跳ね馬のV12スパイダーが800psの最高出力を誇るV12エンジンを搭載して復活!

プロダクションモデルとしては50年ぶりのフェラーリ製V12スパイダーの新型車「812GTS」が登場!

 伊フェラーリは9月9日(現地時間)、オープンスポーツカーのフラッグシップモデルとなる「812GTS」を発表した。ちなみに、同日にはF8スパイダーもワールドプレミアを飾っており、フェラーリが同時期に2台のオープンスポーツカーを発表するのは異例中の異例である。

Ferrari 812 GTS 1.jpg▲フェラーリ・812GTSのボディサイズは全長4693×全幅1971×全高1278mm ホイールベース2720mm 車重1600kg 性能面では0→100km/h加速3.0秒未満、0→200km/h加速8.3秒、最高速度340km/hと公表。RHT開閉に要する時間は約14秒。45km/h以下であれば走行中でも操作が可能だ

 フェラーリがV12エンジンのプロダクションFRオープンスポーツカーを発表するのは、1969年デビューの"デイトナ・スパイダー"こと「365GTS/4」以来、実に50年ぶり。限定モデルとしては2000年の「550バルケッタ・ピニンファリーナ」や2005年の「スーパーアメリカ」、2010年の「SAアペルタ」、2014年の「F60アメリカ」などを発売したものの、量産のプロダクションモデルとしては久々のFRオープンスポーツカーだ。

Ferrari 812 GTS 2.jpg812スーパーファストの造形を基本に、ルーフからラゲッジコンパートメントに至るリアセクションを再設計。ルーフの可動メカニズムが格納される2つのバットレスおよびカバーパネルを中心に、スパイダーならではの滑らかさと個性を新たにブレンドした

 812GTSのベースモデルは、フェラーリの旗艦スポーツクーペの「812スーパーファスト(812 Superfast)」。オープンボディ化に当たっては、コクピットまわりに入念な補強を施したうえで、最新のRHT(リトラクタブルハードトップ)をセットする。開閉に要する時間は約14秒。45km/h以下であれば走行中でも操作が可能だ。

 車両デザインについては、フェラーリ・スタイリング・センターが担当する。812スーパーファストの造形を基本に、ルーフからラゲッジコンパートメントに至るリアセクションを再設計。ルーフの可動メカニズムが格納される2つのバットレスおよびカバーパネルを中心に、スパイダーならではの滑らかさと個性を新たにブレンドする。テールを視覚的に短くし、鋭く傾斜した折り目ラインと力感あふれるホイールアーチを強調したことも特徴だ。また、812スーパーファストで印象的だったリアのホイールアーチ上のエアロダイナミック・バイパスはオープンボディ化によって廃されたものの、それを補完する3枚のフラップを追加装備してリアディフューザーを再構成する。ホイールアーチに収まるホイールは、新型のマルチスポーク鍛造タイプ(ダイヤモンド・フィニッシュ、リキッド・シルバー、グリージョ・スクーロの3バージョンを設定)だ。

Ferrari 812 GTS 3.jpg▲フロントに縦置き搭載されるエンジン自然吸気の6496ccV12気筒DOHC48Vユニット。最高出力は800ps/8500rpm、最大トルクは718Nm/7000rpmを発生する

 エアロダイナミクス性能を重視したことも812GTSの訴求点である。開発テーマはクローズド時におけるクーペ仕様と同等の性能の確保と、オープン走行での乗員の快適性の実現。これらを具現化するために、まずフロントガラス上部のコーナーに2つの小さなL字型フラップを設定し、リアスクリーン上からの高速気流の乱入を抑制。さらに、シート後方に配した2つのバットレスのフロントトリムに空気通路を設けることで、キャビン内の圧力の放出とウインドストップ下流における分散気泡の再圧縮の促進を果たした。

Ferrari 812 GTS 4.jpg▲フェラーリのV12スポーツカーらしい豪華でスポーティなドライバー重視のコクピットデザイン。ダッシュボードやメーターに812GTSのロゴを配する

 パワートレインは812スーパーファストと基本的に共通で、F1ユニット由来の可変吸気システムや350barにもおよぶダイレクトインジェクションシステムを組み込んだ自然吸気の6496cc・V型12気筒DOHC48Vエンジン(800ps/8500rpm、718N・m/7000rpm)に、7速デュアルクラッチトランスミッションを組み合わせる。駆動レイアウトはもちろんFRで、電子制御機構としてEPS(電動パワーステアリング)やPCV2.0、E-Diff3、F1-Trac、高性能ABS/EBDといった最新システムを組み込んだ。

Ferrari 812 GTS 5.jpg▲オープン走行時での乗員の高い快適性を確。新型7インチのパッセンジャー・タッチスクリーンディスプレイも設定する

 812GTSのボディサイズは全長4693×全幅1971×全高1278mm/ホイールベース2720mmで、車重は812スーパーファストより75kgほど重い1600kgだが、最高速度は812スーパーファストと同レベルの340km/h、0→100km/h加速はわずか0.1秒遅れの3.0秒未満と公表される。812GTSの日本デビュー時期や車両価格は現時点で未発表。車両価格については812スーパーファストよりは上と見られ、4000万円台の前半と予想される。

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