【最新モデル試乗】圧倒的な走破性を体感。新型ランドクルーザー300は、悪路でも快適さを忘れない超絶4WDだった!

トヨタ・ランドクルーザーGRスポーツ 新型はラダーフレーム構造の新開発GA-Fプラットフォームを採用 マルチテレインセレクトは駆動力と足回りを統合制御するシステムに発展 エンジンは3.5リッターガソリンと3.3リッターディーゼルを用意する
トヨタ・ランドクルーザーGRスポーツ 新型はラダーフレーム構造の新開発GA-Fプラットフォームを採用 マルチテレインセレクトは駆動力と足回りを統合制御するシステムに発展 エンジンは3.5リッターガソリンと3.3リッターディーゼルを用意する

トヨタ・ランドクルーザー300シリーズ 価格:510〜800万円 試乗記

新型はマルチテレインセレクトが大幅に進化。悪路をスムーズに走り抜ける!

 オフロードを抜きにランドクルーザー(以下ランクル)は語れない。向かったのは愛知県の「さなげアドベンチャーフィールド」。少々の難所でも走破できると思ってはいたものの、そこで体感した悪路走破性は異次元だった。

 試乗日は、時折雨が降るコンディション。車両はタイヤを含めフルノーマル状態である。早速コースイン。マルチテレインセレクトの効果を実感する。従来のブレーキ制御のみから駆動力やサスペンションを含めた統合制御へと進化した新システムは、作動が非常にスムーズ。オートのままでも驚くほどの走破性を見せたが、モードを切り替えるとアクセル操作に対するスロットルの開き方が変化して走りやすさが変わる。

 雨でいつも以上に滑りやすくなった岩場でも、ロックを選ぶだけで走り切れたことに感心した。セレクトダイヤルが、走りながらでも非常に操作しやすいこと、そして作動範囲がH4まで拡大され高めの車速でも使えるようになった点も新型のアドバンテージである。

雨で濡れ一段と滑りやすくなった岩場でもロックモードを選択するだけで走破
雨で濡れ一段と滑りやすくなった岩場でもロックモードを選択するだけで走破
足回りは長いストロークが特徴 モーグル路でも駆動力を確実に伝え姿勢をフラットに保つ 写真はAX
足回りは長いストロークが特徴 モーグル路でも駆動力を確実に伝え姿勢をフラットに保つ 写真はAX

オフロードでも心理的負担は最小限。まさに「疲れない」

 サスペンションはオフロードでも完成度が高い。各部の改良により路面からの入力受け止めが巧みになると同時に、操舵アクチュエーターが付いたおかげでハンドルが取られにくく、キックバックも減っている。これなら荒れた路面を長時間走り続けても心理的、身体的負担は少ない。開発陣が「疲れないクルマを目指した」という説明を理解した。

 クロールコントロールの制御も進化していた。従来はやや大きかった作動音が低減するとともに、一瞬スッと空走して不安に感じるようなこともなくなった。スムーズな極低速走行を維持してくれるのでハンドル操作に集中できる。

 驚いたのはGRスポーツの走りだ、舗装路でも感心したが、オフロードでもひと味違う。前後スタビライザーのロックとフリーを自動的に切り替えるE-KDSSが効いて、モーグルでも足が驚くほどよく伸びる。おかげで車体の揺れが小さく、水平に近い状態が保たれる。頭や身体のブレは非常に小さい。まるで魔法のように悪路をスムーズに走り抜ける。

 新しいパワートレンも素晴らしい。ギアを細分化した10速ATの効果もあり、ダウンサイズした3.5リッター・ガソリンでも低速トルクは十分。力強さが頼もしい。ただし乗り比べるとディーゼルのほうが魅力的。パワーがダイレクトに伝わり、特性もリニアでコントロールしやすかった。

急坂などで極低速を保つクロールコントロールは制御が一段と自然になった
急坂などで極低速を保つクロールコントロールは制御が一段と自然になった
新型は水深700mmの渡河性能の持ち主 水中走行もあっけないほどスムーズ
新型は水深700mmの渡河性能の持ち主 水中走行もあっけないほどスムーズ

車両周囲の状況把握も楽々、まさにオフロードの王者!

 車両周辺の状況をディスプレイに表示する機能が充実したのも朗報である。ボンネット下やリアタイヤ周辺まで確認できるようになったのは助かる。しかも画面は精彩。小石の有無まで路面の様子を把握できた。

 新型ランドクルーザーは、生粋のクロスカントリーモデルだった。高い完成度にオンロードでも驚いたが、進化の幅はオフロード性能のほうがより大きいように思う。あいにくの雨が、むしろ恵みの雨に思えたほどだ。ただでさえ厳しいコースがより難易度を増す中で、ランクルの本領である“どこへでも行けて、必ず生きて帰ってこられるクルマ”であることを、身をもって実感した。

マルチテレインコントロールなどはコンソール部のダイヤルでセレクト 走行中でも瞬時に操作できる 視界も良好 狭いオフロードコースでも持て余さない
マルチテレインコントロールなどはコンソール部のダイヤルでセレクト 走行中でも瞬時に操作できる 視界も良好 狭いオフロードコースでも持て余さない
マルチテレインモニターは車両周囲を4つのカメラで把握 アンダーフロアビューも確認できる
マルチテレインモニターは車両周囲を4つのカメラで把握 アンダーフロアビューも確認できる
ランドクルーザーは世界で最も信頼を集めるヘビーデューティ4WD ラインアップは70(写真左)/300(同中央)/プラド(同右)の3シリーズ構成
ランドクルーザーは世界で最も信頼を集めるヘビーデューティ4WD ラインアップは70(写真左)/300(同中央)/プラド(同右)の3シリーズ構成

トヨタ・ランドクルーザー 主要諸元と主要装備の主要諸元と主要装備

グレード=GRスポーツ・ディーゼル
価格=10SAT 800万円
全長×全幅×全高=4965×1990×1925mm
ホイールベース=2850mm
トレッド=前1665/後1665
最低地上高=225mm
車重=2560kg
エンジン=3345cc・V6 DOHC24Vディーゼル・ツインターボ(軽油仕様)
最高出力=227kW(309ps)/4000rpm
最大トルク=700Nm(71.4kgm)/1600~2600rpm
WLTCモード燃費=9.7km/リッター(燃料タンク容量80リッター)
(市街地/郊外/高速道路=7.2/9.7/11.3km/リッター)
サスペンション=前ダブルウィッシュボーン/後トレーリングリンク車軸式
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール=265/65R18+アルミ
駆動方式=4WD
乗車定員=5名
最小回転半径=5.9m
●主な燃費改善対策:直噴エンジン/電子制御式燃料噴射/過給器/インタークーラー/高圧噴射
●主要装備:フルタイム4WD/E-KDSS/AVS/電動デフロック(前後)/マルチテレインセレクト/ドライブモードセレクト/トヨタセーフティセンス(プリクラッシュセーフティ+レーントレーシングアシスト+ドライバー異常時対応システム+レーダークルーズコントロール+ロードサインアシスト+アダプティブハイビームシステム)/ブラインドスポットモニター/パーキングサポートブレーキ/VDIM/パノラミックビューモニター/チルト&スライド電動ムーンルーフ/サイドステップ/本革巻きステアリング/オプティトロンメーター(2眼式)/カラーヘッドアップディスプレイ/独立温度調節式オートAC/本革シート/前席電動調節機能/マイコンプリセットドライビングポジションシステム/スマートエントリー&スタートシステム/指紋認証スタートスイッチ/ディスプレイオーディオ/GR専用エクステリア&インテリア
●主要メーカーop:Tコネクト・ナビゲーションシステム(JBLプレミアムサウンドシステム付き)45万7600円/リアエンターテインメントシステム17万4900円/クールボックス7万1500円/タイヤ空気圧警報システム2万2000円/寒冷地仕様3万1900円
ボディカラー:ダークレッドマイカM
※価格はすべて消費税込み ※リサイクル費用は1万3910円

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