最新レクサスISの頭抜けたバランス感覚は、欧州御三家を凌駕したといえるのか

レクサスIS300h・Fスポーツ(2WD) 最新モデルは“ドライバーとクルマの対話性”を徹底リファイン 300h(ハイブリッド)/300(2リッターターボ:245ps)/350(3.5リッターV6:318ps)をラインアップ 造形はダイナミック
レクサスIS300h・Fスポーツ(2WD) 最新モデルは“ドライバーとクルマの対話性”を徹底リファイン 300h(ハイブリッド)/300(2リッターターボ:245ps)/350(3.5リッターV6:318ps)をラインアップ 造形はダイナミック

レクサスIS300h・Fスポーツ 価格:THS 580万円 試乗記

最新版はフルモデルチェンジに匹敵するリファインを実施

 最近は新型車に注目が集まりがち。モデルライフ8年目で2度目のマイナーチェンジを受けたモデルなど、目立たなくて当然だ。けれどもレクサスのスポーツサルーン、ISは別格。クルマ好きの琴線に触れる高い完成度の持ち主である。

 最新モデルは、ほぼすべてのボディパネルを刷新。フロントメンバーのスポット打点追加、Cピラーからルーフサイドにかけての構造最適化など、各部を徹底的にリファインした。改良内容は、ほとんどフルチェンジ級だ。
 なぜマイナーチェンジと表現するのか? それはプラットホームが従来と共通だからだ。そもそもISは、最新プラットフォームを“使いたくなかった”らしい。レクサス(そしてトヨタ)のFR用は今のところ一つしかない。LSやクラウンなど大型モデル向きのGA-Lである。GA-LはミドルクラスのISには最適とはいえない。かといって新規にプラットフォームを起こすのは難しい。グループや関連企業とのシナジーを狙うとしても一朝一夕ではいかない。結局、従来からのNプラットフォームを使ってのビッグマイナーに収まったというわけだ。

 ISの改良は、志の高いマイチェンである。いわゆる化粧直しとは真逆。結果的に最新ISは欧州製プレミアムFRモデルに勝るとも劣らぬ仕上がりとなった。

プラットフォームは従来の大幅改良版 足回りには新開発スウィングバルブダンパーを採用
プラットフォームは従来の大幅改良版 足回りには新開発スウィングバルブダンパーを採用
2493cc直4DOHC16V(178ps/221Nm)+モーター(143ps/300Nm) リニアで力強い加速は印象的 WLTCモード燃費:18.0km/リッター
2493cc直4DOHC16V(178ps/221Nm)+モーター(143ps/300Nm) リニアで力強い加速は印象的 WLTCモード燃費:18.0km/リッター

ハイブリッドはスムーズさが印象的。2リッターターボも好印象

 ラインアップは多彩。2.5リッター直4+モーターを組み合わせたハイブリッドの300h、2リッター直4ターボ(245ps)の300、そして3.5リッターV6(318ps)の350の基本3グレードに、バージョンLやFスポーツというトリムを組み合わせる。300hには4WDも設定されている。

 販売メインはもちろんハイブリッド系。6割以上のユーザーが選んでいる。300hの走りはレクサスらしくスムーズだ。電気モーターならでは鋭い加速フィールと、重さを感じさせないハンドリング性能、そして落ち着いたGTパフォーマンスが融合。魅力に溢れている。

 個人的なイチオシは4気筒のガソリン車、300だ。中でもFスポーツの完成度は抜群。比較的コンパクトなボディと245psのターボパワー、そして適切な前後重量配分が素晴らしい。正統派スポーツサルーンらしい走りを披露する。すべての動きが自然で嫌味なところがなく、しかもバランスがいい。ずば抜けた点はないが、それがかえって奥深く、飽きのこないドライブフィールをもたらしていた。じっくりと味わいたいレクサスの筆頭である。

Fスポーツは精悍さに磨きをかけたエクステリア 造形はアグレッシブ
Fスポーツは精悍さに磨きをかけたエクステリア 造形はアグレッシブ
ヘッドライトは薄型デザインLED シャープで精悍な表情を演出
ヘッドライトは薄型デザインLED シャープで精悍な表情を演出
タイヤは前235/40R19/後265/35R19の前後異径 新型はボルト式ホイール締結法を採用
タイヤは前235/40R19/後265/35R19の前後異径 新型はボルト式ホイール締結法を採用
エグゾーストエンドは左右2本出し 300hの静粛性は全域ハイレベル
エグゾーストエンドは左右2本出し 300hの静粛性は全域ハイレベル
インパネは機能的で上質 中央に10.3インチ・タッチディスプレイ装着 Fスポーツは鮮烈なレッド内装を設定 ハンドリングはリニアな感覚 まさに意のままに走る
インパネは機能的で上質 中央に10.3インチ・タッチディスプレイ装着 Fスポーツは鮮烈なレッド内装を設定 ハンドリングはリニアな感覚 まさに意のままに走る
Fスポーツはサポート性を高めた本革シート標準 室内空間は余裕たっぷり 乗り心地はしなやか
Fスポーツはサポート性を高めた本革シート標準 室内空間は余裕たっぷり 乗り心地はしなやか
メーターは8㌅TFT液晶とカラーディスプレイの組み合わせ 回転計を中央に配置
メーターは8㌅TFT液晶とカラーディスプレイの組み合わせ 回転計を中央に配置
トランスミッションは電気式 パドル標準 最新モデルはアクセル操作に対する空走感を改良
トランスミッションは電気式 パドル標準 最新モデルはアクセル操作に対する空走感を改良

レクサスIS 主要諸元と主要装備の主要諸元と主要装備

グレード=300h・Fスポーツ(2WD)
価格=THS 580万円
全長×全幅×全高=4710×1840×1435mm
ホイールベース=2800mm
トレッド=前:1580×後:1570mm
車重=1690kg
エンジン=2493cc直4DOHC16V(レギュラー仕様)
最高出力=131kW(178ps)/6000rpm
最大トルク=221Nm(22.5)kgm/4200~4800rpm
モーター最高出力=105kW(143ps)
モーター最大トルク=300Nm (30.6)kgm
WLTCモード燃費=18.0km/リッター(燃料タンク容量66リッター)
(市街地/郊外/高速道路=15.6/18.3/18.8km/リッター)
サスペンション=前:ダブルウィッシュボーン/後:マルチリンク
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール=前:235/40R19/後:265/35R19+アルミ
駆動方式=FR
乗車定員=5名
最小回転半径=5.2m
●主な燃費改善対策:ハイブリッドシステム/電気式無段変速機/アイドリングストップ/筒内直接噴射/可変バルブタイミング/電動パワーステアリング
●主要装備:レクサスセーフティシステム+(プリクラッシュセーフティ・歩行者・自転車運転者検知機能付衝突回避支援システム+レーントレーシングアシスト+オートマチックハイビーム+全車速追従機能付きレーダークルーズコントロール+ロードサインアシスト+ドライバー異常時対応システム)/ブラインドスポットモニター/パーキングサポートブレーキ/バックガイドモニター/ヒルスタートアシストコントロール/UVカット機能付きウインドシールドガラス(遮音タイプ)/スマートエントリー&スタートシステム/電動チルト&テレスコピックステアリングコラム/ゲート式シフトレバー/アナログクロック/前席電動調節機能/プレミアムサウンドシステム/10.3インチ・ワイドディスプレイ/ナビゲーションシステム/Fスポーツ専用フロントグリル&ロッカーモールフィン&Rバンパーロアガーニッシュ&リアスポイラー/ドライブモードセレクト/専用8インチTFTメーター/ディンプル本革スポーツステアリング/アルミ製スポーツペダル&フットレスト/専用スポーツシート/ステアリングヒーター/前席シートヒーター/NAVI・AI・AVS
●装着メーカーオプション:パノラミックビューモニター4万4000円/3眼LEDヘッドライト7万7000円/マークレビンソン・プレミアムサウンドシステム26万5000円/Fスポーツ専用本革スポーツシート29万1500円
●ボディカラー:ホワイトノーヴァガラスフレーク
※価格はすべて消費税込み リサイクル費用は1万540円

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