アストンマーティンがF1復帰を記念した最新市販モデル「ヴァンテージF1エディション」を発表。納車は2021年第4四半期に開始予定

F1公式セーフティカーのアストンマーティン・ヴァンテージを開発する際の技術ノウハウを注入した市販特別モデル「ヴァンテージF1エディション」が初公開。4リットルV8ツインターボエンジンの最高出力は通常モデル比+25psの535psを発生

 英国のアストンマーティンは2021年3月22日(現地時間)、同ブランドの主力スポーツカーであるヴァンテージ(Vantage)に「ヴァンテージF1エディション(Vantage F1 Edition)」を新設定すると発表した。ボディタイプはクーペとロードスターの2種類を用意し、車両価格は14万2000ポンド(約2140万円)~に設定。ユーザーへの納車は2021年第4四半期の開始を予定する。

▲アストンマーティン・ヴァンテージF1エディション 全長4490×全幅2153(ミラーキャップ含)×全高1274mm ホイールベース2704mm 車重1570kg 乗車定員2名 F1公式セーフティカーのヴァンテージを開発する際の技術ノウハウを注入した市販特別モデル
▲アストンマーティン・ヴァンテージF1エディション 全長4490×全幅2153(ミラーキャップ含)×全高1274mm ホイールベース2704mm 車重1570kg 乗車定員2名 F1公式セーフティカーのヴァンテージを開発する際の技術ノウハウを注入した市販特別モデル

 アストンマーティンは2021年シーズンのF1に、レーシングポイントを引き継ぐ形のアストンマーティン・コグニザントF1チームとして参戦する。アストンマーティンが最後にF1に参戦したのは1960年シーズンのことで、実に61年ぶりにアストンマーティンのブランド名がF1界に復活するわけだ。また同社は、F1公式セーフティカーとして専用セッティングを施したアストンマーティン・ヴァンテージを供給する。今回発表された特別モデル「ヴァンテージF1エディション」は、公式セーフティカーを開発する際の技術ノウハウを目いっぱいに注いでサーキット走行に焦点を合わせた、いわば“セーフティカーの市販バージョン”というキャラクターを有している。

▲アストンマーティン・ヴァンテージ・ロードスターF1エディション 全長4490×全幅2153(ミラーキャップ含)×全高1274mm ホイールベース2704mm 車重1645kg 乗車定員2名 シューズは通常モデルの20インチから21インチへと拡大したうえで、新デザインのサテンブラック・ダイヤモンド旋削仕上げアロイホイールを装着する
▲アストンマーティン・ヴァンテージ・ロードスターF1エディション 全長4490×全幅2153(ミラーキャップ含)×全高1274mm ホイールベース2704mm 車重1645kg 乗車定員2名 シューズは通常モデルの20インチから21インチへと拡大したうえで、新デザインのサテンブラック・ダイヤモンド旋削仕上げアロイホイールを装着する

 チューンアップの概要を見ていこう。まずパワーユニットは、全回転域で高トルクを維持するとともに、高回転域でのパワーを向上させた3982cc・V型8気筒DOHC32Vツインターボエンジンをフロントミッドにマウント。圧縮比は10.5に設定し、最高出力は通常モデル比+25psの535ps/6000rpm、最大トルクは685Nm/2000~5000rpmを発生する。組み合わせるトランスミッションは、シフトアップ時のトルク損失を低減すると同時に、シフト時間の短縮を図ってダイレクト感と正確性を引き上げた専用チューニングのZF製8速オートマチックギアボックスを採用。駆動系にはカーボンファイバー製プロペラシャフト付きアロイトルクチューブと電子制御デフのE-Diffを配する。公表性能は、最高速度がクーペ314km/h、ロードスター305km/h、0→100km/h加速がクーペ3.6秒、ロードスター3.7秒の高スペックを達成した。

▲パワーユニットには高回転域でのパワーを向上させた3982cc・V型8気筒DOHC32Vツインターボエンジンをフロントミッドに搭載。圧縮比は10.5に設定し、最高出力は通常モデル比+25psの535ps/6000rpm、最大トルクは685Nm/2000~5000rpmを発生する
▲パワーユニットには高回転域でのパワーを向上させた3982cc・V型8気筒DOHC32Vツインターボエンジンをフロントミッドに搭載。圧縮比は10.5に設定し、最高出力は通常モデル比+25psの535ps/6000rpm、最大トルクは685Nm/2000~5000rpmを発生する

 シャシー面の強化にも抜かりはない。前ダブルウィッシュボーン式/後マルチリンク式のサスペンションは、ダンパー内部の改良による有効作動領域の拡大および減衰力のアップやリアスプリングの強化などを実施。Skyhookテクノロジーによるアダプティブダンピングシステム(ADS)や切替モード(Sport/Sport+/Track)も組み込む。また、シューズは通常モデルの20インチから21インチへと拡大したうえで、新デザインのサテンブラック・ダイヤモンド旋削仕上げアロイホイールを装着。タイヤにはピレリと共同開発した前255/35ZR21 XL A6A (98Y)/後295/30ZR21 XL A6A (102Y)サイズのピレリP Zeroを組み合わせた。

▲サスペンションはダンパー内部の改良による有効作動領域の拡大および減衰力のアップやリアスプリングの強化などを実施する
▲サスペンションはダンパー内部の改良による有効作動領域の拡大および減衰力のアップやリアスプリングの強化などを実施する

 エクステリアに関しては、包括的なエアロキットによって空力特性をいっそう高めたことが訴求点だ。具体的にはフロントスプリッターやフロントダイブプレーン、アンダーボディ・ターニングベーン、そして新造形のリアウィングなどを装備。フロントとリアともにダウンフォースが強化され、最高速度で通常モデルよりも計200kg多い下向きの力を発生する。一方、ボディカラーにはF1マシン「AMR21」およびセーフティカーのカラーリングを模したアストンマーティン・レーシンググリーンのほか、ジェットブラックとルーナーホワイトを設定。サテン仕上げとグロス仕上げの選択も可能だ。また、装備面ではダークヴェーンドフロントグリルや2×2ツイルカーボンファイバー・エクステリアディテール、ソリッドマット・ダークグレーのレーシンググラフィック、4本出しエキゾースト(マットブラック)などを標準で採用している。

▲ボディカラーにはF1マシン「AMR21」およびセーフティカーのカラーリングを模したアストンマーティン・レーシンググリーンのほか、ジェットブラックとルーナーホワイトを設定
▲ボディカラーにはF1マシン「AMR21」およびセーフティカーのカラーリングを模したアストンマーティン・レーシンググリーンのほか、ジェットブラックとルーナーホワイトを設定
▲ASTON MARTINとF1 EDITIONのロゴを表記したトレッドプレートを特別装備
▲ASTON MARTINとF1 EDITIONのロゴを表記したトレッドプレートを特別装備

 内包するインテリアは、新しいオブシディアンブラックレザーとファントムグレーのアルカンターラ張りを配した専用のトリムデザインを導入したことがトピックだ。また、コントラストストライプおよびステッチとしてライムグリーンのほか、オブシディアンブラック/ウルフグレー/スパイシーレッドを選択することも可能である。

▲内装には新しいオブシディアンブラックレザーとファントムグレーのアルカンターラ張りを配した専用のトリムデザインを導入。コントラストストライプおよびステッチとしてライムグリーン(写真・上)のほか、オブシディアンブラック(写真・下)/ウルフグレー/スパイシーレッドを用意
▲内装には新しいオブシディアンブラックレザーとファントムグレーのアルカンターラ張りを配した専用のトリムデザインを導入。コントラストストライプおよびステッチとしてライムグリーン(写真・上)のほか、オブシディアンブラック(写真・下)/ウルフグレー/スパイシーレッドを用意
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