【最新モデル試乗】日本のニュースタンダード誕生、10年ぶりに全面刷新したトヨタ・アクアの魅力

トヨタ・アクアZ(FF) 価格:THS 240万円 新型はGA-Bプラットフォームと1.5ℓエンジン(91ps)+モーター(80ps)のハイブリッドシステム採用 後輪をモーターで駆動する4WDを新設定 ラインアップはZ/G/X/Bの4グレード
トヨタ・アクアZ(FF) 価格:THS 240万円 新型はGA-Bプラットフォームと1.5ℓエンジン(91ps)+モーター(80ps)のハイブリッドシステム採用 後輪をモーターで駆動する4WDを新設定 ラインアップはZ/G/X/Bの4グレード

トヨタ・アクア 価格:198万~259万8000円 試乗記

新型は4グレード構成。スマートな造形が光る

 日本を代表するコンパクトカー、アクアがモデルチェンジした。この10年でアクアを取り巻く環境は大きく変化した。多くの車種にハイブリッドが設定され、ハイブリッドは「特別な存在」から「普通の存在」となった。そんな中、ハイブリッド専用車の2ndアクアは、どのような新価値を提示したのか。じっくり乗って確かめた。

 メカニズム面ではヤリスと共通性が高い。GA-Bプラットフォームや1.5リッターエンジンとモーターを組み合わせたTHS(ハイブリッド機構)を採用する。とはいえ各部は専用仕様となっており、キャラクターは少なからず異なる。
 ボディサイズは全長×全幅×全高4050×1695×1485mm(FF)。一見するとずいぶん大きくなった印象を受けるが、実際は全長と全幅は従来と変わらず。全高が30mm高くななっただけ。日本の道路環境に適した5ナンバーサイズを堅持している。ただし2600mmのホイールベースは従来比50mm伸びた。

 新型はモダンでスマートな造形だ。いたってシンプルだった旧型と比べると、成熟し車格感が上がった印象を受ける。スムーズなラインと豊かな面で構成されたスタイリングは、なかなかエモーショナルである。前後の造形は従来の面影を残しており、一目でアクアとわかる。新たにアース系を加えた全9色のボディカラーラインアップは、いずれも新型によく似合うと感じた。

アクアはハイブリッド専用車 1480cc直4DOHC16V(91ps/120Nm)とモーター(80ps/141Nm)でシステムを構成 WLTCモード燃費は30.0~35.8km/リッターをマーク
アクアはハイブリッド専用車 1480cc直4DOHC16V(91ps/120Nm)とモーター(80ps/141Nm)でシステムを構成 WLTCモード燃費は30.0~35.8km/リッターをマーク
アクアはベースモデルのBを除きコンパクトで高出力な新開発バイポーラ型ニッケル水素電池を搭載 走りを大幅リファイン
アクアはベースモデルのBを除きコンパクトで高出力な新開発バイポーラ型ニッケル水素電池を搭載 走りを大幅リファイン

快適な室内空間。特に後席の広さが魅力

 インテリアは居心地がいい。シンプルさとクリーンな印象をキープしながら格段に上質になった。トヨタのコンパクトカーで初採用となる10・5in大型ディスプレイオーディオが設定され、ヘッドアップディスプレイも選べる。セレクターレバーがインパネに配されたことでセンターコンソールまわりもスッキリとした。収納スペースもかなり充実している。
 シートは座り心地に優れた大型サイズ。上級グレードでは合成皮革とファブリックを組み合わせたパワーシート仕様が選べる。

 後席のユーティリティはアクアの魅力。座った瞬間に広さ実感する。拡大されたホイールベースが効いている。身長170cm+αのパッセンジャーが前後に座った状態で、後席には膝前にコブシが3つの余裕があった。頭上空間も十分に確保されている。
 後席にリクライニング機構はないが、座面と背もたれの角度はちょうどよく、ヒール段差も最適。直下にバッテリーを積むためか、もう少しクッションに厚みが欲しい気がしたものの居住性はハイレベルだった。ゆったり快適な後席スペースは新型の大きなポイントである。ベルトラインがキックアップしているものの、閉塞感をあまり感じないのも嬉しい。ただし、運転席からは後側方の死角がやや大きい。合流の際などには少々気をつけたほうがよい。

 荷室の広さはそれなり。横方向はあまり広くないので、ゴルフバッグなどを積むときは、4:6分割可倒式のリアシートを前倒しする必要がある。

インパネは上質でモダンな造形 Zはスモーキーブロンズ加飾+合成皮革オーナメントを採用 ディスプレイオーディオは大型10.5インチ 室内各部に小物入れを配置した実用設計
インパネは上質でモダンな造形 Zはスモーキーブロンズ加飾+合成皮革オーナメントを採用 ディスプレイオーディオは大型10.5インチ 室内各部に小物入れを配置した実用設計
アクアの室内は広く快適 とくに後席スペースは余裕たっぷり 大人4名のロングクルーズも苦にならない 写真のシートは運転席6ウエイ電動機能とシート&ステアリングヒーターをセットした合成皮革パッケージ(op6万1600円)
アクアの室内は広く快適 とくに後席スペースは余裕たっぷり 大人4名のロングクルーズも苦にならない 写真のシートは運転席6ウエイ電動機能とシート&ステアリングヒーターをセットした合成皮革パッケージ(op6万1600円)

初採用バイポーラ型バッテリーの効果抜群。高い瞬発力が印象的

 走りは力強い。1.5ℓエンジン(91ps/120Nm)とモーター(80ps/141Nm)のスペックはヤリス系と共通。アクアはBグレードを除く全車に、より大きな電流を瞬時に出せる世界初のバイポーラ型ニッケル水素バッテリーを採用した。その瞬発力は高い。エコモードを選んでも出足でもたつくことはない。マイルドだった旧型とははっきり違う。

 パワー+モードを選択するとさらに力強さが増した。同時にトヨタ車で初採用のワンペダルで加減速ができる「快感ペダル」がほどよく効いて、テンポよく走れる。
新型はEV走行する時間が圧倒的に増えており、静粛性全般も概ね高く保たれている。強い加速を求めてエンジン回転数が上がるとやや騒々しいが、ごく普通に走るには静かな印象が持続する。
 降雪地ユーザーの要望に応えて旧型にはなかった4WD仕様が設定されたのも新型のポイントだ。こちらもしかるべき機会にあらためて試してみたい。

 足まわりは快適性重視セッティング。アクアのユーザー層が不満に感じることのないよう配慮されている。標準サスの15インチ仕様ではやや抑えの効いていない印象もあるが、やさしい乗り味を好む人も少なくないはず。専用のスウィングバルブダンパーを備えたZをオプションの16inタイヤとの組み合わせでドライブしたところ、しなやかさの中にフラット感とダイレクト感があり、マッチングは上々だった。。
 電動パワーステは、もどし制御を備えた最新世代。操舵力が軽く操舵フィール自体は悪くない。ただしやや応答性にクセがありイメージしたラインをトレースしにくい点は改善に期待したい。

フロントマスクは従来イメージを継承 Zのグリルモールはペールゴールド塗装
フロントマスクは従来イメージを継承 Zのグリルモールはペールゴールド塗装
Zは15インチ・タイヤ+アルミ標準 写真の195/55R16+アルミはop(3万9600円)
Zは15インチ・タイヤ+アルミ標準 写真の195/55R16+アルミはop(3万9600円)
メーターは4.2inカラーマルチディスプレイ内蔵のデジタル仕様 視認性に優れたデザイン
メーターは4.2inカラーマルチディスプレイ内蔵のデジタル仕様 視認性に優れたデザイン
ヘッドアップ表示はブラインドスポットモニターなどとセットop
ヘッドアップ表示はブラインドスポットモニターなどとセットop
シフトセレクターはインパネにレイアウト 左側に走行モード切り替えを配置
シフトセレクターはインパネにレイアウト 左側に走行モード切り替えを配置
ドライブモードでパワーモード+を選択すると「快感ペダル」が味わえる
ドライブモードでパワーモード+を選択すると「快感ペダル」が味わえる
シースルー機能付きパノラミックビューモニターは単独またはセットop
シースルー機能付きパノラミックビューモニターは単独またはセットop
ラゲッジスペースは使いやすい 後席使用時の荷室長×幅×高656×1153×824mm アジャスタブルデッキボード(op1万4300円)を利用するとフラットな荷室が出現
ラゲッジスペースは使いやすい 後席使用時の荷室長×幅×高656×1153×824mm アジャスタブルデッキボード(op1万4300円)を利用するとフラットな荷室が出現
リアゲートは荷物の積載性を高めた大型サイズ 開閉操作は軽くスムーズ
リアゲートは荷物の積載性を高めた大型サイズ 開閉操作は軽くスムーズ

トヨタ・アクアZ(FF) 主要諸元と主要装備の主要諸元と主要装備

グレード=Z(FF)
価格=THS 240万円
全長×全幅×全高=4050×1695×1485mm
ホイールベース=2600mm
トレッド=1480/1475mm
最低地上高=140mm
車重=1130kg
エンジン=1490cc直3DOHC12V(レギュラー仕様)
最高出力=67kW(91ps)/5500rpm
最大トルク=120Nm(12.2kgm)/3800~4800rpm
モーター 最高出力=59kW(80ps)
モーター最大トルク=141N・m(14.4kgm)
WLTCモード燃費=33.6km/リッター(燃料タンク容量36リッター)
(市街地/郊外/高速道路)=33.8/36.0/32.0km/リッター)
サスペンション=前ストラット/後トーションビーム
ブレーキ=前ベンチレーテッドディスク/後ドラム
タイヤ&ホイール=185/65R15+アルミ
駆動方式=FF
乗車定員=5名
最小回転半径=5.2m
●主な燃費改善対策:ハイブリッド/アイドリングストップ/可変バルブタイミング/電動パワーステアリング/充電制御/電気式無段変速機
●主要装備:トヨタセーフティセンス(プリクラッシュセーフティ+レーントレーシングアシスト+レーダークルーズコントロール(全車速追従機能付き)+オートマチックハイビーム+ロードサインアシスト)/先行車発進通知機能/パーキングサポートブレーキ/
BiビームLEDヘッドライト&LEDフォグランプ/時間調節式ワイパー/電動格納式リモコンドアミラー/6エアバッグ/バックガイドモニター/デジタルメーター/4.2インチ・カラーTFTマルチインフォメーションディスプレイ/本革巻き3本スポークステアリング/スマートエントリー&スタートシステム/オートAC/10.5インチ・ディスプレイオーディオ+4スピーカー/DCM(車載通信機)/上級ファブリックシート/運転席シート上下アジャスター/スモーキーブロンズ加飾+合成皮革巻きインストルメントパネル
●装着メーカーOP:185/60R15タイヤ&6Jアルミ 3万9600円/合成皮革パッケージA(合成皮革&ストライプ柄ファブリックシート+運転席6ウエイパワーシート+前席シートヒーター+ステアリングヒーター)6万1600円/トヨタチームメイトアドバンストパーク(パノラミックビューモニター+ブラインドスポットモニター+カラーヘッドアップディスプレイほか)18万8100円
●ボディカラー:ブラスゴールドM
※価格はすべて消費税込み リサイクル費用は8840円

アクアは家庭用電気製品が使えるAC100V・1500Wコンセントを後席コンソール部に用意 非常時には専用操作で一般家庭の5日分の電気を供給 電源コードを車外に出すアタッチメントも用意
アクアは家庭用電気製品が使えるAC100V・1500Wコンセントを後席コンソール部に用意 非常時には専用操作で一般家庭の5日分の電気を供給 電源コードを車外に出すアタッチメントも用意
アクアG(FF) 価格:THS 223万円 Gは販売主力グレード 写真のボディカラーはエモーショナルレッドII(op5万5000円) 主要装備:トヨタセーフティセンス/LEDヘッド&Rランプ/ペールゴールド塗装Fグリルモール/本革巻きステアリング/7inディスプレイオーディオ//前席センターアムレスト/合成皮革助手席アッパーボックス/185/65R15タイヤ+スチール(樹脂ホイールキャップ)
アクアG(FF) 価格:THS 223万円 Gは販売主力グレード 写真のボディカラーはエモーショナルレッドII(op5万5000円) 主要装備:トヨタセーフティセンス/LEDヘッド&Rランプ/ペールゴールド塗装Fグリルモール/本革巻きステアリング/7inディスプレイオーディオ//前席センターアムレスト/合成皮革助手席アッパーボックス/185/65R15タイヤ+スチール(樹脂ホイールキャップ)
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