【名車購入ガイド】ランサー・エボリューションは「ラリーの三菱」の象徴。超ホットな狼セダンだった

ランサーGSRエボリューション4 ランエボは1992年の登場以来ほぼ毎年のように進化モデルが登場 エボ4はボディを一新 走行状況に応じて後輪のトルク配分を自動調節するAYC機構を装備 ラインアップは写真のGSRとRSの2種
ランサーGSRエボリューション4 ランエボは1992年の登場以来ほぼ毎年のように進化モデルが登場 エボ4はボディを一新 走行状況に応じて後輪のトルク配分を自動調節するAYC機構を装備 ラインアップは写真のGSRとRSの2種

三菱ランサー・エボリューション4 新車時価格:5MT 299万8000円(1996年式) 試乗記

圧倒的な動力性能。とにかく速く、安定している

 1350kgのボディに与えられたエンジンは、280psのピークパワーを絞り出す2リッターツインカム16Vターボ。4.82kg/psというパワーウェイトレシオは、国産最強のRX-7タイプRよりわずかに0.1kg/ps大きいだけである。
 エボ4のクラッチはズシリと重い。しかし、強力なパワー&トルクを受け止めるクラッチであることを考えれば、十分にリーズナブルだ。

 エボ4は速い、とにかく速い。パフォーマンスに優れたクルマでも普通は3速に入るころには車速の伸びは鈍る。しかし、エボ4の場合、体がシートに押し付けられる加速が終わることはない。なおかつフルタイム4WDならではの路面にピタリと張り付くような直進性は、すさまじいスピードをサラリとこなす。スピードリミッターを作動させることなど朝飯前である。はっきりいおう。ステアリングを握るドライバーに最も求められるのは「自制心」だ。

エボ4は97年シーズンからWRCに参戦 年間4勝を挙げトミ・マキネン選手のドライバーズタイトル獲得に貢献 パワーウェイトレシオ:4.82kg/ps
エボ4は97年シーズンからWRCに参戦 年間4勝を挙げトミ・マキネン選手のドライバーズタイトル獲得に貢献 パワーウェイトレシオ:4.82kg/ps

最新メカで自在なハンドリング追求。基本に忠実なドライビングが最善

 エボ4のトピックのひとつに、AYC(アクティブヨーコントロールシステム)がある。これは、各種センサーが読み取った情報をもとに新開発のトルクトランスファーデフが後輪の左右間でトルクスプリットを行うシステムだ。目的はアンダーステアやオーバーステアを抑え、ニュートラルステアを実現すること。
 わかりやすくいえば、「曲がりやすく、かつスピンしにくい特性を与える」ということだ。

 実際、回頭性はいい。ステアリングインプットに対してノーズが素直にインを向いてくれるため、狙ったラインをトレースしやすい。ある一定レベルまでは舵もよく利いてくれるし、タックインの動きも穏やかだ。
 しかし、本気になって激しくコーナーを攻め、アンダーステアが出始めたら、攻略は難しい。アクセルオンでアンダーを消そうとしても、状況はほとんど改善されない。
 コーナー手前でしっかりと減速し、一定速でコーナーを回り、十分に姿勢が変わってから強烈なトラクションとパワーを使って立ち上がっていく、というのがエボ4の実力を最大限に発揮するドライビングスタイルだ。
(カー・アンド・ドライバー 1996年9月26日号発表)

1997cc直4DOHC16Vターボ 280ps/6500rpm 36.0kgm/3000rpm 各部の改良でエボリューション3比10ps/5.5kgm増強 エグゾーストエンドは大口径シングル 排気音は重低音 足元は205/50R16サイズのBSポテンザとOZ製6.5JJアルミ装着
1997cc直4DOHC16Vターボ 280ps/6500rpm 36.0kgm/3000rpm 各部の改良でエボリューション3比10ps/5.5kgm増強 エグゾーストエンドは大口径シングル 排気音は重低音 足元は205/50R16サイズのBSポテンザとOZ製6.5JJアルミ装着
GSRは快適装備充実 メーターはホワイト仕上げ 5速MTは1速の伸びと各ギアのつながりを重視したギア比設定 回頭性は軽快な印象
GSRは快適装備充実 メーターはホワイト仕上げ 5速MTは1速の伸びと各ギアのつながりを重視したギア比設定 回頭性は軽快な印象
GSRはレカロ製バケット標準 ステアリングはモモ製本革巻き エボリューション4はドア開口部のスポット溶接をベース車比約200点追加しボディ剛性を強化 乗り心地は硬質
GSRはレカロ製バケット標準 ステアリングはモモ製本革巻き エボリューション4はドア開口部のスポット溶接をベース車比約200点追加しボディ剛性を強化 乗り心地は硬質

ワンポイント名車購入ガイド

 ランサー・エボリューション4(E-CN9A型)は1996年8月発売。歴代ランエボで最も生産台数が多く、ラインアップはGSRとRSの2種。RSは競技ベース車両で、GSR比で90kg軽いが装備はスパルタン。ラリーやダートトライアルなどモータースポーツに使用されたクルマも多く、コンディションチェックは重要だ。価格は上昇傾向。走行6万km、事故歴ありの車両でも250万円のプライスタグが付く。最近、流通量は減少傾向にある。

1996年式 三菱ランサーGSRエボリューション4 主要諸元の主要諸元と主要装備

グレード:エボリューション4(1996年式)
新車時価格:299万8000円
寸法・重量:全長×全幅×全高4330×1690×1415mm ホイールベース2510mm 車重1350kg
エンジン:1997cc直4DOHC16Vターボ(280ps/6500rpm 36.0kgm/3000rpm)
サスペンション:フロント:ストラット/リア:マルチリンク 
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール:205/50R16+アルミ
駆動方式:4WD
乗車定員:5名
※4thモデル/生産期間:1996~1999年

SNSでフォローする