【最新モデル試乗】510ps新開発ストレート6搭載。鮮烈マスクのBMW・M4クーペが誇る刺激的な速さ

BMW・M4クーペ・コンペティション M4としては2ndモデルとなる新型は新世代S58B型3リッター直6DOHC24Vターボ搭載 コンペティションのスペックは標準車比30ps/100Nmパワフルな510ps/650Nm パワーウェイトレシオは3.39kg/ps
BMW・M4クーペ・コンペティション M4としては2ndモデルとなる新型は新世代S58B型3リッター直6DOHC24Vターボ搭載 コンペティションのスペックは標準車比30ps/100Nmパワフルな510ps/650Nm パワーウェイトレシオは3.39kg/ps

BMW・M4クーペ・コンペティション 価格:8SAT 1348万円 試乗記

最新M4は一段と鮮烈に変身。各部は上質な仕上がり

 Mの頭文字を持つBMWは別格の存在である。1st・M3は、1985年に登場した。そもそもは、当時のグループAレースの王者を目指した「戦うクルマ」だった。
 その後、2ndモデル以降に設定されたクーペ/カブリオレ仕様を経て、「ハッチバック/セダン系には奇数、それ以外には偶数を与える」という新ネーミングルールに従い、2014年にM4シリーズとして独立した。

 試乗車は、昨年秋に欧州でデビューし、今年1月に日本でも発表されたG82型と呼ばれる最新モデル。基本的なランニングコンポーネンツや走りのキャラクターをM3と共有する点は、従来モデルと同様だ。
 ボディサイズは全長×全幅×全高4805×1885×1395mmと伸びやか。全長は従来型比で120㎜長くなった。一方、全高はわずかに10mmの上乗せ。新型M3比で 40mmも低い「ローシルエット」は、クーペならではの流麗なプロポーションを強調する。
 新しいM4クーペで印象的なのは、大型キドニーグリルを採用したフロントマスクだろう。試乗車のボディカラーは、サンパウロイエロー。ブラックアウト化されたグリルとのコントラストは鮮烈だった。大型グリルの存在感を控えめにしたいのであれば、ブラックやグレーなどダーク系のボディカラーを選択するのがベターである。

 インテリア各部は現行3&4シリーズと同様のモチーフを採用。試乗車には、これまで以上の個性とゴージャスな雰囲気を感じた。ブルーをベースにブラックやイエローのアクセントを施したシートなど、多数のオプションアイテムが装着されていたからだろう。

パフォーマンスは圧倒的 0〜100km/h加速は3.9秒 Mドライバーズパッケージ(op33万6000円)装着車の最高速は290km/hに達する 駆動方式はFR 今後4WDを設定予定
パフォーマンスは圧倒的 0〜100km/h加速は3.9秒 Mドライバーズパッケージ(op33万6000円)装着車の最高速は290km/hに達する 駆動方式はFR 今後4WDを設定予定
2992cc直6DOHC24Vツインターボ 510ps/6250rpm 650Nm/2750~5500rpm 新開発S58B型は旧型比60ps/100Nmパワーアップ 圧倒的な動力性能と緻密な回転フィールが魅力
2992cc直6DOHC24Vツインターボ 510ps/6250rpm 650Nm/2750~5500rpm 新開発S58B型は旧型比60ps/100Nmパワーアップ 圧倒的な動力性能と緻密な回転フィールが魅力

ラインアップは3グレード構成。コンペティションの最高出力は510ps!

 M4クーペの現時点でのラインアップはベーシック仕様に加え、排気系やソフトウェアに専用チューニングを施し高いパフォーマンスを発揮するエンジンを搭載したコンペティション、それをベースにADAS機能を省略して軽量化を図りつつ、セラミックブレーキやカーボンバケットシートなどを標準化したコンペティション・トラックパッケージの3タイプ。

 パワーユニットは全車、新世代S58B型3リッター直6DOHC24Vターボ。スペックはベーシック仕様が480ps/550Nm。コンペティション系は510ps/650Nm。駆動方式は、現在は後輪駆動限定だが、今後、コンペティション系には4WDバージョンが追加される方針が公表されている。

 コンペティションで走り始める。どんな場面でもゆとりにあふれた動力性能が印象的だ。同時に、いかにも緻密な回転フィールなど、BMWの直列6気筒らしい上質感がみなぎる点も見逃せない。
 実はそうした好印象には、高精度なエンジンとともにMステップトロニックを謳う8速ステップATが大いに貢献している。
 このトランスミッションは、ステップATらしい滑らかさと、DCTに匹敵するタイトなトルクの伝達感を高い水準で両立させている。セレクターレバーに設けられた小さなスイッチ操作により、シフトスピードを調整可能という独自のロジックも見どころだ。

大型キドニーグリルは1930年代の名スポーツカー328にインスパイアを受けた造形
大型キドニーグリルは1930年代の名スポーツカー328にインスパイアを受けた造形
M4シリーズはベーシック/コンペティション(写真)/コンペティション・トラックパッケージの3グレード構成 ベーシック・グレードは6速MT仕様
M4シリーズはベーシック/コンペティション(写真)/コンペティション・トラックパッケージの3グレード構成 ベーシック・グレードは6速MT仕様

0→100km/h加速3.9秒。速さはスーパースポーツと同等

 パワーパックの高い実力に導かれ、思わず右足を踏み込むと、たちまちとんでもないスピードに達する。パフォーマンスはスーパースポーツと同等。0〜100km/h加速は3.9秒でクリア。Mドライバーズパッケージが装着された試乗車のトップスピードは290km/hに達する。

 アクセルペダルを深く踏み込んだ場合のパワーは、ときに「過激」といいたくなる。510psという最高出力もさることながら、2750rpmから発生するターボ付きエンジンならではの650Nmという大トルクが強烈だ。穏やかな走りに終始をするためには、強い自制心が必要である。
 大トルクを迂闊に炸裂させると、たとえドライ路面であってもトラクション能力が物足りなく思えてしまう。モデルレンジで史上初となる4WDバージョンが設定されると聞いて、「当然だろう」と思うほどのじゃじゃ馬ぶりだ。

 新型M4は、「ポテンシャル向上こそが開発の主目的だった」という新開発S58B型エンジンを筆頭に、サーキット走行を想定したさまざまな走りのメカニズムを標準で装備する。電子制御の可変減衰力ダンパーを含むアダプティブMサスペンションや、やはり電子制御されるMスポーツディファレンシャル、大容量のMコンパウンドブレーキシステムなどフットワークを支えるアイテムも同様の仕立てで、さらに、ファットで薄い前後異径の大径タイヤを装着する。端的にいって、乗り味はスパルタンだ。

 ターボチャージャーが与えられてからのM3/M4は、スピード性能がそれ以前とは段違い。圧倒的パフォーマンスが魅力の源泉だ。最新のMは「高回転型自然吸気エンジンを、MTを駆使して操るFR車」という時代とは、よくも悪くも一線を画したモデルだ。

全長×全幅×全高4805×1885×1395mm 車重1730kg ボディサイズはM440i比30mm長く 35mmワイド 全高は共通
全長×全幅×全高4805×1885×1395mm 車重1730kg ボディサイズはM440i比30mm長く 35mmワイド 全高は共通
タイヤはフロントが 275/35R19/リアは 285/30R20の前後異径 フロント:9.5J/リア:10.5JのMライトアルミの組み合わせ
タイヤはフロントが 275/35R19/リアは 285/30R20の前後異径 フロント:9.5J/リア:10.5JのMライトアルミの組み合わせ
ブレーキはMコンパウンド仕様標準 写真のカーボンセラミックはop(107万5000円)
ブレーキはMコンパウンド仕様標準 写真のカーボンセラミックはop(107万5000円)
ルーフは軽量CFRP製 優れた走りを生む低重心設計に貢献
ルーフは軽量CFRP製 優れた走りを生む低重心設計に貢献
排気エンドパイプは大径左右4本出し 排気音は刺激的な快音を発生
排気エンドパイプは大径左右4本出し 排気音は刺激的な快音を発生
インパネは最新BMW共通イメージ グリップ部の太いMスポーツステアリングはがっちりとした操舵フィール 写真はopインテリア(30万8000円)仕様
インパネは最新BMW共通イメージ グリップ部の太いMスポーツステアリングはがっちりとした操舵フィール 写真はopインテリア(30万8000円)仕様
前席はサポート性を重視したバケット形状 4点式シートベルト対応 後席も大人2名がくつろげる 乗車定員は4名
前席はサポート性を重視したバケット形状 4点式シートベルト対応 後席も大人2名がくつろげる 乗車定員は4名
メーターは12.3インチフル液晶 各種表示デザインが選択できる Mモード(写真下)は回転計をツイン表示する
メーターは12.3インチフル液晶 各種表示デザインが選択できる Mモード(写真下)は回転計をツイン表示する

BMW・M4コンペティション 主要諸元と主要装備の主要諸元と主要装備

グレード=M4クーペ・コンペティション
価格=8SAT 1348万円
全長×全幅×全高=4805×1885×1395mm
ホイールベース=2855mm
トレッド=フロント:1615×リア:1605mm
車重=1730kg
エンジン=2992cc直6DOHC24Vターボ(プレミアム仕様)
最高出力=375kW(510ps)/6250rpm
最大トルク=650Nm(66.3kgm)/2750〜5500rpm
WLTCモード=10.1km/リッター(燃料タンク容量59リッター)
(市街地/郊外/高速道路:6.9/10.4/12.3km/リッター)
サスペンション=フロント:ストラット/リア:マルチリンク
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール=フロント:275/35R19/リア:285/30R20+アルミ
駆動方式=FR
乗車定員=4名
最小回転半径=5.2m
主な燃費改善対策=無段階バルブリフト(バルブトロニック)/筒内直接噴射/吸排気無段階可変バルブタイミング(ダブルVANOS)/充電制御/アイドリングストップ/電動パワーステアリング
主要装備=ドライビングアシスト・プロフェッショナル(アクティブクルーズコントロール+ステアリング&レーンコントロールアシスト+車線逸脱警告+レーンチェンジウォーニング+アクティブサイドコリジョンプロテクション+前車接近警告+衝突回避・被害軽減ブレーキ+後車衝突警告機能+クロストラフィックウォーニング+高速道路渋滞時ハンズオフアシスト+エマージェンシーストップアシスト+トラフィックサインアシストほか)/BMWコネクテッドドライブ・プロフェッショナル/パーキングアシスト/BMWレーザーライト/パークディスタンスコントロール/ラテラルフローコントロール付きエンジンオイル・マネジメントシステム/アダプティブMサスペンション/Mドライブ/Mスポーツディファレンシャル/Mコンパウンドブレーキシステム/パドルシフト/Mディフューザー/ロゴ付きサイドギル/Mリアスポイラー/CFRP製ルーフ/BMWインディビジュアル・ハイグロスシャドーラインエクステリア/Mドアミラー/ブラック仕上げデュアルエクゾーストパイプ/コンフォートアクセス/BMWライブコクピット(12.3㌅メーターパネル+10.25㌅ワイドコントロールディスプレイ+HDDナビゲーション)/マルチファンクションMレザーステアリング/パーキングベンチレーション/3ゾーンオートAC/Mスポーツシート/前席電動調節機構/スルーローディングシステム/アンビエントライト/スピーチコントロール(音声入力システム)/ワイヤレスチャージング/ハーマンカードン・サウンドシステム/ヘッドアップディスプレイ/ジェスチャーコントロール
装着メーカーop=フルレザーメリノインテリア30万8000円/Mドライブプロフェッショナル12万4000円/Mカーボンセラミックブレーキ107万5000円/BMWディスプレイキー4万2000円/カーボンファイバーインテリアトリム15万1000円/アクティブベンチレーションシート11万7000円/パーキングアシストプラス6万9000円/Mドライバーズパッケージ33万6000円
ボディカラー:サンパウロイエロー
※価格はすべて消費税込み リサイクル費用は1万8380円
撮影協力/小田急 箱根レイクホテル

コンペティションのトランスミッションは8速AT 3種のシフトプログラムを設定 大型パドルを標準装備
コンペティションのトランスミッションは8速AT 3種のシフトプログラムを設定 大型パドルを標準装備
シフト基部のボタンでエンジンやマフラーの各種セッティング可能
シフト基部のボタンでエンジンやマフラーの各種セッティング可能
各種車両機能は10段階に調節できるトラクションコントロールなど詳細セッティング可能
各種車両機能は10段階に調節できるトラクションコントロールなど詳細セッティング可能
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