 新型のスタイリングは引き締まった印象だ。従来シルバー仕様だった7スロットグリルやドアミラーを、ダークグレー仕上げに変更した。基本的な造形に変更はないが、ぐっと落ち着いた雰囲気になった。

 ヘッドランプは新しい。ジープらしい丸型を継承しながら、内部は新型ラングラーに似た精悍な造形になり、併せてフルLEDにバージョンアップした。四角いフレーム内にX字型を配したリアコンビランプも、新型ラングラーを思わせるデザインである。

 インテリアは2018年に一部変更された従来モデルと同じ。初期型と比べるとインパネ中央のディスプレイが大きくなり、その下のエアコン調整用ダイヤルが改良されている。

 試乗して、改めて「巧みな演出」を実感した。立ちぎみのウインドスクリーンとその奥に広がるボンネット、太いリムのステアリング、がっしりした形状のセレクターレバーなど、至るところで「ジープらしさ」が感じられる。ルームミラー横やドアのスピーカー、リアゲート裏側には独特のジープのアイコンが入り、助手席側のグリップはスコップを思わせるデザインで楽しい。

レネゲード02.jpgレネゲードはフィアット500Xと基本メカニカルコンポーネントを共用 イタリア工場製 ラインアップはFFのロンジチュードとリミテッド 4WDのトレイルホークの3グレード

新エンジンは力強くのびやか

 タフな雰囲気と遊び心を巧みに盛り込んだ内外装は、実に魅力的だ。多くのSUVの中からレネゲードを選ぶ大きな理由として、このデザインは強力なアピールポイントになるに違いない。

 ボディサイズは全長×全幅×全高4255×1805×1695mm。ホンダ・ヴェゼル(同4340×1790×1605mm)と比較して全長は85mm短い。日本の道路環境でも使いやすい設定である。

 新しいレネゲードには新しいエンジンが搭載された。直列4気筒ターボという点は従来と同じだが、排気量は1.4リッターから1.3リッターにダウンサイジング。トランスミッションは6速DCTである。

 新エンジンはパワフルだ。旧型比で最高出力は11㎰増となる151㎰、最大トルクは4㎏m増となる27.5kgmを発生する。試乗車は走行距離がまだ1000kmちょっとの状況であり、全般的に本来の滑らかさに達していない印象だった。それでも2000rpmあたりでターボが盛り上がってからの加速は勢いがあった。回転フィールものびやかだと感じた。

 WLTCモード燃費は13.5km/リッター。今回の約400㎞の試乗燃費は13.3km/リッター。ほぼカタログデータどおりだった。指定燃料はプレミアムである。

 高速道路を走行中は車線逸脱警報付きアダプティブクルーズコントロールを活用。安全かつ快適なクルージングが楽しめた。作動状況はメーターパネル中央に映し出されるが、自車をレネゲード、前走車をかつてのジープのイラストで表現。通常はグリーンのレネゲードが車線をはみ出そうになるとイエローに変わる、凝ったグラフィックに感心した。

レネゲード03.jpgインパネは機能的なデザイン 本革巻きステアリングはグリップ部が太くがっちりとした印象 リミテッドはナビゲーション標準 視界はワイド 開放感がある

毎日乗りたい、気軽な相棒

 サスペンションは4輪ストラット式。設定は全般的におおらかなフィーリングだ。乗り心地はタイヤの存在を感じさせつつも鋭い衝撃を効果的にいなす、まろやかな雰囲気。固めのシートはクッションに厚みがあり、快適性は高い。

 フットワークは適度に軽快。ステアリングの切りはじめの反応は鋭くないものの、素直に向きを変える。舗装路は前輪駆動でもグリップ能力に不満はない。オフロードを多く走る機会が多いユーザーは、4WDのトレイルホークを選ぶといいだろう。

 一部に新型ラングラーと同イメージの造形を取り入れてジープとしてのアイデンティティを明確にしたニューモデルは、従来以上の個性派に変身した。本革シートやナビゲーションを標準装備しながら355万円に抑えたプライス設定も魅力的である。ニュー・レネゲードは今後も根強い人気をキープし続けるに違いない。毎日乗りたくなるSUVである。

レネゲード04.jpgリミテッドは前席ヒーター&電動調整機構付き本革シート標準 クッションが厚く座り心地はいい 室内スペースは天井が高く余裕たっぷり

※次ページでスペックを紹介

ジープ・レネゲード・リミテッド主要諸元と主要装備

レネゲード05.jpg

グレード=リミテッド
価格=6SMT 355万円
全長×全幅×全高=4255×1805×1695mm
ホイールベース=2570mm
車重=1440kg
エンジン=1331cc4DOHC16Vターボ(プレミアム仕様)
最高出力=111kW151ps)/5500rpm
最大トルク=270Nm27.5kgm)/1850rpm
WLTCモード燃費=13.5km/リッター(燃料タンク容量48リッター)
(市街地/郊外/高速道路=9.714.015.8km/リッター)
サスペンション=前後ストラット
ブレーキ=フロント・ベンチレーテッドディスク/リア・ディスク
タイヤ&ホイール=21565R17+アルミ
駆動方式=FF
乗車定員=5
最小回転半径=5.3m
●主な燃費改善対策:アイドリングストップ/マルチエア/電動パワーステアリング/スマートオルタネーター
●主要装備:前面衝突警報/ブラインドスポットモニター/リアクロスパスディテクション/オールスピードトラクションコントロール/リアパークアシスト/リアバックアップカメラ/タイヤ空気圧モニタリングシステム/アダプティブクルーズコントロール/LEDヘッドライト/オート格納機構付きドアミラー/ダークグレーグリル/ブラックルーフレール/チルト&テレスコピック機構付き本革巻きステアリング/前席電動調整機構付きレザーシート/3分割可倒式リアシート/8.4インチVGAタッチパネル式ナビゲーション/フルカラー7インチマルチビューディスプレイ/6スピーカー/オートAC/リバーシブル高さ調整式カーゴフロア/プレミアムフロアマット
●ボディカラー:グラナイトクリスタルCC
※価格とスペックは20194月現在
※撮影協力:千葉県木更津市 金田漁業協同組合

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