ポルシェ渾身のEVスポーツモデル「タイカン」が世界3大陸でワールドプレミア!

ポルシェ初のフル電動スポーツカー「タイカン」が初公開。まずは「ターボS」と「ターボ」をリリース

 ポルシェAGは9月4日(現地時間)、ブランド初となるフル電動EVのスポーツカー「タイカン(Taycan)」を、欧州、北米、中国の世界3大陸で発表した。発表場所は欧州がドイツ本国ベルリン近郊のノイハルデンベルクにある太陽光発電所、北米が米国のニューヨーク州とカナダのオンタリオ州の国境に位置するナイアガラの滝の水力発電所、そして中国が福建省福州市から約150km離れた平潭(ぴんたん)島に居を構える風力発電所で、いずれも自然エネルギーから電力を得る、持続可能なモビリティを象徴する会場で行われた。

TAYCAN 1.jpg▲ポルシェ初の市販EVスポーツモデルとなる「タイカン」。今回発表されたモデルは、タイカンのトップグレードとなるターボS(写真・左)とターボ(同・右)の2タイプ。パワートレインは前後アクスルに1基ずつモーターを搭載する、ツインモーターの4輪駆動で構成。システム電圧には市販モデル初の800Vを採用した

 今回発表されたモデルは、タイカンのトップグレードとなる「ターボS(Turbo S)」と「ターボ(Turbo)」の2タイプだ。もちろん、EVなので内燃機関におけるターボチャージャーを搭載しているわけではない。ポルシェ社内では通例的に"Turbo"の呼称は"最高峰グレード"を意味することから、タイカンにも同様のネーミング手法を採用したわけだ。

TAYCAN TURBO S 1.jpg▲タイカン・ターボS 全長4963×全幅1966×全高1378㎜ ホイールベース2900mm トレッド前1690×後1655mm 車重2295kg ローンチコントロールを使用した際の最高出力は761ps、最大トルクは1050Nmを発生する

 タイカンのパワートレインは、前後アクスルに1基ずつモーターを搭載する、ツインモーターの4輪駆動で構成する。モーター自体にはソレノイドコイルのヘアピン巻線を採用し、より多くの銅をステーターに組み込むことで、通常の巻線と体積は同じままで出力とトルクを向上させた。通常時の最高出力は625ps、最大トルクは850N・mを発生。ローンチコントロールを使用すると、ターボSは761ps/1050N・m、ターボは680ps/850N・mにまで高まる。また、リアアクスルには2速のトランスミッションを組み込み、1速は静止状態からの発車時における大きな加速を、ロングレシオの2速は高効率と同時に高いエネルギー残量を保証し、高速走行時にも使用するようにセッティングした。

TAYCAN TURBO S 2.jpg▲リアアクスルには2速のトランスミッションを設定。1速は静止状態からの発車時における大きな加速を、ロングレシオの2速は高効率と同時に高いエネルギー残量を保証し、高速走行時にも使用するようにセッティングした

 フロア下に搭載する駆動用リチウムイオンバッテリーは、93kWhの総容量を確保する。また、システム電圧は一般的なEVの400Vに対して、市販モデル初の800Vを採用。高出力の直流充電ネットワークを使用すれば、5分程度の充電で最大100kmの航続距離に必要なエネルギーをバッテリーに充電できる(WLTPに準拠)。さらに、最大270kWの超高速充電にも対応し、これを使った場合はバッテリー残量5%の状態から80%まで充電するのに、22分30秒の短い時間でこなす。また、最大で265kWのエネルギー回生システムも搭載した。

 性能面については、最高速度がターボSとターボともに260km/h、0→100km/h加速がターボSで2.8秒、ターボで3.2秒と公表。また、一充電当たりの航続距離(WLTPモード)はターボSが388~412km、ターボが381~450km、燃費ならぬ電費性能はターボSが26.9kWh/100km、ターボが26.0kWh/100kmに達するという。

TAYCAN TURBO.jpgイカン・ターボ 全長4963×全幅1966×全高1381㎜ ホイールベース2900mm トレッド前1702×後1667mm 車重2305kg ローンチコントロールを使用した際の最高出力は680ps、最大トルクは850Nmを発生する

 4ドアスポーツサルーンに仕立てたエクステリアに関しては、ポルシェのDNAを明確に引き継ぐとともに、新しい時代の始まりを告げる新進のEVスポーツデザインを採用したことがトピックだ。まずフロント部は、曲線の強いフェンダーによって極めてワイドかつフラットな造形を創出。LEDデイタイムランニングライトバーを備えるフロントバンパーなども印象的だ。サイドビューは、後方に向かって下向きに傾斜するスポーティなルーフラインと彫りの深い前後フェンダーおよびドア部を組み合わせて存在感のあるルックスに仕上げる。そしてリアセクションは、いかにもポルシェらしいテーパーの付いたCピラーやボリューム感のあるショルダーライン、ライトバーに統合されるガラスルックのポルシェロゴなどによって、伝統と革新のデザインを巧みに融合させた。また、このエクステリアはエアロダイナミクス性能にも優れ、空気抵抗係数(Cd値)は0.22という優秀な数値を実現している。

TAYCAN interior.jpg▲独立型の湾曲したメーターパネルは明確かつ必要最小限、しかも最先端のデザインで構成し、ポルシェ特有の丸型メーター表示も可能な湾曲した16.8インチディスプレイを組み込む

 内包するインテリアは、1963年に登場した初代911のダッシュボードデザインが発想の源で、スポーティなドライビングためにアレンジされたこのダッシュボードデザインを、タイカンではデジタル時代にふさわしい造形に再構築する。独立型のメーターパネルは明確かつ必要最小限、しかも最先端のデザインで構成し、ポルシェ特有の丸型メーター表示も可能な湾曲した16.8インチディスプレイをセット。また、カウルを省略した一方で、パネル表面には蒸着偏光フィルターによる反射防止コーティングを施したガラスを組み込んだ。一方、ダッシュボード上部および下部は、翼をイメージさせるような左右に広がったデザインを導入。中央の10.9インチインフォテインメントディスプレイとオプションのパッセンジャーディスプレイの組み合わせは、ブラックパネルルックの一体化されたガラス画面を形成し、それによってインテリアと視覚的に融合する。加えて、上昇するセンターコンソールには、触覚フィードバック技術を備えた大型の8.4インチタッチパネルを装備した。さらに、すべてのユーザーインターフェースは、タイカンのために新たにデザイン。スイッチやボタンなど、従来の制御用ハードウェアはその数が大幅に削減され、代わってタッチ操作や"Hey Porsche"コマンドに応答するボイスコントロール機能を組み込んだ。

 ポルシェとしては初のレザーフリーの内装を採用したことも訴求点。リサイクル素材で作られた各部のマテリアルは、エレクトリックスポーツカーの持続可能なコンセプトを明確に示している。また、実用性を高める目的でラゲッジコンパートメントを前後に配置。フロントは81リットル、リアは366リットルの容量を確保した。

TAYCAN charge.jpg▲高出力の直流充電ネットワークを使用すれば、5分程度の充電で最大100kmの航続距離に必要なエネルギーをバッテリーに充電できる(WLTPに準拠)

 気になるタイカンの車両価格は、ドイツ本国でターボSが18万5456ユーロ(約2170万円)~、ターボが15万2136ユーロ(約1790万円)~に設定する。日本では年内に発表、2020年より販売される見込みだ。なお、年内には出力の小さいタイカンのベーシックモデルを追加する予定。さらに、2020年の終わりまでには派生モデルとして「タイカン クロスツーリスモ」を設定する計画である。

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