【最新モデル試乗】スカイアクティブXエンジン+CX-30=マツダ車最良、という評判は本当か!?

マツダCXー30・X・Lパッケージ(4WD) CXー30は写真のスカイアクティブX(180ps/224Nm)を筆頭に2リッターガソリン(156ps/199Nm)/1.8リッターディーゼルターボ(116ps/270Nm)の計3種のパワーユニットを設定 スカイアクティブXのトランスミッションは6速ATと6速MTが選べる 駆動方式はFFと4WD
マツダCXー30・X・Lパッケージ(4WD) CXー30は写真のスカイアクティブX(180ps/224Nm)を筆頭に2リッターガソリン(156ps/199Nm)/1.8リッターディーゼルターボ(116ps/270Nm)の計3種のパワーユニットを設定 スカイアクティブXのトランスミッションは6速ATと6速MTが選べる 駆動方式はFFと4WD

マツダCX-30・X・Lパッケージ(4WD) 価格:6MT/6SAT 371万3600円 試乗記

CX-30はマツダSUVのエース。美しく室内は広い

 マツダは、グローバル市場に対し、クロスオーバーSUVを幅広くラインアップする。しかし、これまで世界各社のエース級が集まる全長4.4mクラスのモデルがなかった。
 そうした中で登場したモデルが、CX-30だ。開発主査の佐賀尚人氏は「CX-30は機動性、室内空間、デザインという3つの柱を凝縮した1台」と語る。まさにコンパクトクロスオーバーSUVの王道を目指したコンセプトである。

 ボディサイズは全長×全幅×全高4395×1795×1540mm。全長は縦列駐車がしやすい4.4m以下(欧州市場のニーズだという)に抑え、全幅と全高は国内の一般的なタワーパーキングに対応している。最小回転半径は、弟分のCX-3と同じ5.3mだ。
 エクステリアはアバンギャルドで好き嫌いが分かれるマツダ3に対し、普通(!?)に美しい。CX-30は都市生活の中で使うことを重視した洗練された造形だ。下部のクラッディングを厚めに設定することで、「スポーツモデルのようなタイト感」と「SUVの力強さ」をバランスよく表現している。
 一見クーペ風に寝ているCピラーは、バックウィンドウ下端を後退させる手法で、ユーティリティ性に配慮した。

 インテリアは、インパネ回りを含めてマツダ3譲り。CX-30の特徴は、ファミリーカーとしての使用を考慮した空間作りにある。マツダ3比で全長とホイールベースともに短いが、パッケージングの工夫で、前後席ともゆったりとしたスペースを稼ぎ出した。身長180cmのパセンジャー4名がしっかりと座れる。
 シートの出来も素晴らしい。ラゲッジスペースは使いやすく、数値上の容量を追求するのではなく、実際の積載性に配慮した空間設計が光る。

造形コンセプトは「スリーク&ボールド」 クーペののびやかさとSUVの力強さを融合 ボディカラーは写真のソウルレッドクリスタルメタリックなど全8色
造形コンセプトは「スリーク&ボールド」 クーペののびやかさとSUVの力強さを融合 ボディカラーは写真のソウルレッドクリスタルメタリックなど全8色

マツダ自慢のスカイアクティブXは高精度な印象。気持ちいい

 走りはどうか? クルマの動きが滑らかで、視線がブレないフラット感の高い乗り味である。速度域や走るステージを問わず、クルマの動きと人間の感覚にズレがない素直なハンドリングが印象的だ。CX-30は、新世代マツダ車共通の味わいに、「しなやかさ」と、どこかホッとするような「安心感」がプラスされている。

 広いグラスエリアが生み出すワイドな視界と、クロスオーバーとしての基本骨格(全高が高く、重心も高い)が、マツダが目指す「クルマの挙動を滑らかにコントロール」するという部分で、プラスをもたらした。

 パワートレーンは豊富にラインアップしている。お勧めはスカイアクティブXである。スカイアクティブXは、SPCCI(火花点火制御圧縮着火)を採用、世界で初めて実用化に成功したガソリン圧縮着火エンジンだ。1997ccの排気量から180ps/6000rpm、224Nm/3000rpmをマークする。
 アクセル操作に対して素直にスッと前に出るツキのよさ、常用域でのフラットなトルク感、そしてレッドゾーンまで綺麗に吹き上がるレスポンスのよさなど、各領域でエンジンの美点が堪能できる。まさに自然なフィーリングの持ち主だ。 
 中でも数値に表れない部分、高度にバランス取りされた「高精度エンジン」のような繊細なフィーリングと心地よいサウンドは大きな魅力。「究極の実用エンジン」という称号が似合う。

CX-30のプラットフォームはマツダ3用をベースにリア回りを新設計した専用タイプ マツダ3比で重心高は35mm高くホイールベースは70mm短い
CX-30のプラットフォームはマツダ3用をベースにリア回りを新設計した専用タイプ マツダ3比で重心高は35mm高くホイールベースは70mm短い

静粛性の高さは特筆レベル。CX-30の完成度は超一級

 惜しいのは6速AT。変速のステップ比が広いうえに、ビジーなシフト制御のためスムーズネスにやや欠ける。「滑らかな走り」の面で、トランスミッションが足を引っ張っている部分がある。多段化すれば、印象はガラッと変わるに違いない。

 高い静粛性は特筆に値する。CX-30自体が静かなクルマだが、スカイアクティブXの場合は、エンジン周囲を包み込む「カプセル吸音」によって、遮音対策を徹底。ノイズ成分が大幅にカットされている。静かさは上級モデルのマツダ6以上だ。

 CX-30は、マツダのクロスオーバーラインアップの中で最良の仕上がりといえる。これほど魅力的だと心配になるのが、CX-3/CX―5のユーザーを奪ってしまいそうなことである……。

室内は上質な雰囲気 Lパッケージは各部を本革で仕上げたラグジュアリー仕様 8.8インチセンターディスプレイ標準 本革ステアリングはテレスコピック機構付き 
室内は上質な雰囲気 Lパッケージは各部を本革で仕上げたラグジュアリー仕様 8.8インチセンターディスプレイ標準 本革ステアリングはテレスコピック機構付き 
シートは着座時に脊柱が理想的なS字カーブを描く快適設計 Lパッケージは本革シート標準 シートカラーは写真のブラックとホワイトを設定 室内長1830mm
シートは着座時に脊柱が理想的なS字カーブを描く快適設計 Lパッケージは本革シート標準 シートカラーは写真のブラックとホワイトを設定 室内長1830mm
ラゲッジルームは後席使用時430リッターの容量と1020mmの荷室開口幅を確保 6対4分割の後席シートバックを倒すと広いフラットスペース出現
ラゲッジルームは後席使用時430リッターの容量と1020mmの荷室開口幅を確保 6対4分割の後席シートバックを倒すと広いフラットスペース出現
リアゲートは電動開閉式 静かな作動音を追求した設計 荷室地上高はCX-3より55mm低い731mm
リアゲートは電動開閉式 静かな作動音を追求した設計 荷室地上高はCX-3より55mm低い731mm
レーダークルーズコントロールは全車速対応タイプ ステアリング部にスイッチをレイアウト
レーダークルーズコントロールは全車速対応タイプ ステアリング部にスイッチをレイアウト
ナビ機能はディーラーopのSDカード(5万3899円)で機能 360度ビューモニターはセットop(8万6880円)
ナビ機能はディーラーopのSDカード(5万3899円)で機能 360度ビューモニターはセットop(8万6880円)
6速ATは走行モード切り替えとパドルシフト標準 加速はダイレクト 駐車ブレーキは電気式
6速ATは走行モード切り替えとパドルシフト標準 加速はダイレクト 駐車ブレーキは電気式

マツダCX-30・X・Lパッケージ(4WD) 主要諸元と主要装備の主要諸元と主要装備

グレード=X・Lパッケージ(4WD/AT)
価格=6SAT 371万3600円
全長×全幅×全高=4395×1795×1540mm
ホイールベース=2655mm
トレッド=フロント1565×リア1565mm
最低地上高=175mm
車重_=1550kg
エンジン=1997cc直4DOHC16V(プレミアム仕様)
最高出力=132kW(180ps)/6000rpm
最大トルク=224Nm(22.8kgm)/3000rpm
モーター最高出力=4.8kW(6.5ps)/1000rpm
モーター最大トルク=61Nm(6.2kgm)/100rpm
WLTCモード燃費=15.8km/リッター(燃料タンク容量48リッター)
(市街地/郊外/高速道路=12.8/16.1/17.4km/リッター)
サスペンション=フロント:ストラット/リア:トーションビーム
ブレーキ=フロント:ベンチレーテッドディスク/リア:ディスク
タイヤ&ホイール=215/55R18+アルミ
駆動方式=4WD
乗車定員=5名
最小回転半径=5.3m
●主な燃費改善対策:ハイブリッドシステム/アイドリングストップ/筒内直接噴射/リーンバーン/可変バルブタイミング/充電制御/ロックアップ機構付きトルクコンバーター/電動パワーステアリング
●主要装備:スマートブレーキサポート(前後進時)/AT誤発進抑制制御(前後進時)/リアパーキングセンサー/レーダークルーズコントロール(全車速追従機能付き)/レーンキープアシスト/交通標識認識システム/車線逸脱警報/ブラインドスポットモニタリング/ドライバーアテンションアラート/アダプティブLEDヘッドライト/バックガイドモニター/8.8インチセンターディスプレイ/7インチマルチスピードメーター/ヘッドアップディスプレイ/本革巻きステアリング&シフトノブ/ステアリングヒーター/レザーシート/運転席電動調節機構/前席シートヒーター/フルオートAC/マツダ・ハーモニックアコースティックス(8スピーカー)/18インチアルミ(高輝度ダーク塗装)/Gベクタリングコントロールプラス/オフロードトラクションアシスト/電動パーキングブレーキ(オートホールド付き)/マフラーカッター(大径)
●装着メーカーop:360度セーフティパッケージ(360度ビューモニター+ドライバーモニタリング)8万6880円/ボーズサウンドシステム7万7000円/スーパーUVカットガラス+CD/DVDプレーヤー+地デジチューナー(フルセグ)4万9500円/電動スライドガラスサンルーフ8万8000円
●ボディカラー:ソウルレッドクリスタルメタリック(op6万6000円)
※価格はすべて消費税込み リサイクル費用は1万10円

フロントマスクは最新マツダ車共通イメージ グリルは見る角度や光線の当たり方によって表情を変えるメッシュで構成
フロントマスクは最新マツダ車共通イメージ グリルは見る角度や光線の当たり方によって表情を変えるメッシュで構成
215/55R18タイヤ+専用高輝度ダーク塗装スポークアルミ装着 最低地上高175mm 最小回転半径5.3m 足回りはしなやかなセッテ ィング
215/55R18タイヤ+専用高輝度ダーク塗装スポークアルミ装着 最低地上高175mm 最小回転半径5.3m 足回りはしなやかなセッテ ィング
1997cc直4DOHC16V 180ps/6000rpm 224Nm/3000rpm スカイアクティブXはマツダ独創のSPCCI(火花点火制御圧縮着火)を採用した量産車世界初のガソリン圧縮着火エンジン マイルドハイブリッド仕様 WLTCモード燃費:15.8km/リッター(プレミアム仕様)
1997cc直4DOHC16V 180ps/6000rpm 224Nm/3000rpm スカイアクティブXはマツダ独創のSPCCI(火花点火制御圧縮着火)を採用した量産車世界初のガソリン圧縮着火エンジン マイルドハイブリッド仕様 WLTCモード燃費:15.8km/リッター(プレミアム仕様)
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