往年のワーゲンバスが電気自動車「ID.Buzz」に進化して登場!

フォルクスワーゲンが電気自動車版ワーゲンバスの「ID.Buzz」をついに発表。5名乗りミニバンのID.Buzzと3名乗りバンのID.Buzz Cargoをラインアップ

 独フォルクスワーゲンは2022年3月9日(現地時間)、電気自動車のバンモデル「ID.Buzz」を発表した。車種展開は5名乗りミニバン(2列シート)の「ID.Buzz(ID.バズ)」と3名乗りバン(前席ベンチシート)の「ID.Buzz Cargo(ID.バズ カーゴ)」という2モデルを設定。グレードはピュア、プロ、パックの3タイプを用意する。まずは欧州にて本年5月より先行受注を開始し、今秋に発売予定。北米市場でも導入を計画し、実車を本年4月に開催される米国ニューヨークオートショーで披露する予定だ。日本市場への導入に関しては、現在のところ未発表である。

▲フォルクスワーゲンID.Buzz(写真・左)とID.Buzz Cargo(同・右)が初公開。まずは欧州にて本年5月より先行受注を開始し、今秋に発売予定
▲フォルクスワーゲンID.Buzz(写真・左)とID.Buzz Cargo(同・右)が初公開。まずは欧州にて本年5月より先行受注を開始し、今秋に発売予定

 ハッチバックモデルのID.3、コンパクトSUVモデルのID.4、SUVクーペモデルのID.5に続く、フォルクスワーゲンの電気自動車「ID.」シリーズの第4弾となるID.Buzzは、そのコンセプトモデルが2017年開催の北米国際自動車ショー(NAIAS)に登場。「往年のワーゲンバス“タイプⅡ”が電気自動車となって復活」と、大きな話題を呼んだ。フォルクスワーゲンはその後、着々と開発を進め、いよいよワールドプレミアを果たすこととなった。

▲フォルクスワーゲンID.Buzz 写真のボディカラーはライムイエロー&キャンディホワイトの2トーン。往年の「T1」キャンパーバンをオマージュしてV形状のフロントパネルやルーフ、ボディ上部をホワイトに仕立てる
▲フォルクスワーゲンID.Buzz 写真のボディカラーはライムイエロー&キャンディホワイトの2トーン。往年の「T1」キャンパーバンをオマージュしてV形状のフロントパネルやルーフ、ボディ上部をホワイトに仕立てる
▲ID.Buzzのボディサイズは全長4712×全幅1985×全高1937mm、ホイールベース2988mmに設定
▲ID.Buzzのボディサイズは全長4712×全幅1985×全高1937mm、ホイールベース2988mmに設定
▲5.3インチのインパネディスプレイと10.0インチ(写真はオプションの12.0インチ)のタッチスクリーン式インフォテインメントディスプレイで構成する最新のデジタルコクピットを採用
▲5.3インチのインパネディスプレイと10.0インチ(写真はオプションの12.0インチ)のタッチスクリーン式インフォテインメントディスプレイで構成する最新のデジタルコクピットを採用
▲インテリアカラーはボディカラーと同系色で構成。5名乗り仕様のID.Buzzは後席に2:1分割可倒機構付シートを装備する
▲インテリアカラーはボディカラーと同系色で構成。5名乗り仕様のID.Buzzは後席に2:1分割可倒機構付シートを装備する
▲ID.Buzzは後席使用時で1121リットル、後席格納時で2205リットルの荷室容量を確保
▲ID.Buzzは後席使用時で1121リットル、後席格納時で2205リットルの荷室容量を確保

 エクステリアに関しては、フロント中央に配した大型のVWエンブレムとV形状のフロントパネル、スクエア基調のフォルム、短いオーバーハング、横長のリアコンビネーションランプなど、タイプⅡへのオマージュが随所に感じられる。専用デザインのヘッドランプには、LEDマトリクスヘッドライトの“IQ.ライト”を組み込んだ。ボディサイズは全長4712×全幅1985×全高1937~1938mm、ホイールベース2988mmに設定。バンモデルなので前面投影面積は大きいものの、フラッシュサーフェス化などの効果で、空気抵抗係数(Cd値)はID.Buzzで0.285、ID.Buzz Cargoで0.29と優秀な数値を実現する。ボディカラーはキャンディホワイト/モノシルバー/ライムイエロー/スターライトブルー/エナジェティックオレンジ/ベイリーフグリーン/ディープブラックという7タイプのシングルカラーと、ライムイエロー&キャンディホワイト/スターライトブルー&キャンディホワイト/エナジェティックオレンジ&キャンディホワイト/ベイリーフグリーン&キャンディホワイトという4タイプの2トーンカラーを設定。2トーンは往年の「T1」キャンパーバンをオマージュしてV形状のフロントパネルやルーフ、ボディ上部をホワイトに仕立てて、基調色のカラーリングと対比させた。

▲エナジェティックオレンジ&キャンディホワイトのID.Buzz。足回りのアロイホイールは専用デザインで、19/20/21サイズを用意
▲エナジェティックオレンジ&キャンディホワイトのID.Buzz。足回りのアロイホイールは専用デザインで、19/20/21サイズを用意
▲シート表皮やドアトリム、ダッシュボードに多種な仕様を設定。最大30色から選択可能なアンビエントライトもオプションで用意する
▲シート表皮やドアトリム、ダッシュボードに多種な仕様を設定。最大30色から選択可能なアンビエントライトもオプションで用意する

 内包するインテリアは、5.3インチのインパネディスプレイと10.0インチ(オプションで12.0インチ)のタッチスクリーン式インフォテインメントディスプレイで構成する最新のデジタルコクピットを採用。ロッカー式コントローラーは、ステアリングコラム部にレバー形状で配置する。無線通信でソフトウェアの更新が可能なOTA(Over-The-Air)機能やV2X通信、最大8つのUSBポート、スマートフォンのワイヤレスチャージャーなども装備した。
 使用素材として、リサイクル材の使用比率をより高めたことも訴求点。合わせて、レザーなどアニマル由来の素材を廃止し、再生可能な新開発のサステイナブル素材を精力的に導入する。一方、インテリアカラーはボディカラーと同系色で構成。パネル面の様々な箇所にID.Buzzのモチーフを刻印した点もトピックだ。シート表皮やドアトリム、ダッシュボードには多種な仕様を設定。最大30色から選択可能なアンビエントライトもオプションで用意する。荷室スペースは、ID.Buzzが後席使用時で1121リットル、後席格納時(2:1分割可倒機構付)で2205リットルの容量を、ID.Buzz Cargoが3900リットルの容量を確保。ID.Buzz Cargoはユーロパレットを2台並べて積載でき、さらに固定用レールとラッシングポイントを配備した。

▲フォルクスワーゲンID.Buzz Cargo 写真のボディカラーはスターライトブルー&キャンディホワイト
▲フォルクスワーゲンID.Buzz Cargo 写真のボディカラーはスターライトブルー&キャンディホワイト
▲ID.Buzz Cargoのボディサイズは全長4712×全幅1985×全高1938mm、ホイールベース2988mmに設定
▲ID.Buzz Cargoのボディサイズは全長4712×全幅1985×全高1938mm、ホイールベース2988mmに設定
▲シンプルなカラーリングで仕立てたID.Buzz Cargoのインテリア。前席は3名掛けのベンチ式のほか、セパレートタイプも選択可
▲シンプルなカラーリングで仕立てたID.Buzz Cargoのインテリア。前席は3名掛けのベンチ式のほか、セパレートタイプも選択可
▲ID.Buzz Cargoの荷室はユーロパレットを2台並べて積載でき、さらに固定用レールとラッシングポイントを配備する
▲ID.Buzz Cargoの荷室はユーロパレットを2台並べて積載でき、さらに固定用レールとラッシングポイントを配備する

 基本骨格にはEV用に開発されたMEBプラットフォームを採用。パワーユニットには最高出力150kW/最大トルク310Nmを発生する電気モーターをリアアクスルに、容量82kWhのリチウムイオンバッテリーをサンドイッチ状で床下に配置して、後輪を駆動する。最高速度は電子制御で145 km/hに制限した。
 充電に関しては、「プラグ&チャージ」と称する双方向充電システムを導入。例えば自宅のソーラーパネルから電力を蓄電し、太陽が沈んだ後は余った電力を家庭用として送り返す、というような使い方ができる。充電自体は家庭用電源で11kW、交流式で22kW、急速充電の直流式で170kWに対応。一充電での航続距離は現時点で未公表だが、VWスタッフはWLTPサイクルで400kmくらいになる見込みと話している。

▲パワーユニットには最高出力150kW/最大トルク310Nmを発生する電気モーターをリアアクスルに、容量82kWhのリチウムイオンバッテリーをサンドイッチ状で床下に配置
▲パワーユニットには最高出力150kW/最大トルク310Nmを発生する電気モーターをリアアクスルに、容量82kWhのリチウムイオンバッテリーをサンドイッチ状で床下に配置

 なお、ID.Buzzは今後、ロングホイールベース仕様やモーターをフロントアクスルにも搭載するAWDモデル、キャンパー仕様のID.Buzzカリフォルニアなどをラインアップに加える予定である。

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