日本最適設計。ベストセラー、トヨタ・ライズとダイハツ・ロッキーを「いいね!」と感じる理由

トヨタ・ライズZ(FF) 価格:CVT 206万円 ライズはダイハツが設計/生産を担当 ロッキーと基本的に共通モデル エンジンは全車1リッター直3ターボ(98ps) ボディサイズ(3995×1695×1620mm)は取り回し性に優れた5ナンバー規格
トヨタ・ライズZ(FF) 価格:CVT 206万円 ライズはダイハツが設計/生産を担当 ロッキーと基本的に共通モデル エンジンは全車1リッター直3ターボ(98ps) ボディサイズ(3995×1695×1620mm)は取り回し性に優れた5ナンバー規格

トヨタ・ライズ+ダイハツ・ロッキー 価格:167万9000〜236万7200円 試乗記

堂々と見えるコンパクトモデル。2台は兄弟車、違いはフロントマスク

合計販売台数:5万755台(2021年1〜5月)
(ライズ:4万1240台/ロッキー:9515台)

ライズ人気グレード
1:Z(206万〜228万2200円)
2:G(189万5000〜213万3700円)
3:X・S(174万5000〜198万4800円)

ロッキー人気グレード
1:G(200万2000〜222万4200円)
2:プレミアム(214万5000〜236万7200円)
3:X(184万8000~208万6700円)

ライズ&ロッキー人気ボディカラー
1:シャイニングホワイトパール
2:ブラックマイカメタリック
3:ブラックマイカメタリック×シャイニングホワイトパール

 現在、国産/輸入を含めてさまざまなクロスオーバーSUVが販売されているが、SUVであることを「免罪符」であるかのようにして、ボディサイズは年々拡大傾向にある。
 運転しやすいコンパクトなサイズがいい──そんなユーザーの本音を形にしたモデルが、トヨタ・ライズ/ダイハツ・ロッキーだ。この2台は基本的に同じクルマ。ハッチバックのパッソ/ブーン、コンパクトトールワゴンのルーミー/トールと同じようにダイハツが開発・生産を担当し、トヨタにOEM供給される兄弟車である。

 最大の魅力は全長×全幅×全高3995×1695×1625mmというコンパクトなサイズ。日本の道路環境にマッチした5ナンバー枠に収まる。エクステリアは都会的な洗練性よりも、SUVの力強さを強調した造形。シンプルながらも抑揚のあるフェンダー&大径タイヤと相まって、堂々とした印象をかもし出す。
 ライズとロッキーの違いはフロントマスク。両車RAV4の弟分を意識した意匠でまとめた。造形担当はどちらもダイハツ。余談だが、RAV4開の発メンバーがライズを見て、ソックリなことに驚いた(いい意味で)というウワサも!?

 インテリアはほどよくワイルド、ほどよくスポーティ。TFT液晶のフルデジタル式のメーターが新鮮だ。全体的に機能重視で設計されている。質感は格別高くはないものの、気兼ねなく使えるほどよい「道具感」が好印象だ。
 室内スペースはボディサイズを考えると優秀。前席優先のパッケージだが、後席は大人でもひざ回り/頭上空間ともに余裕があるうえに、ウィンドウ面積が大きい関係で数値以上に「広い」と感じる。ラゲッジ容量も必要十分。ファミリーカーとしても十分使えるパッケージングといえる。

ダイハツ・ロッキーG(FF) 価格:CVT 200万2000円 ロッキーのフロントマスクはシンプルな6角形グリル 写真のボディカラーはロッキー専用色のブラックマイカメタリック×コンパーノレッドの2トーン
ダイハツ・ロッキーG(FF) 価格:CVT 200万2000円 ロッキーのフロントマスクはシンプルな6角形グリル 写真のボディカラーはロッキー専用色のブラックマイカメタリック×コンパーノレッドの2トーン
駆動方式はFFと4WD 4WDは発進時や走行状況に合わせて駆動力を電子制御し自動的に前後に配分 ボディ色は計11種 写真のブラックマイカメタリック×ターコイズブルーメタリックの2トーンはライズ専用色
駆動方式はFFと4WD 4WDは発進時や走行状況に合わせて駆動力を電子制御し自動的に前後に配分 ボディ色は計11種 写真のブラックマイカメタリック×ターコイズブルーメタリックの2トーンはライズ専用色

ターボは力強くスムーズ。価格以上の価値を実感できるクルマ

 エンジンは全車1リッターの直列3気筒ターボ(98ps/140Nm)。パフォーマンスはスペック以上の実力。ゼロ発進からの実用的なトルク特性は、小排気量ターボとは思えないほど自然である。しかも高回転までストレスなく回る軽快なフィーリングを併せ持つ。個人的には、同じ1リッターの3気筒ターボを採用したVW・Tクロスよりも、トルク特性/ターボラグの少ないフィーリングをはじめ総合力は高いと感じた。トランスミッションはスプリットギアを用いたD-CVTを搭載。並のATよりもダイレクト感は高く、アクセル全開にしない限りCVTのネガな部分(=ラバーバンドフィール)はほとんど感じない。

 プラットフォームはDNGAを採用する。トヨタのTNGAに似た共通アーキテクチャーだ。軽自動車からコンパクトカーまでカバーしており、「小は大を兼ねる」という、通常とは逆のコンセプトで開発されている点が特徴だ。
 フットワークは軽快なクルマの動きと小回りのよさが高く評価できる。ただし、パワートレーンと比べると、粗削りな部分が残るのも事実だ。
 コーナリングは背が高いモデルながらも「上手にロールさせて曲がる」特性。中立付近のステアリングの感触がやや曖昧で、操舵時にワンテンポ遅れて反応が立ち上がる点は残念。操舵初期に「グラッ」と上屋が傾くので、「ドキッ」とさせられる。電動パワーステアリングのアシスト量は、実用域重視でセットアップされていて、軽めで扱いやすい。とはいえもう少し路面からのインフォメーションがあったほうが安心感は高まるだろう。このあたりはダイハツ車全般にいえる部分だ。コペンGRスポーツでは大きく改善されていたので、水平展開を期待したい。

 乗り心地はクラス平均水準。1トンを切る車両重量と大径タイヤの組み合わせなので、しっとり感はそれなり。中~高速域は想像以上にフラットだが、実用域はサスペンションが少々突っ張った印象を受ける。ただし、我慢できるレベルなのでご安心を。
 ライズ/ロッキーは、全体的に満足感が高く、使い勝手に優れている。子細にチェックすると気になる点はいくつかあるものの、約170万円からというスターティングプライスを聞くと「これでいいよね!」と思える。
 高い実力はライズ/ロッキーの合計で月間1万台を超える販売台数が物語っている。ほどよいサイズ、取り回しのよさ、そして扱いやすさ……「おっ、値段以上」といえる1台である。

インパネはセンター部をドライバー側に傾けたスポーティ形状 センターコンソールはハイマウントタイプ 写真の9インチディスプレイオーディオはop
インパネはセンター部をドライバー側に傾けたスポーティ形状 センターコンソールはハイマウントタイプ 写真の9インチディスプレイオーディオはop
シートは快適な座り心地の大型形状 Zの前席はレッドパイピング入り 前後席ともスペースはゆとりたっぷり 室内長1955mm
シートは快適な座り心地の大型形状 Zの前席はレッドパイピング入り 前後席ともスペースはゆとりたっぷり 室内長1955mm
荷室はアレンジ自在 後席シートバックは6対4分割 高さが調節できるラゲッジボード採用 
荷室はアレンジ自在 後席シートバックは6対4分割 高さが調節できるラゲッジボード採用 
メーターは中央部をLEDパネルとしたフルデジタル仕様 スイッチ操作で4種のデザインが選べる
メーターは中央部をLEDパネルとしたフルデジタル仕様 スイッチ操作で4種のデザインが選べる
トランスミッションはスプリットギア付きD-CVT ダイレクトな加速フィールを実現 パドルシフトは未設定
トランスミッションはスプリットギア付きD-CVT ダイレクトな加速フィールを実現 パドルシフトは未設定
Zは全車速追従機能付きACC標準 ステアリング右側に操作部を配置
Zは全車速追従機能付きACC標準 ステアリング右側に操作部を配置
スマートパーキングパノラマパック(op14万7400円)を選ぶと車両周囲の状況を表示できる
スマートパーキングパノラマパック(op14万7400円)を選ぶと車両周囲の状況を表示できる
ボクシーなスタイリングは力強くスマート 厚みのあるロアボディがSUVらしさをアピール 安全装備は全車にスマートアシスト標準 ブラインドスポットモニターはop設定
ボクシーなスタイリングは力強くスマート 厚みのあるロアボディがSUVらしさをアピール 安全装備は全車にスマートアシスト標準 ブラインドスポットモニターはop設定
上級グレードのヘッドライトはアダプティブ機能付きLED ウインカーはシーケンシャル式
上級グレードのヘッドライトはアダプティブ機能付きLED ウインカーはシーケンシャル式
Zは195/60R17タイヤ+アルミ標準 最低地上高185mm 最小回転半径:5.0m
Zは195/60R17タイヤ+アルミ標準 最低地上高185mm 最小回転半径:5.0m
996cc直3DOHC12Vターボ 98ps/6000rpm 140Nm/2400〜4000rpm 全域スムーズ&トルクフル
996cc直3DOHC12Vターボ 98ps/6000rpm 140Nm/2400〜4000rpm 全域スムーズ&トルクフル

トヨタ・ライズ主要諸元と主要装備の主要諸元と主要装備

グレード=ライズZ(FF)
価格=CVT 206万円
全長×全幅×全高=3995×1695×1620
ホイールベース=2525mm
トレッド=フロント:1475×リア:1470mm
最低地上高=185mm
車重=980kg
エンジン(レギュラー仕様)=996cc直3DOHC12Vターボ
最高出力=72kW(98ps)/6000rpm
最大トルク=140Nm(14.3kgm)/2400〜4000rpm
WLTCモード燃費=18.6km/リッター(燃料タンク容量36リッター)
(市街地/郊外/高速道路:14.4/20.2/20.1km/リッター)
サスペンション=フロント:ストラット/リア:トーションビーム
ブレーキ=フロント:ベンチレーテッドディスク/リア:ドラム
タイヤ&ホイール=195/60R17+アルミ
駆動方式=FF
乗車定員=5名
最小回転半径=5.0m
主な燃費改善対策:可変バルブタイミング/アイドリングストップ/自動無段変速機/電動パワーステアリング/充電制御
主要装備:スマートアシスト(衝突回避支援ブレーキ+衝突警報機能+車線逸脱警報+車線逸脱抑制制御+前後ブレーキ制御付き誤発進抑制機能+先行車発進お知らせ+アダプティブドライビングビーム+前後コーナーセンサー+標識認識機能+レーンキープコントロール+全車速追従アダプティブクルーズコントロール+サイドビューランプ)/車速感応式間欠ワイパー/ヒルホールドシステム/SRSカーテンシールドエアバッグ/カラードバンパー/バックドア一体リアスポイラー/フルLEDヘッドライト/LEDシーケンシャルターンランプ/LED前後フォグランプ/マルチインフォメーションメーター/本革巻きステアリング/キーフリーシステム/前席レッドパイピング付きファブリックシート/2段可変式デッキボード/荷室ユーティリティフック/オートAC/前席シートヒーター/リアヒーターダクト/6スピーカー/USBソケット/前後スタビライザー
装着メーカーop:ブラインドスポットモニター(リアクロストラフィックアラート付き)6万6000円/スマートパノラマパーキングパック(9インチスマホ連携ディスプレイオーディオ+フルセグTVアンテナ+ステアリングスイッチ+フロントカメラ+サイドカメラ+バックカメラ+ブルートゥース+USBソケット+Wi-Fiルーター)14万7400円
ボディカラー:ブラックマイカメタリック×ターコイズブルーマイカメタリック(op5万5000円)
※価格はすべて消費税込み リサイクル費用は9550円

ダイハツ・ロッキーG(FF) ロッキーは「アクティブ/ユースフル/コンパクト」をキーワードに開発 プラットフォームはダイハツの新世代クルマ技術を投入したDNGA
ダイハツ・ロッキーG(FF) ロッキーは「アクティブ/ユースフル/コンパクト」をキーワードに開発 プラットフォームはダイハツの新世代クルマ技術を投入したDNGA
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