2020HOTインポートカー特集:CO2排出量ゼロ、ポルシェが描く未来の中心、タイカンの卓越パフォーマンス

ポルシェ・タイカン4S 試乗記

メインS19_6984_fine.jpgポルシェ・タイカン4S タイカンはポルシェ初の量産ピュアEV 4Sは容量と出力が異なるバッテリーを設定 試乗車はパフォーマンスバッテリー仕様 電池容量79.2kWh/モーター出力320kW(435ps・定格時)

タイカンはポルシェ本気のピュアEV第一弾! 4Sが主力グレード

 ポルシェはタイカンの生産を本拠地、ドイツ・シュトゥットガルトで行うことに強くこだわった。余剰地など存在しないと思えた本社周辺の土地を、自らの手で「区画整理」。捻出した数カ所に点在する用地を、一部では数百mに達するコンベアベルトで結ぶという手法まで用いて、EV専用の新工場を建設した。

「2020年までに60億ユーロ(約7260億円)以上を投資する」と発表されたポルシェの電動化ロードマップで、タイカンは記念すべきピュアEVラインアップの第1号。まずは2019年9月に、ターボとターボSという高性能バージョンがドイツ、アメリカ、中国の世界3極で同時発表された。11月のロサンゼルス・オートショーで早くも新グレード、4Sを発表。これはタイカンの主力グレードになる。

 ポルシェの流儀でいえば、「4S」のグレード名は4輪駆動の高性能バージョンを意味する。現時点ではさらなるバリエーション展開は公表されていないが、4Sのデビューは、将来的に「2輪駆動仕様」や「グレード名の付かないベース仕様」の登場を示唆しているように思われる。

S19_6982_fine.jpgパフォーマンスバッテリー仕様は0~100km/h加速を4秒でクリア トップスピード250km/h 全長×全幅×全高4963×1966×1379㎜

最高出力435ps、圧倒的なコントロール性は「さすがポルシェ!」

 国際試乗会は、フィンランドの北極圏内で行われた。試乗車は、大容量・高出力のパフォーマンスバッテリーを搭載。それでも定格時320kW(435ps)、オーバーブースト時390kW(530ps)という最高出力値は、ターボ、ターボSグレード比で控えめだ。

 もっとも、雪上と氷上に限られた今回の試乗会では、そのハンディキャップを意識する場面はなかった。標準サイズから1インチアップとなる20インチのウインタータイヤが装着されていたものの、トラクションコントロール機能をカットすると「アクセルONと同時に4輪ホイールスピン」を起こすほど、路面ミューが極端に低かったからだ。

 そうした状況のドライブで印象深かったのは、電気モーターゆえのシャープなレスポンス。アクセルのわずかな操作に対して遅滞なくトルクが増減されるため、ドリフト時のコントロール性は抜群に高い。路面の凹凸に対してボディの動きが見事に制御される点も大きな特徴だ。

 電動化されても見事なまでにポルシェ車らしい走りのテイストが味わえる。この点が、タイカン・シリーズ最大のトピックといえる。

S19_6365_fine.jpgインパネは911やパナメーラに似た機能的な造形 スポーツクロノ仕様はインパネ上部にストップウオッチを配置 ピュアEVのためシフトレバーは未装備

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S19_6356_fine.jpgシートはサポート性を重視したデザイン 前席は薄型形状 着座位置は低くスポーティ 室内空間には余裕がある 床下にバッテリーを配置する低重心設計

S19_6958_fine.jpgモーターの利点を生かしたシャープな反応が魅力 雪道のコントロール性は抜群に高い

ポルシェ・タイカン4S 主要諸元

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グレード=4S(パフォーマンスバッテリー)
価格=未定
全長×全幅×全高=4963×1966×1379mm
ホイールベース=2900mm
車重=2140kg
航続距離(WLTPモード)=333~407km(最小~最大)
前後モーター最高出力=(435ps)/オーバーブースト時390kW(530ps)
前後モーター最大トルク_=640Nm
バッテリー容量=79.2kWh(パフォーマンスバッテリー)
サスペンション=フロント:ダブルウィッシュボーン/リア:マルチリンク
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ=フロント:225/55R19/リア:275/45R19
駆動方式=4WD
乗車定員=4名
最高速度=250km/h
0→100km/h加速=4.0秒
0→400m加速=12.3秒
※スペックは欧州仕様

S19_7117_fine.jpg北極圏のフィンランドで試乗 タイカンの走行中CO2排出量はゼロ

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