【最新モデル試乗】独自の世界観。ポルシェ911カレラ4Sは「最新が最善」なのか? サーキットチェック

ポルシェ911カレラ4Sクーペ(992型) 450psを発揮する3リッターフラット6ツインターボをリアオーバーハング部に搭載 ニュルブルクリンク北コースのラップタイムは旧型比5秒速い7分25秒
ポルシェ911カレラ4Sクーペ(992型) 450psを発揮する3リッターフラット6ツインターボをリアオーバーハング部に搭載 ニュルブルクリンク北コースのラップタイムは旧型比5秒速い7分25秒

ポルシェ911カレラ4Sクーペ 価格:8SMT 1804万8148円 試乗記

911は進化するスポーツカーの代表。新型は中味がぐっと充実

 911はポルシェのイメージリーダーだ。それはボクスター/ケイマンのミッドシップモデルが存在感を強め、SUVを含めた4ドア車が販売の過半数を占めるようになった現在も変わらない。911は、1964年の1stモデル誕生以来、長寿記録を更新し続ける傑作リアエンジンスポーツである。

 911の魅力は、伝統に甘んじることなく、最新のテクノロジーを積極的に取り入れ、スポーツカーシーンの先頭を走り続けてきた点にある。911は「進化するスポーツカー」の代表だ。
 そうした事実は、「もはやリファインの余地などない」と思われた従来型から、いっそう飛躍を遂げた最新992型に乗ると、改めて実感する。

 従来の991型に対して992型が大きく進化した点は、「ADAS」と呼ばれる最新の運転支援システムやインターネット技術との「コネクティビティ」の搭載など。どんなアングルからでも911に見える「猫の背中」型ボディを継承したエクステリアに対し、ダッシュボード周辺が大型ディスプレイを配置した新デザインに全面刷新された点からも明らかだ。

全長×全幅×全高4520×1850×1300mm 車重1590kg パワーウエイトレシオ:3.53kg/ps 新型は音響センサーを利用した路面検知システム標準 Cd値は0.29
全長×全幅×全高4520×1850×1300mm 車重1590kg パワーウエイトレシオ:3.53kg/ps 新型は音響センサーを利用した路面検知システム標準 Cd値は0.29

トップスピード306km/h! 3リッターフラット6は素晴らしい出来

 走りの水準が、さらなる高みへと引き上げられているのはいうまでもない。試乗車はツインターボ付き3リッター水平対向6気筒エンジン(450ps/530Nm)を搭載するカレラ4S。アダプティブクルーズコンロールやレーンキープアシストといった「ADAS」関連アイテムに加え、アクティブスタビライザー(PDCC)やリアアクスルステアリングなどが装着されていた。

 3リッターフラット6は素晴らしい。アクセル操作に即応し、強力であることはもとより、独特のサウンドを含めて情感豊かなパワーフィールを伝える。回転の上昇に伴うパワーの伸び感は明確。いい意味でターボらしさは薄い。リアオーバーハングに搭載されるエンジンは、新型になってさらに輝きを増した。トップスピードは306km/hに達し、0→100km/h加速は3.6秒でクリアする。

 タイトターンでの俊敏な回頭感、フロント20/リア21インチという大径タイヤを装着しているとは信じられないほどの軽やかなフットワークも、何とも上質でゴキゲンだ。
 トラクション能力は強靭無比。RRレイアウトに加え、前輪にもエンジントルクが分配される4WDシステムの効果を実感した。しかも新型は、路面の湿潤状態を自動で感知して、安定性重視の「ウエットモード」の選択を促すシステムを初採用。濡れた路面での安心感は大幅に向上した。これも992型の進化を示す一例である。

 911は独自の世界を持っている。ドイツではMT仕様が設定された。ぜひとも日本への輸入を実現してほしい。

新型のインパネは中央に10.2インチタッチスクリーン装備 「ナロー時代911」のイメージを投影した造形
新型のインパネは中央に10.2インチタッチスクリーン装備 「ナロー時代911」のイメージを投影した造形
写真のシートはショルダー部のサポート性を高めた軽量設計スポーツ仕様 後席は+2スペース シートバックは可倒式
写真のシートはショルダー部のサポート性を高めた軽量設計スポーツ仕様 後席は+2スペース シートバックは可倒式
回転計中心の5連式メータは タコメーター以外は液晶式 レッドゾーン7400rpm以上
回転計中心の5連式メータは タコメーター以外は液晶式 レッドゾーン7400rpm以上
シフトメインセレクターはバイワイヤー式 パーキングとマニュアルモードはボタンで選択
シフトメインセレクターはバイワイヤー式 パーキングとマニュアルモードはボタンで選択
ヘッドライトは伝統の丸型形状 4ポイント式ポジション灯が個性を主張
ヘッドライトは伝統の丸型形状 4ポイント式ポジション灯が個性を主張
タイヤはフロント:245/35ZR20/リア:305/30ZR21の前後異径 992型は全車ワイドフェンダー仕様 ブレーキはアルミモノブロック
タイヤはフロント:245/35ZR20/リア:305/30ZR21の前後異径 992型は全車ワイドフェンダー仕様 ブレーキはアルミモノブロック
リアスポイラーは90km/h以上で上昇 速度に応じ角度を変える
リアスポイラーは90km/h以上で上昇 速度に応じ角度を変える

ポルシェ911カレラ4Sクーペ 主要諸元の主要諸元と主要装備

グレード=911カレラ4Sクーペ
価格=8SMT 1804万8148円
全長×全幅×全高=4520×1850×1300mm
ホイールベース=2450mm
車重=1590kg
エンジン=2981cc・水平対向6DOHC24Vツインターボ(プレミアム仕様)
最高出力=331kW(450ps)/6500rpm
最大トルク=530Nm(54.1kgm)/2300~5000rpm
WLTCモード燃費=9.0_km/リッター
サスペンション=フロント:ストラット/リア:マルチリンク
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ=フロント:245/35ZR20/リア:305/30ZR21
駆動方式=4WD
乗車定員=4名
最高速度=306km/h
0→100km/h加速=3.6秒
※価格を除きスペックは欧州仕様

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