BMW・M8クーペ・コンペティション 試乗記
BMW・M8クーペ・コンペティション 価格:8SAT 2433万円 ラインアップは最高出力625psのコンペティションと同600psの標準仕様の2タイプ 電動サーボ付きM専用インテグレーテッドブレーキ装備
レーシングカー「M8GT」ありきの設計。Theピュアスポーツ
新型M8が、どんな走りを見せるのか。登場前から楽しみだった。ベース車のM850i・xドライブに触れて、ハイグレードなGT&スポーツカーだと確認していたからだ。トップモデルのM8は、すべてがより刺激的にリファインされているに違いない。BMWが提案する新たなスポーツカー像に期待が高まっていた。
ポルトガルのアルガルベ・サーキットで開催された国際試乗会にはM8クーペ・コンペティションとM8カブリオレ・コンペティションが用意されていた。
1台のM8がリフトアップされ、通常はフラットパネルで覆われているシャシー裏側が確認できた。サスペンションはM8専用のアーム類を強固な補強材が支えていた。
M8は、パワートレーンを筆頭に基本的にはM5のメカニズムを踏襲している。だが、M5比でエンジン搭載位置を低くし、重心高を下げた。そう、M8は「レーシングカー、M8GTありき」で設計されているのだ。
コンペティションは、ピークパワー625psというBMWロードカー史上、最もホットなスペックの4.4リッターV8ツインターボ(S63型)を搭載。これにM社製の8速ATと4WDシステムを組み合わせた。珠玉のメカニズムの中でもM専用のインテグレーテッドブレーキは秀逸。全開時の制動パフォーマンスを高めただけでなく、制動に要する踏み込み量が任意に調整できる。優しく走りたいときには、ブレーキをゆったり利かせられる。
駆動方式は後輪のトラクションを重視した電子制御4WD 全長×全幅×全高4867×1907×1362mm 車重1885kg パワーウエイトレシオ:3.02kg/ps
圧巻の加速性能。ハンドリング抜群。史上最もホットでクールなBMW
サーキットでM8クーペのコンペティションを試した。4WDの制御をスポーツにセットすると、FRに近い感覚が楽しめた。同じシステムを持つM5でも相当なレベルだったが、M8は路面との距離が近く、よりダイレクトな操作フィールのため、面白いように狙ったラインがトレースできる。後輪に多少の滑りを許すことで、ドライビングファンを盛り上げるチューニングは見事だ。
加速パフォーマンスは圧巻。全開時はスーパーカー顔負けのサウンドと速さが味わえる。0~100km/h加速は3.2秒。これを体験するだけで、M8とM850はまったく別のクルマだ、とわかる。
M8カブリオレのコンペティションでアルガルベ地方のワインディングロードを目指した。M850と比べると硬質なライドフィールだが、固すぎる印象はない。腰下が引き締まった感覚で、操舵に対する反応は軽快。車体サイズが小さく感じられたほどだ。GTカーとしての適性は非常に高い。
新型M8は、史上最もホットなBMWであり、クールにも楽しめるマルチ性を持っている。多面性こそ新しさだと感じた。
Mセレクトボタン付き専用スポーツステアリング標準 快適装備充実のサーキットモデル 中央の10.25インチディスプレイはMスペック表示が選べる
上質メリノレザーシートはサポート性を高めたスポーツ形状 ヘッドレストには照明付きモデルバッジを装着 後席は+2スペース
4395cc・V8DOHC32Vツインターボ 625ps/750Nm コンペティションは標準M8比25㎰パワフル 強化エンジンマウント採用
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