[マツダ3特集]スカイアクティブXが描く内燃機関の未来像とは

マツダ3ファストバックXバーガンディセレクション(FF) 試乗記

メイン1.jpgマツダ3ファストバックXバーガンディセレクション スカイアクティブXは日本仕様2リッターガソリン比24ps/25Nmパワフル 発進加速は力強い ワインディングではアップテンポな走りが堪能できる 高速走行時の安定性は秀逸

世界が注目する高効率エンジン。2リッターから180psを発生

 世界が注目するスカイアクティブXエンジンが遂にマツダ3に搭載された。試乗の舞台はドイツ・フランクフルト。市街地から郊外路、速度無制限区間のアウトバーンと、完璧なドイツの走行モードで欧州仕様車を体感した。

 スカイアクティブXは、世界初の火花点火制御圧縮着火(SPCCI)方式を採用した夢のエンジン。希薄燃焼リーンバーンとストイキ通常燃焼をシームレスに切り替えながら、マイルドハイブリッド(MHEV)の技術も使ってパフォーマンスと燃費、環境性能のすべてを高めた新世代ユニットだ。リーンバーン燃焼時はセンターメーター内にSPCCIの文字がグリーンに点灯する。

 排気量は2リッター。欧州仕様のスペックは180ps/6000rpm、224Nm/3000rpm。日本仕様の2リッターガソリン(156ps/199Nm)と比較して、出力/トルクとも数段パワフルだが、1.8リッターディーゼル(116ps/270Nm)よりトルクは細い。2年ほど前、スカイアクティブXのテスト車に試乗した。このときは、希薄燃焼時に力がなく、通常燃焼への切り替わりには段つき感があった。しかも低中速域は明らかにトルクが不足していた。

 市販モデルに乗り込む。スタートボタンを押すと、2~3回のクランキングで軽く目覚めた。スカイアクティブXのアイドリング音は包み込まれた(実際にカバーされている)滑らかな4気筒サウンド。回転落ちの際にディーゼルのようなゴロゴロ音が残る。

Mazda3 Skyactiv-X_Exterior_17.jpgスカイアクティブXの外観上の特徴はブラックメタリック塗装18インチアルミ 欧州仕様のWLTP燃費はMTが18.5km/リッター ATは16.7km/リッター

通常ガソリンよりパワフル。180km/hでの安定性は絶品

 試乗車は6速MTと6速ATの2タイプ。まずMTでスタート。クラッチを1000rpmほどでミートして走り出す。トルクに底力がある。これはMHEVのモーターアシスト効果もあるに違いない。市街地で0~60km/h加速を繰り返す。ここでは巧みなアイドリングストップ制御と、スムーズな再始動に感心した。

 街の流れに乗って走るスカイアクティブXのエンジン特性はナチュラル。あまりに自然なので、「特別なエンジン」を操っていることを忘れてしまう。そこで同時に試乗した欧州仕様CX―30の2リッターガソリン(MHEV仕様)と1.8リッターディーゼルと比較してみた。ゼロスタート加速の力感は、スカイアクティブXがCX―30の2リッターガソリンを確実に上回る。一方80~100km/hで走る郊外路での速度を落としてからの中間加速はトルクに勝る1.8リッターディーゼルにかなわない。

 アウトバーンに合流する。速度無制限区間とはいえトップスピードは180km/hが限度だが、そこまでの伸びはスカイアクティブXが好印象。同時に180km/hでの操縦安定性の確かさを実感した。

 工事後の凹凸をうっかり180km/hで通過し、派手なバンプとリバウンドに見舞われた。しかしストロークしても後輪に余計なトー変化が起こらないため、直進の軌道が乱れない。この点は本当に素晴らしい。ドライバーは落ち着いて前輪の操作に専念できる。超高速走行の操縦は乗り味を含めてリラックスできた。

 現状でのスカイアクティブXの評価は難しい。商品としてまとめた技術力は確かに素晴らしい。だが、2リッターガソリン車比で67万円、1.8リッターディーゼル比では40万円高のプライス設定を考えると、簡単に、「最新技術で最上級モデルだからお勧め」とはいいにくい。クルマを動かすのに重要なトルクがまだまだ細い。今後の改良に期待する。

 燃費は今回の約100kmの試乗でスカイアクティブXが19.2km/リッター。CX―30の2リッターガソリンは16.4km/リッターだった。

Mazda3 Skyactiv-X_Interior_8.jpgバーガンディセレクションはインパネとシートは赤褐色でコーディネート 室内各部はマツダ3共通造形 トランスミッションは6速MTと6速ATを設定 日本発売は2019年10月予定

△.jpgシートは本革 運転席電動調整付き カラーはバーガンディ 乗り心地はしなやか

決まり.jpgスカイアクティブエックスはディーゼルのトルクと経済性/ガソリンのスムーズさを兼備したユニットを目標に開発

Mazda3 Skyactiv-X_Detail_1.jpg1998cc直4DOHC16V 180ps/6000rpm 224Nm/3000rpm 圧縮比16.2 世界初の火花点火制御圧縮着火(SPCCI)採用 燃料噴射は超高圧

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