GRシリーズの新型車「GRカローラ」が世界初公開! 日本での発売は2022年後半を予定

TOYOTA GAZOO RacingがGRヤリスに続く4WDモデル「GRカローラ」のプロトタイプを発表。パワーユニットにはGRヤリス用から進化を遂げた1.6リットル直列3気筒インタークーラーターボエンジンを搭載

 TOYOTA GAZOO Racingは2022年3月31日(現地時間)、米国カリフォルニア州ロングビーチにおいてスポーツカーシリーズ「GR」の新型車となる「GRカローラ」のプロトタイプを初公開した。日本での発売は2022年後半を予定。生産はトヨタの元町工場内に設けるGR専用ラインの「GRファクトリー」で実施する。

▲トヨタGRカローラ(プロトタイプ) 日本での発売は2022年後半を予定。写真は2023年モデルのみの限定車となる「サーキットエディション」で、ボディカラーは専用色のヘビーメタル
▲トヨタGRカローラ(プロトタイプ) 日本での発売は2022年後半を予定。写真は2023年モデルのみの限定車となる「サーキットエディション」で、ボディカラーは専用色のヘビーメタル

 GRカローラは、TOYOTA GAZOO Racingの市販車造りのテーマである「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり」の新しい取り組みの一環として開発。また、カローラはトヨタのWRC(世界ラリー選手権)初優勝を飾った「TE25カローラ」や、その後に1000湖ラリーを制した「カローラ・レビン」など、モータースポーツを通じてクルマ好きを大いに魅了した歴史があることから、モリゾウこと豊田章男社長の「お客様を虜にするカローラを取り戻したい!」との強い思いが、車両企画の背景にあったという。

▲ユーザーが多様なシーンで安心して走りを楽しめるよう、サーキットはもちろん、負荷の高いダートや雪道においても徹底した走り込みを実施する
▲ユーザーが多様なシーンで安心して走りを楽しめるよう、サーキットはもちろん、負荷の高いダートや雪道においても徹底した走り込みを実施する

 GRカローラの開発に当たっては、モリゾウ自らドライバーとして出走する、水素エンジンカローラによるスーパー耐久シリーズへの参戦を通じて得たノウハウを駆使し、車両を総合的に鍛え直す。また、ユーザーが多様なシーンで安心して走りを楽しめるよう、サーキットはもちろん、負荷の高いダートや雪道においても走り込みを実施。マスタードライバーであるモリゾウやレーシングドライバーの石浦宏明選手、全日本ラリーチャンピオンである勝田範彦選手、社内の評価ドライバーなど、様々な目線を持つドライバーによって壊れるまで走り込み、徹底的に鍛え上げたという。

▲全長4410×全幅1850×全高1480(アンテナを含む数値。ルーフ高は1455)mm ホイールベース2640mm トレッド前1590×後1620mm 車重1475kg 乗車定員5名 写真は標準モデルのパフォーマンスパッケージ装着車で、ボディカラーはスーパーソニックレッド
▲全長4410×全幅1850×全高1480(アンテナを含む数値。ルーフ高は1455)mm ホイールベース2640mm トレッド前1590×後1620mm 車重1475kg 乗車定員5名 写真は標準モデルのパフォーマンスパッケージ装着車で、ボディカラーはスーパーソニックレッド

 エクステリアについては、機能美として昇華されたモータースポーツ起点のデザインを採用する。5ドアハッチバックのカローラスポーツのボディを基調に、フロントフェンダーを片側20mm、リアフェンダーを片側30mm拡大。ワイドなスタンスで、野性味のある走りを予感させるようにアレンジした。また、フロントバンパーにはインテーク、フロントフェンダーとフードバルジにはアウトレットを設置。これはサーキットやダート、雪道などあらゆる道で冷却性能および空力性能を徹底的に鍛え上げた成果だ。さらに、エンジンの高出力化を狙って3本出しマフラーを新設計し、これをディフューザー内に組み込んで力強くスポーティなリアビューを創出した。

▲フロントフェンダーにはアウトレットを設置
▲フロントフェンダーにはアウトレットを設置
▲サイドスカートに“GR-FOUR”のロゴを刻印
▲サイドスカートに“GR-FOUR”のロゴを刻印

 ボディカラーはホワイト、スーパーソニックレッドのほか、2023年モデルのみの限定車となる「サーキットエディション」専用色のヘビーメタルをラインアップ。サーキットエディションはカーボンファイバー製ルーフやアルミ製ボンネット、リアスポイラー、デュアルLSD GR FOURシステム、GRロゴ入りレッド塗装ブレーキキャリパーを特別装備する。レッド塗装ブレーキキャリパーは、標準仕様でもパフォーマンスパッケージを選択すれば装着可能だ。ボディサイズは全長4410×全幅1850×全高1480(アンテナを含む数値。ルーフ高は1455)mm/ホイールベース2640mmに設定している。

▲サーキットエディションはカーボンファイバー製ルーフ(写真・上)やアルミ製ボンネット(同・下)を装備
▲サーキットエディションはカーボンファイバー製ルーフ(写真・上)やアルミ製ボンネット(同・下)を装備

 内包するインテリアは、スポーティかつシックなブラックの内装色を基調に、ショートストローク化して素早い操作を可能としたシフトレバーや、ドリフト走行など限界域での車両コントロール用途を視野に入れた手引き式のパーキングブレーキを標準で採用。また、レーシングカーを手本にプロドライバーの意見を取り入れた、GR車両専用開発のFull TFTメーターを新規に組み込む。さらに、サーキットエディションにはレッドを基調としたスエード調表皮スポーツシートやモリゾウサイン入りのシフトノブなどを特別装備した。

▲ショートストローク化して素早い操作を可能としたシフトレバーや、限界域での車両コントロール用途を視野に入れた手引き式のパーキングブレーキを標準で組み込む
▲ショートストローク化して素早い操作を可能としたシフトレバーや、限界域での車両コントロール用途を視野に入れた手引き式のパーキングブレーキを標準で組み込む
▲サポート性を高めたスポーツシートを装着。ヘッドレスト部にGRロゴを入れる
▲サポート性を高めたスポーツシートを装着。ヘッドレスト部にGRロゴを入れる

 肝心のパワーユニットは、GRヤリスに採用するG16E-GTS型1618cc直列3気筒DOHCインタークーラーターボエンジンをベースに高出力化を実施。ピストンなどのエンジンパーツを強化するとともに、バルブ付きの3本出しマフラーを組み込んで排圧低減と消音性能を両立させ、10.5の高圧縮比から最高出力304ps/6500rpm、最大トルク37.7kg・m/3000~5550rpmを発生する。トランスミッションには専用セッティングのiMT(6速MT)を組み合わせ、駆動機構にはGRヤリスと同機構の電子式多板クラッチによる前後駆動力可変式のスポーツ4WDシステム「GR-FOUR」と前後トルセンLSDを採用。また、駆動配分を制御する4WDモードと、アクセル応答性やステアリングなどを制御するドライブモードを分けることで、ドライバーの好みや走行環境に応じた選択を可能とした。

▲高出力化を果たしたG16E-GTS型1618cc直列3気筒DOHCインタークーラーターボエンジンを搭載
▲高出力化を果たしたG16E-GTS型1618cc直列3気筒DOHCインタークーラーターボエンジンを搭載
▲バルブ付きの3本出しマフラーを組み込んで排圧低減と消音性能を両立させる
▲バルブ付きの3本出しマフラーを組み込んで排圧低減と消音性能を両立させる

 シャシー面に関しては、カローラスポーツの前マクファーソンストラット式/後ダブルウィッシュボーン式をベースに、ブッシュのピロボール化やスプリング&ショックアブソーバーおよびアライメントの最適化を実施。シューズには18インチのグロスブラック塗装15スポークキャストアルミホイールと235/40R18サイズのミシュランPilot Sport 4タイヤを装着する。トレッドはベース車比でフロントを60mm、リアを85mmワイド化。制動機構には、前アルミ対向4ポットキャリパー/後アルミ対向2ポットキャリパーを組み込む前後ベンチレーテッドディスクブレーキを配備した。

▲18インチのグロスブラック塗装15スポークキャストアルミホイールと235/40R18サイズのミシュランPilot Sport 4タイヤを装着
▲18インチのグロスブラック塗装15スポークキャストアルミホイールと235/40R18サイズのミシュランPilot Sport 4タイヤを装着

 ドライバーの操作に俊敏に反応する走りを目指して、ボディ剛性を徹底強化したこともトピック。GRファクトリーでの生産で実現する高剛性の基本骨格に加えて、リアホイールハウス間や床下トンネル、タンク前の床下にブレースを追加し、スポーツ走行時の操縦安定性能を高める。また、GRヤリスと同様に形状自由度の高いSMC(Sheet Molding Compound)工法で成形したCFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastic)素材のルーフパネルを設定し、剛性を引き上げるとともに軽量化も果たした。

▲リアホイールハウス間や床下トンネル、タンク前の床下にブレースを追加してスポーツ走行時の操縦安定性能を引き上げた
▲リアホイールハウス間や床下トンネル、タンク前の床下にブレースを追加してスポーツ走行時の操縦安定性能を引き上げた
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