【最新モデル試乗】スタイリッシュに変身。今度のヴァリアントが「ゴルフの本命」と言われる理由

VWゴルフ・ヴァリアントeTSI・Rライン 新型は1リッター直3ターボ(110ps)と1.5リッター直4ターボ(150ps)の全車48Vマイルドハイブリッド仕様 Rラインは1.5リッター搭載 2670mmのホイールベースはハッチバック比50mm長い
VWゴルフ・ヴァリアントeTSI・Rライン 新型は1リッター直3ターボ(110ps)と1.5リッター直4ターボ(150ps)の全車48Vマイルドハイブリッド仕様 Rラインは1.5リッター搭載 2670mmのホイールベースはハッチバック比50mm長い

VWゴルフ・ヴァリアントeTSI・Rライン 価格:7DCT 389万5000円 試乗記

先進のゴルフ、ヴァリアントはその魅力を凝縮

 8thゴルフのステーションワゴン版、ヴァリアントが日本上陸を果たした。欧州でのハッチバック登場は2019年秋、ヴァリアントは1年後の2020年秋。1年のインターバルがあった欧州に対し、日本ではほとんど時間差なくラインアップが整った。これはヴァリアントの導入が素早いというより、ハッチバックの日本市場投入が遅かったことが影響している。
 ゴルフのワゴン版は3rdモデルから設定されており、この30年近くで300万台以上を全世界で販売した。日本でも1995年に導入が開始され15万台以上のセールスを誇る。
 ヴァリアントの人気の秘密は、何より「ゴルフであること」、そして「使い勝手に優れた実用ワゴンであること」を追求した点にある。新型はこれまで以上にこの個性を強化した。

 はじめに8thゴルフ全体の魅力を語っておこう。日本仕様は全グレード48V電気システムを積んだBSG、すなわちマイルドハイブリッド仕様としたことがのニュースである。本国では3種類用意されているeTSIエンジンのうち、上と下の二種類を日本仕様として用意した。ミラー燃焼サイクル+可変ターボジオメトリーの3気筒1リッター(110ps)と、オットーサイクル+アクティブシリンダーマネージメントの4気筒1.5リッター(150ps)だ。ちなみに日本未導入のもう一種類は1.5リンターのミラーサイクル(131ps)。いずれのエンジンも最大350barのコモンレールインジェクターを備えた最新ユニットである。トランスミッションは乾式の7速DSGを組み合わせる。

 装備面ではデジタルコクピットの全面採用が光る。多彩な機能を集約した液晶メータークラスターは大衆車ゴルフのイメージを大きく変えた。最新世代の通信モジュールを内蔵したインフォテイメントシステムも使いやすい。
 ADASも最先端。クラスを超えた運転支援システムを装備する。なかでも0〜210km/hの範囲で同一車線をキープするトラベルアシストが高速ドライブを快適にグレードアップする。ちなみにハンドルは静電容量式のセンシングである。

全長×全幅×全高4640×1790×1465mm 全長はハッチバック比350mm長い Cd値は0.275をマーク
全長×全幅×全高4640×1790×1465mm 全長はハッチバック比350mm長い Cd値は0.275をマーク
RラインのFバンパーはスポーティな印象の専用形状 ワイドなロアインテークが個性を主張する
RラインのFバンパーはスポーティな印象の専用形状 ワイドなロアインテークが個性を主張する

新型はホイールベースを延長。スタイリングは伸びやか

 ヴァリアントは、上記3点の魅力に加え、さらに固有の特徴を身につけた。全長だけでなくホイールベースをハッチバックより延長したことが注目点だ。自由度の高い横置きFF用のMQBプラットフォームとはいえ、ハッチバックとヴァリアントのホイールベースが異なるのは歴代初めて。その差は50mm。延長分は後席のレッグルーム拡大に充てられたから、新型ヴァリアントは名実ともにコンパクトクラスの実用ファミリーカーへと進化した。もちろん肝心の積載容量は611〜1642リッターと先代比でしっかり増えている。

 エクステリアデザインも新鮮である。Bピラー、つまり前ドアまではハッチバックと同じ。そこから後ろのルーフラインに注目してほしい。これまでのヴァリアントはそこからスーッと後端までほぼ水平を保っていた。新型は違う。ルーフははっきりと下降し、リアウィンドウの傾斜もきつい。格段にスタイリッシュになり、ひとクラス上の雰囲気を発散する。これで積載容量が減っていればたちまちブーイングとなるところだが、しっかり積めて格好よく、しかもCd値が0.275と空力特性に優れるのだから文句はない。もっとも、実直なワゴンスタイルこそがゴルフ・ヴァリアントの魅力だと思っていた向きには、ちょっと気取り過ぎだと言われかねないが。ちなみにヴァリアントのラインアップはハッチバックと共通。1リッター/2グレード、1.5リッター/2グレードの計4タイプから選べる。

新型のリアゲートは大開口タイプ ハンズフリー電動開閉機能はop
新型のリアゲートは大開口タイプ ハンズフリー電動開閉機能はop
ラゲッジスペースはクラストップ級 後席使用時611リッター/最大1642リッターの大容量 従来モデル比でそれぞれ6リッター/22リッター拡大 後席は6対4分割 ラゲッジカバー&ネット標準
ラゲッジスペースはクラストップ級 後席使用時611リッター/最大1642リッターの大容量 従来モデル比でそれぞれ6リッター/22リッター拡大 後席は6対4分割 ラゲッジカバー&ネット標準

力強く、小気味いい走り。高い完成度が印象的

 走りはゴルフそのものである。ヴァリアントの車重はハッチバック比で150kgほど増えている。けれども1.5ℓのRラインに乗っている限り、重い印象はない。加速フィールは十分に力強く、実用的な速さだ。7速DCTの変速も小気味よい。これが48Vマイルドハイブリッドの恩恵というものだろう。
 1ℓのアクティブの場合は、少し車重の影響を感じた。けれども、パワー不足で遅いというわけではない。いずれのパワートレーンを選んでも、動力性能は満足できるレベル。実用上は高水準だ。

 フットワークは、ホイールベース延長の好影響が実感できる。クルマの動き全体に落ち着きがあって一層快適だ。ワインディングロードでも気持ちよく操れた。ひょっとすると8thゴルフのベストバイはヴァリアントではないか。オールラウンダーぶりが際立つ最新モデルである。

インパネはハッチバックと共通形状 Rラインはヒーター付き専用本革巻きステアリング標準 写真はディスカバープロPKG(19万8000円)装着車
インパネはハッチバックと共通形状 Rラインはヒーター付き専用本革巻きステアリング標準 写真はディスカバープロPKG(19万8000円)装着車
Rラインはサポート性に優れたトップスポーツシート標準 ヴァリアントの後席レッグスペースはハッチバック比38mm拡大 室内スペースは余裕たっぷり
Rラインはサポート性に優れたトップスポーツシート標準 ヴァリアントの後席レッグスペースはハッチバック比38mm拡大 室内スペースは余裕たっぷり
メーターは地図など多彩な表示モードが選べるフル液晶タイプ 視認性はハイレベル ヘッドアップディスプレイはop
メーターは地図など多彩な表示モードが選べるフル液晶タイプ 視認性はハイレベル ヘッドアップディスプレイはop
トランスミッションは7速DCT メインセレクターは小型形状 パドルシフト標準 駐車ブレーキはホールドモード付き電気式 
トランスミッションは7速DCT メインセレクターは小型形状 パドルシフト標準 駐車ブレーキはホールドモード付き電気式 
高速道路で同一車線を自動キープする便利なトラベルアシスト(ACC)標準 210km/hまで設定可能
高速道路で同一車線を自動キープする便利なトラベルアシスト(ACC)標準 210km/hまで設定可能
225/45R17タイヤ+5スポークアルミ装着 Rラインはスポーツサス標準
225/45R17タイヤ+5スポークアルミ装着 Rラインはスポーツサス標準
1497cc直4DOHC16Vターボ(150ps/250Nm)+モーター(13ps/62Nm) 可変シリンダー機構搭載 WLTCモード燃費:17.0km/リッター
1497cc直4DOHC16Vターボ(150ps/250Nm)+モーター(13ps/62Nm) 可変シリンダー機構搭載 WLTCモード燃費:17.0km/リッター

VWゴルフ・ヴァリアントeTSI・Rライン 主要諸元と主要装備の主要諸元と主要装備

グレード=eTSI・Rライン
価格=7DCT 389万5000円
全長×全幅×全高=4640×1790×1485mm
ホイールベース=2670mm
車重=1430kg
エンジン=1497cc直 4DOHC16Vターボ(プレミアム仕様)
最高出力=110 kW(150ps)/5000〜6000rpm
最大トルク=250Nm(25,5kgm)/1500~3500rpm
モーター最高出力=9.4kW(13ps)
モーター最大トルク=62Nm(6.3kgm)
WLTCモード燃費=17.0 km/リッター(燃料タンク容量51ℓ)
(市街地/郊外/高速道路=12.7/17.4/19.6km/リッター)
サスペンション=前:ストラット/後:4リンク
ブレーキ=前ベンチレーテッドディスク/後ディスク
タイヤ&ホイール=225/45R17+アルミ
駆動方式=FF
乗車定員=5名
最小回転半径=5.1m
●主な燃費改善対策:アイドリングストップ/筒内直接噴射/可変バルブタイミング/気筒休止/電動パワーステアリング/充電制御/DSG/48Vハイブリッドシステム
●主要装備:アダプティブクルーズコントロール(全車速追従機能付き)/緊急時停車支援システム/レーンキープアシスト/同一車線全車速運転支援システム(トラベルアシスト)/レーンチェンジアシストシステム/スタティックコーナリングライト/ハイビームアシスト/リアビューカメラ/前後パークディスタンスコントロール/オプティカルパーキングシステム/リアトラフィックアラート/プリクラッシュブレーキ/LEDヘッドランプ/リアフォグランプ/オールティンテッドガラス/3ゾーンフルオートAC/アレルゲン除去機能付きフレッシュエアフィルター/VW純正インフォテイメントシステム・レディ2ディスカバー/デジタルメータークラスター/ETC2.0対応車載器/モバイルオンラインサービス/専用本革巻きマルチファンクションステアリング/ステアリングヒーター/アルミ調ペダルクラスター/パドルシフト/トップスポーツシート(専用ファブリック&マイクロフリース)/前席ハイト&ランバーサポート調節機能/スマートフォンワイヤレスチャージ/エレクトロニックパーキングブレーキ/インテリアアンビエントライト/プログレッシブステアリング/スポーツサスペンション/ドライビングプロファイリング機能/電子制御ディファレンシャルロック(XDS)/Rライン専用エクステリア/17㌅アルミ(5スポーク)/テンポラリースペアタイヤ
●装着メーカーop:ディスカバープロパッケージ19万8000円/テクノロジーパッケージ(LEDマトリクスヘッドライト+ダイナミックコーナリングライト+ダイナミックライトアシスト+駐車支援システム+ヘッドアップディスプレイ+LEDテールランプ+パワーテールゲート)18万7000円
●ボディカラー:ライムイエローメタリック(op3万3000円)
撮影協力:小田急・箱根レイクホテル

ゴルフ・ヴァリアントeTSIアクティブ 価格:7DCT 326万5000円 1リッター直3ターボ(110ps)搭載した販売主力グレード 排気エネルギーに応じて容量が変化するバリアブルジオメトリーターボ採用 WLTCモード燃費は18.2km/ℓ 205/55R16タイヤ+アルミ標準 1ℓモデルのリアサスは1.5ℓ車の4リンク式に対してシンプルなトレーリングアーム式 ボディ色は全6色設定 写真はドルフィングレーメタリック 全長×全幅×全高4640×1790×1485mm 車重1360kg
ゴルフ・ヴァリアントeTSIアクティブ 価格:7DCT 326万5000円 1リッター直3ターボ(110ps)搭載した販売主力グレード 排気エネルギーに応じて容量が変化するバリアブルジオメトリーターボ採用 WLTCモード燃費は18.2km/ℓ 205/55R16タイヤ+アルミ標準 1ℓモデルのリアサスは1.5ℓ車の4リンク式に対してシンプルなトレーリングアーム式 ボディ色は全6色設定 写真はドルフィングレーメタリック 全長×全幅×全高4640×1790×1485mm 車重1360kg
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